見出し画像

ソロツーリングをやるための、万一の備え。

相変わらずラビットでポンポンとゆるい下道ソロツーリングを楽しんでいる筆者ですが、先日SNSでこんな投稿をしたら意図せずバズってしまい、ご反響を頂きました。
沢山の共感のお言葉、ありがとうございます。

画像は阿蘇・大観峰付近で濃霧に見舞われた時のもの。
山間部は天候や気温の変化が激しいので、注意と備えが要る

本項では、このSNS投稿にて言及した「ツーリングルートをweb上で公開する」手法とその理由である「ソロツーリング時における万一の事態への備え」、そしてメリットとデメリット(リスク)、注意点等について触れていきます。


①ツーリングルートをweb上で公開する

「ツーリングルートを公開する」方法そのものは非常に簡単です。
最もお手軽かつローコストなのは、GoogleMapで出発地・経由地・到着地を一本のルートとして結び、その画面のスクリーンショットを画像としてSNS等にアップロードする…という手法です。

GoogleMapを使えば無料でやれて簡単

この方法だとルートのみならず、その時点での渋滞状況を加味した所要時間も計算できるので、GoogleMap上でツーリングプランを練った際の画面をそのまま使え、作業の工数を減らす事ができます。
 
他にもツーリングルートを自動記録して画像や動画として出力できるアプリ等が複数ありますので、ルート図を作成公開するためのツールに困る事はまずないでしょう。

1-1 ルートを公開するメリット

ルート公開のメリットは幾つかありますが、ソロツーリングにおける最大のメリットは「万一事故や事件に巻き込まれたり、バイクが壊れて自力での移動ができなくなったり、怪我や病気で助けを呼べなくなった際に自身を探しやすくする」という点に尽きます。
もちろん、事故や事件で命を落としてしまった場合も同様です。

トラブルはいつどこで起こるかわからない

「携帯があるから大丈夫だろ!」と言う人もいらっしゃるかもしれませんが、その携帯が破損したりバッテリーが尽きたり、そもそも電波を受信しない場所でのトラブルだった場合はアウトです。
また、ツーリングという性質上、車や人の往来が少なく民家や店舗もない僻地を走っていてのトラブルも少なからず発生します。携帯が使えずリアルタイムでの助けを呼べない状況に陥った際、ライダーの消息や安否を心配してくれる人(或いは警察)が探す手掛かりを予めweb上にアップロードしておく事で、最悪の事態を回避できたり、行方不明扱いにされるリスクを回避できる可能性は少なからず上がります。
 
それと、上のメリットに比べると切羽詰まった内容ではないのですが…
訪れる予定のお店を予めルート上にて公開しておく事で「ツーリングの時に寄るよ!」というお店やバイク仲間へのサインにもなります。
筆者の場合は、立ち寄るお店を載せたルート画像をSNSにアップする際、お店のSNSアカウントを画像にタグ付けする(Xの機能)事でよりわかりやすくしています。
これについては、複数のお店の方から「事前に”立ち寄る宣言”してくれると、迎える準備をしやすい」とのお言葉を頂いたので、習慣として続けています。

こんな感じでやってます。

更に、後の投稿で公開したルート画像が流れないように投稿をプロフィールページのトップに固定(Xの機能)して、万一の事態が発生しても投稿を見つけやすくしています。
もちろん、ツーリングが終わったら固定は解除します。
 

1-2 ルートを公開するデメリット

続いてデメリットですが、これはもう「人が起こすトラブルに巻き込まれる可能性が増す」という大問題がほぼ全てだといえます。
具体的に列挙しますと
〜〜〜〜〜
1-2-1:ルート上に待ち伏せての盗難・盗撮・暴行に遭うリスク
1-2-2:追跡・発信機装着により自宅や生活圏・勤務先が特定されるリスク
1-2-3:自宅を特定され盗難・盗撮・暴行やプライバシー被害に遭うリスク
1-2-4:ツーリング中に自宅や自店舗が盗難等の被害に遭うリスク

〜〜〜〜〜
といったもので…
ツーリングルートを公開していなくても、旅の思い出をSNS等に投稿していれば(例え時間差投稿等のテクニックを駆使していても)起こり得るリスクばかりです。しかしながらルートを公開する事で、よからぬ輩に犯行のチャンスを与えてしまう可能性が増すのもまた事実。
 
当然、(ルートを公開していようがいまいが)対策が必要となります。
 

1-3 ルートを公開する際の安全対策

リセールバリューの低いおんぼろバイク(ラビットS301スーパーフローの最終型は安い)に乗って安いインカムの付いた安いヘルメットを被って現金も最低限しか財布に入れてない安スマホ持ちのおっさんライダー…という、自分で書いてて涙が出る程「盗む価値がどこにもない」筆者であっても、万一のトラブルに備えて安全対策を講じています。

