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『ラブライブ! スーパースター!!』1話を語る。

こんにちは、蕩です。
今期に"スクールアイドル"が降ってきました。
虹ヶ咲に心奪われた身として楽しめるかどうか心配な気持ちはあったんですけど、不安を完全に払拭してくれるくらい最高な1話になってて衝撃でした。大泣き。

毎話ブログ感想もやってみたい気持ちはあったので、続くかどうかは置いといて始めてみることにしました。
最後まで読んで頂けたら幸いです、よろしく!!

「まだ名もないキモチ」

絵コンテ演出:京極尚彦
脚本:花田十輝
総作画監督:斎藤敦史
作画監督:いとうまりこ,加藤愛,永山恵,久松沙紀
ダンスパート作画監督:尾尻進矢,佐藤誠之

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今回の主人公は澁谷かのんちゃん
歌うことが大好きな女の子、弾き語りで伸びのある歌声を披露する気持ちいい始まり方で震えちゃいました。
ここで明るい雰囲気を纏ったまま中盤まで展開していく気がしたのですが、最初から壁に当たります

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かのんちゃんが"素晴らしい歌声"を響かせるほどに余裕な表情を浮かべている横顔から、汗や震えてる様子はもちろん"目を映さない"だけで不安や緊張感を端的に伝えているうえに、最初から"転落"を描くことで皆さんの興味を惹きつける幕開けになったのではないでしょうか。

"目"という重要な感情の判断材料を失わせる映像表現を組み込みつつ、「人前で歌うことが苦手」なんて視聴者の共感を獲得するには十分なフックを作り出してしまった時点で絶賛の嵐は約束されていた気がしますよね。

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さてさて、視聴した方はご存知の通り。
やっぱり緊張してしまう人間にとって周囲の声や目線というのは幽霊よりも怖くて、それをシャットアウトする意味合いになりそうな"ヘッドフォン"が頻繁に使われているのが印象的だったと思います。

ただ2枚目から、"誰かが声をかけてくれる"行動に対して躊躇いもなく即座にヘッドフォンを外すんですよね
かのんちゃんは心の底から周囲との関係を断ちたいなんて全く思ってない気持ちだったり、自分が音楽科に不合格だった劣等感を抱えてるのに"気にしてないフリをして話す"といったお人好しな性格を持ってる面も表現してくれた小道具芝居にもなってて良いなって。

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さあ、"素晴らしい歌声"に可可ちゃんが出会いました!
尋常じゃないレベルで追い続ける様子にある種の恐怖を覚えますが、ここまで誰かが諦めてくれないほどに"素晴らしいな歌声"なんだろうなってことが伺えます。

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何度も追い続ける描写は映したいものの、あまりに直接的で同じフィルムを使い続けると飽きてしまう可能性が大きいというか若干しつこい印象を抱きますよね。

そこで大胆な"ジャンプカット"が効果的になってます。
樹を中心として何周もするほどに可可ちゃんは歌声に惚れてしまって熱狂的な追走、少し視覚的な違和感を持たせることで新鮮な気持ちを与えるような遊び心もアニメには必要だなって再認識。面白いほんとに。

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次は定番のツンツンした生徒会長が登場です!
この"白い蝶"を使用してる理由としては、まだ彼女たちが何にも染まっていない「純粋さ・無垢」を表現しているスピリチュアル的な解釈が1つ。

他には「サナギ→成虫」になる過程を経る蝶が目の前を飛んでいるということは、彼女たちがまだスクールアイドルとしてサナギの状態から孵化して、"成虫(=スクールアイドル)"になる未来を暗示してる可能性も挙げられるのかもしれないなって。

後は、かのんちゃんが描こうとしてる道が不安定で地に足着いてない状態,恋ちゃんがスクールアイドルに実は興味あるのに家庭事情等から冷たい態度を取る(=本当の自分に対する浮遊感)を蝶が飛んでいる点から表現しているといった、様々な解釈ができると思うので、コメントお待ちしています。

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おしまいなんてあるんですか…!

好きなことを頑張ることに……
おしまいなんてあるんですか!?

