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高校生、はじめてロリィタ服に袖を通した日。

ごきげんよう、鳥居です。

桜も満開を迎える頃、いかがお過ごしですか。

今日は少し思い出話をしようと思います。
先日、ロリィタ短歌朗読ライブ『衣裳箪笥のアリス』が全公演無事に終了いたしました。
現在は配信にてお楽しみいただけます。

ちょうど今日、会場内にたくさんかけていた私物のお洋服を洗濯しました。
あいにくの天気なので、部屋干し。
部屋の中にたくさん干してあるお洋服をながめていると、あの衣裳箪笥の光景がいまも目に浮かんできます。

ときをさんによる会場内写真。この写真に写っているロリィタ服の多くは、川野芽生さんの私物です。


「ロリィタ服を持っていない」
「ロリィタに明るくない」

そんなわたしではありますが、全く関わりがなかったわけではないので、わたしとロリィタの過去についてお話しします。

初めてロリィタ服を着たのは高校のときでした。

わたしにはとても親しい幼なじみがいるのですが、その子の持っているロリィタ服を貸してもらったのです。
たしか「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」だった気がする。

大きなリボンカチューシャと、シャツと、フリルがふんだんに使われたジャンパースカート。
わたしの思い描く「ザ・ロリィタ」の組み合わせのお洋服でした。
色はわたしのいちばん好きな色、ブルー。

その幼なじみの子が、ロリィタやかわいいものにハマっていた時期なんですね。
彼女はなかなか自由度の高い素敵な高校に通っていて、姫カットで、ピンクのカーディガンで、いちごのリュックで登校していた。
幼なじみなのでずいぶん文化を同じくして育っていたつもりだったので、高校生活で「かわいい」を大爆発させていた彼女を、わたしは驚きと共にとても羨ましく思っていました。

そんな彼女ではありましたが、「ロリィタ服を持っていることを親に知られたくない」という理由で、ロリィタ服を自分の家のクローゼットに納められませんでした。
そこでわたしを頼ってくれたのです。
彼女のロリィタ服は、かくしてわたしの家の衣裳箪笥に隠されることになりました。

先程の青のジャンスカと、ピンク色のワンピース。とてもかわいい柄が入っていて、アースカラーの大人しい服ばかりのわたしの衣裳箪笥の中では異色を放っていました。
それらはお店のショッパーに入ったまんまで、わたしの衣裳箪笥に長らく眠ることになりました。

「せっかくだから、しほさんも着てみようよ」
と、その2着を、ふたりでこっそりわたしの家で着ました。

まだケータイがパカパカのガラケーだった時代。
2人で鏡越しに自撮りをしてはしゃいだのを覚えています。
どこかにないかなぁ、と画像を探してみましたが残念ながら見つかりませんでした。
どんな構図で撮ったかまではっきり覚えている思い出なのに。

『衣裳箪笥のアリス』ビジュアル撮影で、ロリィタ服にはしゃぐわたし。


『衣裳箪笥のアリス』の中で、わたしの演じた「着たかった服を探す人」は、「着たかった服」があるのに、なかなかそれを認められずにいました。
フリルや模造宝石や、薔薇模様のドレスが自ら歩み寄ってくれても、手放したり、目を逸らしたり。

「それはわたしの服じゃない」

というように。

そうしたシーンを作るにあたり、この「友だちに借りたロリィタ服を着た経験」「自分のではないロリィタ服がずっと衣裳箪笥にあった経験」が、原体験として生きており、わたしの感情に作用したように思います。

実際、今回衣裳で使用したお洋服たちも、わたしの私物ではなく、あくまで借り物でした。
4回の公演を経ても最後まで、あれらはわたしにとって自分のものではなく、憧れのままで終わったのです。

『衣裳箪笥のアリス』は4回公演で、フリル役・川野芽生さんと模造宝石役・嬉野ゆうさんは毎回異なる衣裳を着用していました。
お二人は私服でロリィタを着られるので、あのまんま稽古に来て、稽古をして、あのまんま帰っていました。
ロリィタを「ハレの日のもの」でなく日常に落とし込むこと、それはまだわたしには敷居が高そうです。


ロリィタ服に憧れがありながら、なかなか着られなかったわたしにとって、『衣裳箪笥のアリス』の稽古、本番期間は夢のような時間でした。

rubyBlossomさん製作の「園遊会のガウン」、本公演のために制作いただいた特製巻きスカート。早着替えで大活躍でした。

作中に登場したrubyBlossomさん製作の「王国の指輪」だけ、手元に迎えることができました。

「王国の指輪」「模造宝石(イミテーションジュエリー)指にきらめかせ地上すべての城を手にする」


『衣裳箪笥のアリス』の最後で、「着たかった服を探す人」は全身をロリィタ服に包まれて新たな日常を歩み始めます。

けど実際に毎日をロリィタ服で過ごすかと言ったらそうじゃないかもしれなくて、
わたしのように指輪ひとつ、あるいはリボンひとつ、あるいは心の中にたましいを取り戻して、
表面上はわからないくらいの、だけど内面には大きな変化を抱いて生きていくんじゃないかなと思います。

いや、もしかしたらあの人もなにかを爆発させて大ロリィタ人間として生きていくのかもしれないけど。

どっちでも素敵だしおもしろいね!
みなさまはどう思われますか?

『衣裳箪笥のアリス』
配信は4/14までご覧いただけます。あと一週間ですね。

別の記事でも書きましたが、これは「公演の映像記録」ではなく、「『衣裳箪笥のアリス』というタイトルの映像作品」というべきものに仕上がっています。

会場で見てくれた方の入場券に配信もセットでついてますから、見ないと勿体無いよー!
まだ見てない方は、ぜひ。

また事後物販も、まもなく第一回発送を控えています。
それに間に合えば!ギリギリ!台本読みながら配信視聴というのもできます!

言葉や表現をどうぞ味わい尽くしてみてください。

さらについでに、ハッシュタグ『衣裳箪笥のアリス』でSNSに感想を書いてくれたり、
公演アンケートに答えていただけたらとってもとってもハッピー!

ぜひよろしくお願いします。

では、またね!

今日は発泡酒じゃなくてビールにしようって思えます。