マガジンのカバー画像

ブログ:映画の話

282
映画の感想文。
運営しているクリエイター

記事一覧

映画感想 ミッション・インポッシブル7 デッドレコニングPART ONE

 今回もイーサン・ハント/トム・クルーズは飛んだ!  2023年公開『ミッション・インポッシブル』シリーズ7作目。タイトルは『デッドレコニング PART ONE』。原題は8作目のタイトルが変更になるらしく、劇場公開時に付いていた「PART ONE」が消えてしまうらしい。ただでさえ何作目かわからなくなるこのシリーズだから、「PART ONE」は残しておいて欲しかった。日本版には「PART ONE」は残っている。  監督のクリストファー・マッカリーはもともとは脚本家で『ユージュ

4月4日 『マトリックス』の第5作目が作られるそうです。その話を聞いて思ったこと……。

 マトリックスの5作目が制作決定!!  ただし、ラナ&リリー・ウォシャウスキーは制作から外れる。「制作総指揮」に名前を入れるそうだが、これはたぶん、名義だけを置いて制作に参加しないやつだ。ウォシャウスキー姉妹は制作には触れないのだろう。 (名前を置いておくだけで、権限は発生するので、変なモノを作らせないくらいの抑止力にはなる)  最初の『マトリックス』の頃を思い出そう――。  あの頃のウォシャウスキー“兄弟”は凄かった。その前作である『バウンド』からすでにキレッキレだった

映画感想 すずめの戸締まり

 あの時の心残りを辿って。  2022年は大作アニメが次々に公開された年だった。2月に『鹿の王 ユナと約束の旅』、4月にヒットシリーズ『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』、8月に『ONE PIECE FILM RED』、そして12月に『THE FIRST SLAM DUNK』。そんな年の11月に劇場公開されたのが本作『すずめの戸締まり』だ。他にもアニメ映画は多く、ほぼ毎月1本以上公開されていたほどだった。果たしてこの年のアニメ映画を全部見たという人はどれだけいるのやら。  2

映画感想 アリスとテレスのまぼろし工場

 「臭い」は生きていることの証。  岡田麿里監督第2回作品『アリスとテレスのまぼろし工場』。2013年9月に劇場公開。制作は前作『さよならの朝に約束の花をおくろう』に惚れ込んだ制作会社MAAPAが岡田麿里を監督として招聘。岡田麿里はその当時執筆中だった小説をそのまま企画として提出し、映画制作が始まった。  副監督は前作ではコア・ディレクターとして関わった平松禎史。平松禎史が絵コンテから作画までを担当した。  制作会社がPAWORKSからMAPPAに変わったのでスタッフは基本

映画感想 さよならの朝に約束の花をかざろう

 アニメ史上もっとも美しいエンディング。  『さよならの朝に約束の花をかざろう』はPAWORKS制作による2018年の作品。監督・脚本・原案は岡田麿里。岡田麿里といえば、アニメ界隈では知らぬ者はいない大ベテランの脚本家。『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』『凪のあすから』『キズナイーバー』など岡田麿里脚本のヒット作は数知れず。その岡田麿里による原案による初の監督作品が本作。  副監督としてサポートに回ったのが篠原俊哉。『色づく世界のあすから』『凪のあすから』『RDG

映画感想 ゆるキャン△

 もう一度自分を見つめ直すために。  『ゆるキャン△』は2015年から『まんがタイムきららフォワード』で連載がスタートし、2019年からは『COMIC FUZ』に移籍して現在も連載が継続。現時点で600万部を超える大人気漫画である。『ゆるキャン△』がアニメになったのは2018年。アニメーション制作C-Station、京極義昭監督によるアニメシリーズは高い評価を獲得し、制作会社を変更しながら現在第3シーズンが放送されている。実在のキャンプ場をロケハンして丁寧に再現しただけでは

映画感想 スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

 アメリカのアニメーター達の意地!  マイルス・スパイダーマンがニューヨークへ戻ってきた! 2018年に第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。2023年に劇場公開された本作は、アメリカが制作したアニメーション史上最長の140分。制作費は1億ドルに対し、現在のところ6億ドルを稼ぎ出している。まだ劇場公開が終了していない国もあるはずなので、この記録はまだまだ伸びるはずだし、これからホームエンタメでも収益を伸ばしていくはずだ。  

