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下道日帰りソロツーリングに行こう!【機材編】

バイクでのツーリングはとても自由で開放感に溢れ、冒険心を満たすにはもってこいの遊びです。
 
中でも「下道+日帰りソロツーリング(ソロツー)」は比較的チャレンジのハードルが低く、原付でもチャレンジできるので特におすすめできます。
本項では、筆者の愛車・ヤマハYB-1改と先代にあたる下駄バイク・ホンダバイト改で1年ちょっとの期間を掛け行った「原付下道ソロツー検証」を通じて得た知見と過去のライダーとしての経験を基に、コスパと実戦における機能、そしてサバイバビリティを重視しつつ
「下道ソロツー」における機材について触れていきます。
(なお案件ではありません。デイトナさん案件下さい

ソロツーは自由だが、全てが自己責任

大昔…学生時代にライダーをやっていた頃は「計画・準備してツーリングに行く」という概念そのものがなく、思い付いたままスロットルを捻り、衝動的に行きたい所へすっ飛んでいくだけでした。
それはそれで、良くも悪くもハプニングが多く楽しかったのですが…家族や周囲からの助けにも時間にも恵まれていた大学生時代と社会人デビュー後の今とでは状況が異なります。
 
リスクは極力抑える必要がありますし、タイムリミットにもシビアにならざるを得ません。

そういう訳で、安心安全に楽しく下道ソロツーを満喫するための機材及び注意点などをざっくり紹介していきましょう。

①インカム

「えっ?ソロツーなのにインカム買っても誰としゃべるの?」
と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、ソロツーでもインカムは大活躍してくれます。
 
しかし誰かと話す訳ではなく、ツーリングを行う際に欲しい情報を音声アシスト等経由で入手したり、ラジオや音楽を聴くために役立ちます。
 
聴くだけ」なのです。即ち

名前通り、聴くだけのインカム。実に潔いけどこれが便利

デイトナ・KIKUDAKEの出番です。
要するに単なるBluetoothレシーバーにFMラジオがくっついただけのデバイスなのですが、ソロツーでは絶大な威力を発揮するスグレモノです。
 
ソロツーやっててKIKUDAKEでできること
①GoogleMaps等のナビアプリの音声アシストが使える
 
※マイクは無いのでGoogleさんへの音声コマンドはできません
②音声アシストと同時にスマホから音楽を流せる
③本体機能としてFMラジオが内蔵されている(スマホ不要)
レーダー探知機からの音声警告も受信可能
 
これらは他のインカムの多くでも可能なのですが、
KIKUDAKEは単4電池駆動です。(しかも充電池対応!)
 
つまりバッテリー交換が非常に容易であり、懐中電灯等のツールを持参している場合、それらの電源も単4電池で揃えておけば電源管理が更に楽になります。全ての電池を使い果たしてもコンビニに駆け込んで単4買うだけで即時復活可能!という強みもあります。
おまけに本体も防塵防水仕様で非常にタフなので、風雨に晒されても平然と動いてくれる、実に頼もしいアイテムです。
肝心の音質も必要充分な印象で、(あくまで筆者の個人的感覚ですが)Spotifyの楽曲を「最高音質」で聴いていても全く問題を感じません。
 
インカム通話をする予定のないソロツー主体のライダーであれば、是非活用して欲しい!とすら思います。
但し、FMラジオの周波数調整・選択機能の操作がちょっと煩雑なので、ラジオについては地元での日々の通勤用として考えておいてもいいかもしれません。

②マップ・ナビアプリ

ツーリングを行う際にほぼ必須のマストアイテムと言えるのは間違いなく「地図」であり、
ぶっちゃげツーリングマップル買えば終わる話なのですが

良くも悪くも結局Googleさん

やっぱり、マップ&ナビアプリはあった方が断然捗ります。
筆者なりに色々なアプリを試したのですが、結局GoogleMapsがコスパ面でも機能面でも連携力でも優れている…という結論に至りました。
 
PCのブラウザ上でMapsを開いてツーリングプランを練る
   
スマホにルートを飛ばす(共有する)
   ↓
スマホのアプリ上で開いてナビ起動

 
このルーティンを極めて簡単にサクサクやれてしまう利便性、こればかりはもう無敵と言わざるを得ません。昔はダメダメだったルート誘導や音声アシストもだいぶ洗練されてきており、今はそれなりにアテになります。
但し、相変わらず狭い道や変な山道に平然と誘導しやがりますので、そんな時は「またやっちゃったなGoogleさん♪」と笑ってあげつつ前向きに闇鍋ラリーレイドを楽しみましょう。