満場一致の名台詞。これが『ラブライブ!』です。
かのんちゃんの悩みは誰もが経験することで躊躇う気持ちは十分にわかります、でも彼女だって本当は"歌うこと(=好きなこと)"を続けたい気持ちで胸がいっぱいなのは昔も今も変わってるはずがないんですよね。

なのに、ずっと足踏みして諦めようとしてる。
可可ちゃんは"かのんちゃんの歌声(=好きなこと,好きなもの)"を繋ぎ止めるため,スクールアイドルを始めるために諦めの言葉なんて考えもせずに手に入れようと頑張ってることが2人の対比表現になっていて、台詞も含めて重要なシーンを丁寧に作り上げたことが最後のカタルシスに対する馬力満点の起爆剤を築き上げてます。

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でも真っ直ぐに踏み出せない。
"可可ちゃんの好きなことを応援する"のに、"自分の好きなことは続けない"選択をする苦しさって何にも変えられないモノだと思うんですよね。共感フェア開催。

厳しい現状から"ヘッドフォン"でまたシャットアウトしようとしますが、またここで可可ちゃんの歌声を聴こうとして装着することをやめてしまうのが彼女の優しい性格であったり、"歌うこと(=好きなこと)"にまだ執着を捨てられない心情を小道具芝居から強調してて辛い。

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可可ちゃんの表情だけを全く移さないのが粋な演出と言うか、何となく切ない想像を掻き立てますよね。
画面の"端っこ"に置かれるかつ"余白"を多めにしたレイアウトから、かのんちゃんの突発的な1人にしてほしい気持ちであったり、好きなことを全力で追い続ける可可ちゃんに対する"劣等感"のようなものを上手く表現したコンテの切り方になっているんじゃないかなって。

ガッカリするんだよ。
いざって時に歌えないと…周りの皆もガッカリさせちゃうし…何より自分にガッカリする。
そうゆうの…もう嫌なの!   (かのんちゃん)

応援します。
かのんさんが歌えるようになるまで、諦めないって約束します。だから試してくれませんか。
可可ともう一度だけ始めてくれませんか。(可可ちゃん)

可可ちゃんがスクールアイドルを始められるようにメンバーを集める手伝いは上手くいかない、やっぱり可可ちゃんは"素晴らしい歌声"という運命的な出会いを原点にして始めたいんだろうなって台詞ですよね。

ただ、かのんちゃんの言いたいこともわかる。
自分だって周りだって"出来る"ことは十分に知っているのに、肝心な時に"出来ない"だけで勝手に募らせた期待を裏切ったような視線を浴びせられた経験って1回くらいはあると思うんですよね。ほんとにトラウマになる。
だから今回も1度は逃げ出してしまう。

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でも、「本当にこれでいいのか」と自問自答する。
この心情を"校門(=仕切り)"を超えた先は「このまま」を選択することに託して立ち止まり、引き返した方向に走り出すことで「変わる(=好きなことを頑張る,スクールアイドルを始める)」決意をお手本のように足元の芝居だけで表現してしまうなんて、圧巻すぎて鳥肌でした。

また"誰かの声"を聴くために外し続けてたヘッドフォンを、ついに"自分のため"に外す芝居でトドメ。
やっと地に足着けた状態で走り出すことが出来たっていう感動はもちろん、このフィルムは歴代の系譜を彷彿とさせることも含めて印象的なシーンになっています。

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さて、かのんちゃんの表情を"正面"から映しました。
完全に決意が固まった心情が伺えますね。
正面からのフィルムは"表情における情報量"が全て詰まってしまいますが、カタルシス爆発的な「ここぞ!」っていう瞬間に抜擢することで"真っ直ぐな決意"が凛々しい表情とともに真っ直ぐ伝わってきて爽快です。

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ライブパートは皆さん、同じ気持ちだったと思います。
私が一番好きなパートを紹介しますね。

「飛べるさ!よっしゃー!」って、力強くて勢いに溢れた歌詞を『ラブライブ!』で聴けるなんて衝撃でした。
ここまで描いた葛藤を重ねることで、"拳を握る"という振り付けの説得力とドラマチックな意味合いが爆発的に膨らんだ瞬間になってしまって。大泣きでした。
全人類が「ワクワクする」って確信した瞬間でした。

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だから「もしかして私…歌えた!!」って叫べる。
ライブで成長を示せたから言葉にするのは野暮って意見も気持ちはわかりますが、シリーズ伝統の演出はもちろん"皆に届ける"という行動が"作品のテーマ"になっている面があるので、最後の台詞を"声にする"のは大切なことだったんじゃないかなって気持ちでいっぱいです。

圧倒的に魅せられました、最高の1話でした。

個人的な感想

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タイトル演出がお洒落でしたね。
「まだ名もないキモチ」ってサブタイトルを、デビュー曲の歌詞から引用していて個人的には感動しました。

無印から受け継がれてきた"白い羽根"も最高です。
"白い羽根(=スクールアイドルに魅せられた人間)"と解釈したら、まだリュックに入っただけで気づいてない状態も含めて「まだ名もない(=気づいていない)キモチ」に出会ったという演出になってるんじゃないかなって。

こんな雰囲気で毎話ブログ書く予定です。
すみれちゃん,千砂都ちゃん推しになりそう。
皆さんと一緒に楽しみたいと思って書き始めました。
リプ,拡散して頂けたら本当に嬉しいです。
よろしくお願いします。では、また2話の記事で!!

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