映画感想 MEN 同じ顔の男たち

 だいたいの男は同じ顔をしている。  久しぶりにちょっと「クセものホラー」です。『MEN 同じ顔の男たち』は2022年公開のホラー映画。アメリカ映画だが、舞台となっているのはイギリス。監督・脚本はアレックス・ガーランド。アレックスは小説家としてキャリアをスタートさせ、映画にもなった『ザ・ビーチ』の原作小説を執筆している。その後『28日後…』の脚本で映画の仕事に関わるようになり、『わたしを離さないで』『ジャッジドレッド』などの脚本でキャリアを積み、2105年『エクス・マキナ』

映画感想 ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り

 どこか懐かしい、ファンタジー・エンタメ作品。  『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』の歴史は長く、今もって現代の創作史において重要な位置づけにある。  私たちが「ファンタジー」と呼ぶものの元素的イメージは、第1にはJ・R・R・トールキンによる偉大なる創作『指輪物語』が原点であるが、もう1つ原点と呼べる作品が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』だ。  歴史の始まりはゲイリー・ガイギャックスが失業中だった1970年代頃に、仲間内で作ったゲームが元になっていた(もちろんこの時、ゲイリ

映画感想 ジョン・ウィック4:コンセクエンス

 犬を連れている奴に慈悲を!  『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は2023年に劇場公開された。2014年に『ジョン・ウィック』シリーズが始まって実に9年。前作の後、パンデミックの影響でしばし休止期間を挟んだが、第4作まで一気に駆け抜けた、という感がある。  制作費は1億ドル。興行収入は4億2900万ドル。ここで1作目からの制作費とRotten tomatoでの評価を振り返ってみよう。  1作目から2作目、3作目まで制作費、興行収入ともに2倍、2倍。さすがに4作目も2倍

映画感想 ヴァチカンのエクソシスト

 エクソシストは語る。悪魔は実在する――と。  2023年、日本でもなかなかのヒットとなったホラー映画『ヴァチカンのエクソシスト』が早くもAmazon Prime Videoに登場! あのアクション俳優・ラッセル・クロウがエクソシストを演じる。この配役からすでに面白いのだけど、日本で話題になったのはプロデューサーのジェフ・カッツ。日本語に通じたプロデューサーで、本作が日本で劇場公開されたとき、SNSで感想をあげるとジェフ・カッツから返信が来ることが大きな反響となった(ハリウ

映画感想 アリータ:バトル・エンジェル

 未完成のSF大作。  木城ゆきと原作の『銃夢』がハリウッド映画化する! ……というニュースが最初に出てきたのは2000年代初頭の頃。当時は「漫画・アニメの実写化は失敗する」と言われていた(その実例が大量に生産されていた頃だった)が、しかし監督はあのジェイムズ・キャメロンだ。当時よくある例として、原作の権利を買ってタイトルは使うけど、原作とはまったくの別物にされる……それで失敗作の山が築かれていたわけだが、ジェイムズ・キャメロンはそういった例とは違う。わざわざ日本までやって

映画感想 M3GAN/ミーガン

 人間がロボットに依存するかも知れない……その危機を描いた作品。  2022年公開で話題になったホラーといえば本作『M3GAN/ミーガン』だ。製作はホラー専門映画スタジオ・ブラムハウス、プロデューサーはジェームズ・ワン。この2つの名前を聞いただけで、もう信頼が置ける。  米国では2022年12月に公開され、スマッシュヒットを記録。当時は歴代興行収入第3位を記録することになる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が公開中だったが、『M3GAN/ミーガン』はその真後ろに迫り、週

2月6日 映画『スーパーマリオ』を見ながら、ゲームの映画化の歴史に想いを馳せる。

前回  この記事を書く前日、『映画感想 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を書いたのだけど、そこでの書き漏れ、というか作品の外枠の話をするので、別の章を設けることにした。  長くなりそうだったしね。  話は「なぜ今になってようやく『スーパーマリオブラザーズ』は映画になったのか」あるいは「映画にすることができたのか?」という話。 実写版スーパーマリオはなぜああなってしまったのか? 話は1993年、実写版『スーパーパリオ 魔界帝国の女神』の頃に遡る。  ここからはW