これがないと始まらないツーリングマップル
(画像はKindle版九州2021)

続いてツーリングマップルについてですが、紙書籍版はもう今更書くべき事なんてありません。「とりあえず買おう」の一言で終わります。
相変わらずライダー目線での旅情報がとんでもなく充実していますので、旅に持参せずとも単なる読み物として楽しめますし、寝る前に読んで夢心地でツーリング計画や妄想に思いを馳せるのも一興です。
また「毎年更新」という仕様上、基本的にGoogleMapsの地域情報(特にストリートビュー)よりも更新頻度が高いケースが多いので、ツーリングマップルとGoogleMapsは併用を推奨します。
 
ツーリングマップルには紙書籍版以外にKindle(電子書籍)版があり、価格は紙書籍版より少し安いですが、紙書籍版をそのまま電子化しただけなので、基本的にタブレット等の大型端末での閲覧に適しており、画面の小さなスマホだと快適な閲覧…とは言えず、せいぜい現地での情報再確認程度に考えておいた方がいいでしょう。
 
更に、ツーリングマップル公式アプリ「Route!」も存在し、紙書籍版やKindle版とは異なり「ツーリングマップルの画面をシームレスに閲覧可能」という独自の強みこそありますが、本項執筆時点では現在位置をマップ上に反映してのマップ追従機能が未実装(これが道中の確認時微妙にストレス…)なので、アプリとしての完成度はまだまだです。
それに加え…基本的に月額課金制の有料アプリで、紙書籍版を買えばおまけで一定期間だけ(紙書籍版対応エリアのみ)無料使用可能ではあるのですが、コスパのみならず純粋な機能面でもGoogleMapsに大きく劣るので、今はおすすめはしません。今後のアプデに期待!
 
で、筆者はどうしているのかといえば、去年買った2021年のKindle版と、今年買った2022年の紙書籍版を併用しています。2023年以降は紙書籍版のみになると思います。
なんともアナログな運用スタイルですが、そもそもツーリングマップルは人力更新のアナログみ溢れるコンテンツなので、アナログはアナログで!という事でいいかと。
非常に素晴らしいコンテンツである事は間違いないです。

③ツーリングバッグ

インカムとマップ・ナビの話が出た所で、次は「収納」について触れます。
ツーリングの際の収納はライダーによって様々なスタイルやこだわりがあるかと思いますが、
それに加え「乗るバイクの仕様に起因する縛り」もあります。
 
どういう事かといえば、例えばタンクバッグであれば一般的なバイクの多くに使用可能ですが、スクーターへの使い回しは(リア積みしない限り)基本的にできません。それに加え、装着方法がマグネット式であれば樹脂製タンクカバーの車両だと磁力が弱く脱落のリスクを抱える可能性がありますし、吸盤式であっても対応できないタンク形状があります。
 
最も汎用性が高いのは、ライダー自身が背負うリュックです。
しかし…当然ながら肩への負荷は小さくありませんし、乗り降りの際の機動力が高い・転倒時の脊髄保護パッドになるというメリットもありますが、必ずしも万能とは呼べません。
 
そういう訳で、筆者なりに色々と試行錯誤してみた結果

デイトナ ツーリングシートバッグBASIC S

再びデイトナ製ですが、シートバッグに落ち着きました。
ライダーへの負荷が少なくライポジの自由度が増し疲労を軽減できるというメリットはやはり大きいのと、積載力と耐候性のバランスを考えた結果です。
 
Sサイズを選んだのは、一般的な50〜125ccバイクのリアキャリアにも搭載可能なサイズを模索した結果です。とはいえ本品はファスナー展開によって横方向へのサイズアップが可能であり、一泊程度のソロツーであれば余裕で対応可能なキャパシティを備えています。

タブレット・ミニノート用インナーバッグ(エレコム製)

更に、タブレット等を収納可能なインナーバッグを入れておく事で小物の収容・整理能力を増すと共に、簡易セパレーター&クッションとしても機能させています。
リコーGR等のコンパクトデジタルカメラやInsta360・GoPro等の小型アクションカムであれば、このインナーバッグで充分に保護できます。
 