2023年、別府まで日帰りぶらぶらに行った際の旅程

1-3-1:公開するルートで自宅を晒さない・推測させない
まず、超基本的な対策として「自宅を晒さない」という至極あたりまえなものが挙げられます。
「そんな危険な事やる人いるの!?」と思うなかれ。ツーリングプランを練った際の画像をそのまま使ったり、ツーリング後にルートを自動記録して画像や動画で出力するアプリでは…無対策だと出発点と到着点はだいたい自宅(もしくはバイクを置いてる場所)のままであり、自宅特定に直結する情報を晒しまくってる人は意外と散見します。
 
筆者の場合はお手軽な対策として、公開用ルートでは出発点と到着点を比較的近い場所にある有名スポット(福岡タワー)に設定しており、ルートからの自宅特定をできないようにしています。
百道浜に住める位リッチになりたい…
 
1-3-2:到着予定時刻を書かない
これは安全対策であると同時に、自身を急かさないようにするためでもあります。
実際は割と細かくスケジューリングした上で道中にて調整を重ねながらツーリングしているので、目的地のお店にSNSや電話で到着予定時刻を告げたり営業時間を確認する事はちょいちょいあります。
 
特に阿蘇のライダーズカフェは、完売やマスターの気分で早く閉店してしまう事がしばしばありますので。

だいたいこのお店(Cafe218)である。
特に肉を食べたい時は早めに動かないと速攻で売り切れる!

1-3-3:時には情報をぼかす、嘘を吐く
これも何気に重要で、特に宿泊先・長時間滞在する場所については到着時間のみならず、その他の情報も律儀に公開する事なくぼかしたり、表現は悪いですが嘘情報(ダミー情報)をぶら下げておく事もあります。
 
というのも…2023年に筆者の宿泊予定地公開を悪用して迷惑行為・(後日)悪質な誹謗中傷を行なった輩が一名だけですが存在し…筆者もちょっと甘過ぎたかな?という反省ゆえ、対策を強化した次第です。
そういう非常識な輩の絶対数は少ないので、過度に神経を尖らせてカリカリする必要はないと思いますが、避けられるのなら避けたいトラブルです。

②ソロツーリングでの安全対策

ソロツーリングは気ままに楽しめるが、リスクも全て自分で負う

色々と書きましたが、ソロツーリングはとても楽しい遊びです。
しかしながら…冒険じみたスリルと自由と開放感を満喫できる一方で、危険もまた少なからず存在します。
特に昨今はモバイルインターネットが恩恵にも脅威にもなるご時世なので、「ソロツーリング楽しいよ!」と甘い文言ばかり並べる各種媒体があまり書きたがらない「個人情報とセキュリティ」という観点を含め、いくつかの対策と注意点についても触れていきます。

2-1 まずは自宅を守ろう!

自宅はライダーにとってもバイクにとっても(例外はあるでしょうが)最後のシェルターであり、お城で言えば本丸ないし天守閣です。
自宅の防犯対策をしっかり行うのは基本中の基本だといえます。
 
これは、万一自宅を特定されてもリスクを最低限に抑えるための極めて重要な最終防衛線なので、「家まで来る奴なんていないだろ?」と侮ると、場合によってはえらい目に遭います。
 
同居人がいても油断はできません。
24時間365日ライダーとバイクを警護してくれる訳ではないのですから。
 
で、具体的には…
・防犯カメラやセンサーライトを効果的に配置する
 (ダミーカメラは見る人が見たら一瞬で見破られるので効果薄)
・表の道路等からなるべくバイクが見えないようにする
 (無理ならカバーを掛け車輌特定ができないようにする)
・自宅付近や生活圏内からSNS投稿する際は「位置情報」を一緒に公開してしまわないようSNSアプリを設定する
・自宅を特定されるような画像・テキストをアップしない
 (特に、ミラーやタンクやヘルメット等への映り込みに注意!)
 
etc. いろいろとありますが…書いてたらキリがないので、気になった人はホームセキュリティ関連で調べてみるといいでしょう。
あと、バイク自体への防犯対策も怠りなくやっておきましょう。

2-2 ツーリング先・道中での対策

最終防衛線である自宅の安全対策を行ったら、続いてはソロツーリング中の安全対策です。
とはいっても、そんなに難しいものではありません。
 
2-2-1 何かあった時に駆け込めるシェルターを道中に設定しておく
これは何気に重要で、バイクが壊れただけであればレッカーを呼べば済むものの…ライダー自身にトラブルが起きたり、バイクやヘルメットを盗まれでもしたら厄介です。
そういった際シェルター的に駆け込み、お店の人や常連さんに相談したりアドバイスを乞う事のできるお店は、時として救いの神になってくれる事すらあります。
(本項では深く触れませんが、セクハラ回避にも非常に効果的です)
道中に信用できるバイクショップやライダーズカフェといった「ライダーならではのトラブルに精通したお店」があれば理想的だといえます。
もしルーティン的に通うツーリングルートであれば、そんな良いお店には頻繁に立ち寄って仲良くなるのも良いでしょう。
何より楽しいですし、ツーリングがより充実する事請け合いです。
 
 
2-2-2 金目の物はしっかり防犯
ツーリングの道中で立ち寄ったり休憩したりする際、ついついバイクや装備品の防犯対策が疎かになってしまい…結果として盗難被害に遭う事は少なからずあります。
ちょいちょい聞く例としては
 