デジタル一眼レフ&交換レンズを搭載する際は、カメラバッグ用のインナーを入れています。

PORTER / HEAT SLING SHOULDER BAG

とはいえ、シートバッグは内部骨格がある関係上重く、角ばっているので携帯性はお世辞にも良いとはいえません。
 
そこで、バイクを降りてあちこち出歩く旅の際には筆者愛用のポーター(吉田カバン)製スリングショルダーバッグも入れておき、親子バッグ化する事でこの問題を回避しています。
デザインテイスト的にヘンリービギンズ(デイトナ)とお揃いな感じなので、違和感はありません。

と、色々書きましたが
「んな金ねーわ!!!」とお困りのライダーはワークマンにGO!です。
今やライダー定番のコスパ最強ブランド「AEGIS」を筆頭に、素敵ライディングギアが仰天価格で勢揃いです。収納系に限らず色々欲しくなります。

しかし!
土木工事現場で職長やらせてもらってた時期があったゆえ、近年のブレイク前からのワークマン大好きおじさんである筆者として、ワークマンでライディングギアを選ぶ際の注意点がありますので列挙します。
 
■サイズが小さい。
AEGISを筆頭としたワークマン製のライディング&アウトドア系ウェアは、(商品にもよりますが)特にアウターは上下共に表示サイズより小さめの商品が多いです。よって、試着してサイズやフィット感を確認してからの購入を強く推奨します。
 
■AEGIS=頑丈という訳ではない。
今や大人気のAEGISですが、必ずしも頑丈という訳ではありません。特に一部ジャケットに使用されているフェイクレザーは極めて薄く、袖口などであれば短期間で擦れて破れてしまいます。購入前に材質や生地の厚さをよく確認しましょう。頑丈さは正直いってピンキリです。
 
■ツーリングバッグ系はない。
残念ながら、AEGIS含めワークマンは現状ツーリングバッグの取扱いを行っていません。しかしAEGISブランドのメッセンジャーバッグ(2900円)がライダー用リュックとしても極めて優秀(筆者も多用!)なのと、別ブランドにもコスパに優れたリュックがありますので、ワークマンで買える「収納系ライディングギア」は基本的にリュックとかその系列であると考えておきましょう。 

…と色々書いてますが、筆者の雑嚢枠リュックも普段用ライジャケも防寒アウターパンツもAEGISです。
モノさえ選べば最強コスパで大活躍してくれます。
ワークマンはいいぞ。

④車載工具・ツール

ツーリングにトラブルやアクシデントはつきものです。
少なくとも、トラブルやアクシデントが発生する可能性がないソロツーは存在しません。
 
万一のトラブルやアクシデントに対応するため、工具持参は必須です。
ライダー自身が工具を使いこなせなくとも、助けを差し伸べてくれた人が使えるかもしれません。「私はバイクのメンテすらできないから、工具を積む意味はない」などと言わず、保険だと思って積んでおきましょう。

YB-1純正車載工具にプライヤーとタイラップを追加

昔のバイクであれば、例え50ccバイクであっても最低限の車載工具が付属していましたが、近年のバイクでは最低限に満たない工具しか付属していなかったり、中古車両であれば前オーナーが紛失している事も多々あります。
 
そういう時は自分で工具を揃えてバイクに積む事になりますが、工具を揃える際の目安として
 
■メンテ時よく外す六角ボルトのサイズに対応したレンチ
 (わからなければ8/10/12/14/17mmを揃えればだいたいOK)
■プラス&マイナスドライバー
 (キャブ車であればスロー系を回せる小さめのサイズも)
■プラグレンチ
■プライヤー
 
位があれば、だいたい最低限の要件を満たせます。
それに加えタイラップを何本か添えておくと、万一の緊急補修の際とても役立ちます。
余談ですが…Amazon等の通販サイトに格安で「車載工具セット」が販売されており、以前注文してみたら工具未満の燃えないゴミ詰め合わせが届きました。安物買いのなんちゃらですねorz
車載工具の出番は少ないですが、安物でもちゃんとしたものを選びましょう。

エアゲージとエアバルブエクステンション(キタコ製)