・休憩時に高いインカム付きの高いヘルメットをミラーに掛けてバイクを離れたら、メットを盗まれバイクに乗れなくなった
・スマホやアクションカメラ(GoPro等)をバイクにマウントしたままバイクを離れたら盗まれた
・バイクのキーを挿したままトイレや自販機に行ったら乗り逃げされた
・勝手にツーリングバッグ内を物色された

 
etc. といったものがあります。ライダーあるあるですね…
特にソロツーリングだとマスツーリングにおける「相互監視」「集団ならではの威圧感」といった要素がなく、窃盗の対象として狙われやすい傾向にあります。
ソロツーリングは気楽なのでつい気が緩みがちですが、防犯に関してはむしろマスツーリング以上に気を引き締めましょう。
 
 
2-2-3 不審な誘いには乗らない
これはツーリングとかいう以前の問題なのですが、旅をしているとおおらかな気持ちになって、ついつい警戒心が緩んでしまいがちなのが人間です。
 
旅先で知らないライダーから
「一緒に走らない?」
「ゲストハウスの部屋が空いてるからタダで泊まらない?」
「俺のバイクと交換して乗り比べしない?」
「サークルで楽しく交流しよう!メッセージアプリのグループに入って」
 
といった誘いを受ける事があっても、対応は慎重に。
あと、誘いを受けても「必ず逃げられる」状態でいましょう。
 
 
2-2-4 最後の切り札!ラストひとし君
事故や事件等に巻き込まれ携帯や財布を失ってしまっても生き延び、そして助けを求めるための最低限の現金とノート(紙切れでもOK)を隠し持っておくと、何かの時に役立つ事があります。

出身校の大先輩にあやかり「ラストひとし君」と呼んでる緊急装備

とはいっても大それたものではなく、100均で売ってるノートと現金です。
その内訳は…
 
・1000円札 → 最低限の食料等確保と短距離移動・連絡費用
・30円 → 1000円札を硬貨に割れない状況で公衆電話を掛ける費用
・ノート → 保険会社の電話番号や緊急連絡先、自身の情報を記入

 
と、本当に最低限の内容です。
しかし、この程度のシロモノでも明暗を分ける事があるのもまた事実。
 
隠しておく場所は各人それぞれ変わってくるかと思いますので、ここでは言及しません。
これが遠距離ないし海外への旅行となると、熟練した旅行者はバッグの底に緊急費用として1万円札(海外であれば渡航先の高額紙幣)を仕込む事がたまにありますが、国内でのソロツーリングだとそこまでゴージャスにやる必要はないと思います。
 
ともあれ、「自衛」の精神であらゆるトラブルに備えておくのもまた、ソロツーリングにおいては非常に大切です。
 
頼れるのは自身だけ。だから備えはしっかりと。
良くも悪くも、それがソロツーリングというものです。

まとめとあとがき

今でこそラビットで下道ツーリングをまったり楽しんでいる筆者ですが、リターンライダーする決意を固めるまではツーリングと無縁の暮らしを送ってきました。
そこで、当時乗っていたスクーター(ホンダ・バイト)を練習台にして下道ツーリングの練習を重ね、ルート決めやスケジューリングに慣れた…という経緯があります。
 
現在やっているツーリングルート公開についても、この頃から今に至るまでの試行錯誤の産物です。ひょっとしたら、もっと良い方法を思いつくかもしれません。
 
しかし、何はともあれソロツーリングは「ひとり」
山奥で車に跳ね飛ばされ崖から落ちたりして人知れず死んだら、何も備えをしていなければ…そのまま誰にも見付けてもらえず行方不明扱いになってしまう可能性すらあります。
そうなったら、残された親族や友人や職場やお客さんに大きな迷惑を掛けてしまいます。そのための「終活」をちゃんとやっていても、死亡扱いにならない行方不明状態だと、せっかく準備した終活の成果も上手く機能しないかもしれません。
 
極力そうならないように、今はセキュリティ上のリスクを抑えながらツーリングルートを公開している次第です。
 
ただ、ツーリングルートを公開しているおかげで広がった交流や他のメリットも多々ありますので、筆者自身は楽しんでやってます。

旅は冒険。冒険には危険がつきもの。だから、備える

万一の事態への備えを怠らず安全第一で。よきツーリングライフを!
 

付記

筆者の愛車・サンマル子には、普通のバイクよりも気持ち多めの車載工具や修理・応急処置に用いる消耗品を常備しています。
これは自身のためではあるのですが、旅先で故障や自損事故等のアクシンデントに見舞われた方のバイクに応急処置を施したり、救急車やパトカーが来るまでの簡易的な交通誘導・安全確保を行ったりした事も、過去に何度かありました。
 
旅先でバイクが壊れて困った時にサンマル子と筆者がいたら、お気兼ねなく手を挙げて下さいませ。
旅は持ちつ持たれつ。できる範囲内ではありますが力添えいたします。
(お金の無心とかは無理ですぞ!!!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?