必然的に長距離走行となる事が殆どのツーリングにおいて、タイヤの空気圧管理はバカにできない問題です。
出発前の空気圧チェックは勿論として、出先でのトラブル回避や、路面状況と空気圧とのマッチングを推し量るためにも空気圧の把握はしておきたいものです。
 
という訳で、エアゲージを持参しておくとそういう時にホッとできます。
それに加え、郊外の一部ガソリンスタンドではバイクのタイヤへのエア注入がしづらいノズルしか備えておらず、エア注入に難儀する場合も少なからずありますので、そういう状況に備えてのエアバルブエクステンションもポーチに忍ばせています。
 
路面状況的にパンクのリスクが大きいハードなツーリングやロングツーリングであれば、パンク補修キット(チューブレスタイヤの場合)や予備タイヤチューブ(チューブタイヤの場合)も持参しておくと更に安心です。
積載量に余裕があるなら携帯エアポンプやタイヤレバー等のタイヤ交換グッズもあれば完璧ですが、そこまでやれとは言いません。「ツーリング先の地元のバイク屋さんに持ち込んでパンク修理できるレベル」の備えがあれば、助けを呼べる場所でのパンクなら大体どうにかなります。

サバイバルツール(ガーバー製)と軍手(ホンダ製)

加えて、サバイバルツール軍手もあると輪を掛けて安心できます。
画像のGERBERは筆者が学生時代、ライダーを一旦引退する前に買った20年以上前のシロモノですが、まだまだ現役です。
こういう感じの「大きめの頑丈なペンチ&ニッパーに変形するやつ」だと車載工具のプライヤーと併用しての作業が捗りますので、おすすめできます。
 
よくある「機能ばかり多くてツールそれぞれの強度が低い」安物ツールだと肝心の時に仕事をしてくれず、飾りで終わる事が多い印象です。
あと「ナイフみ」強めのものだと、携帯しているだけでも万一何かあった際にお巡りさんとロングドライブさせられる可能性がないとはいえませんのでご注意下さい。

⑤食糧・水分補給

ツーリングの道中で補給を要するのはバイクだけではありません。
ライダーにも補給が要ります。
 
しかし、補給の度にレストランやコンビニ等に立ち寄るのはお金が飛ぶのみならずタイムロスにも繋がりますので、予め飲食物を積んで出発するとツーリングが捗りますし、疲労に伴う事故や脱水症状・熱中症のリスクを大幅に軽減できます。

キャラメルはいいぞ(森永キャラメル原理主義過激派)

筆者はツーリングの際にキャラメルを頬張る事で糖分を補給しつつ小腹が空かないようにしていますが、別にキャラメルでなくともキャンディグミでも構いません。
リッチにいきたい人はチーズとかビーフジャーキーでも良いでしょうね。
 
但し、ガムは食べカスの処理の問題がありますので、ツーリングのお供としては非推奨です。クッキーやポテチ等のスナック菓子だと喉が渇きがちになってしまいますので、(人によるとは思いますが)ツーリングとの相性はあまり良くないかもしれません。
 
飲み物については、当然の事ながら水分吸収性に優れたスポーツドリンク系がベストです。コーヒーやお茶はカフェインによる利尿作用が伴いますので、休憩時はともかく、バイクに搭載して水分補給用途で飲む飲料としてはおすすめできません。

⑥その他

上記のカテゴリに含まれない持参物としては、タオル等の衛生用品、携帯電話の外部モバイルバッテリー、天候や気温の急変に備えたレインウェア等が挙げられます。
(KIKUDAKE使用時は予備の単4電池も)
 
ちなみにタオルですが、余裕があればバスタオルとフェイスタオル、それに濡れたタオルを収納できるビニール袋があると…旅先で突発的に温泉や海へ入りたくなった時に役立ちます。

ソロツーは楽しい。
孤独なイメージがあるが、旅先での交流も多いので意外と孤独ではない

以上、ソロツーをやっていて必要だと感じたり役に立ったりした機材等について紹介させて頂きましたが、本項の内容はあくまで筆者の個人的見解に過ぎず、旅するライダーそれぞれの考え方や乗るバイクによって、実際の最適解は様々だと思います。
 
しかし、備えが重要なのは間違いありません。
しっかり備えて、楽しく快適で安全な下道ソロツーを満喫しましょう!

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