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【心を揺さぶる名言1】正義なんてない。それでも闘うんだ (映画「チョコレートドーナツ」より)

 チョコレートドーナツという映画。この題名から、どれほどの人がこの映画の魅力を見抜くことができるだろうか。私も正直言って、題名を聞いた瞬間、甘く見てしまっていました。

 なので、映画館で泣いてしまったし、そして、もう一度、映画館でこの作品を観ることになった。心を打ちぬかれた作品です。

 チョコレートドーナツを上映するような単館映画が地元にあったことに感謝。

 ※ここから先は、ネタバレを含んでいる可能性がありますので、読む方は注意をお願いします。

 薬物中毒の母親に捨てられたダウン症の男の子。その男の子の幸せを願い、本気で育てようと真剣に取り組むゲイカップルだが、男の子との生活を阻む法律と社会の偏見を描いた1970年代の実話を基にした映画。2012年の米国作品。

 映画全体の紹介はこれぐらいにして、「正義なんてない。それでも闘うんだ」という名言について。

 これは、ゲイカップル(ダンサーと弁護士)がダウン症の男の子マルコとの生活を正当に手に入れるため、法廷闘争をしていたときの話。理不尽に見える決定、やり口に原告であるゲイカップルの2人が黒人の担当弁護士に愚痴った際、黒人の弁護士が放った言葉が「正義なんてない。ロースクールで習わなかったのか?それでも闘うんだ(正しいことのために戦うことをやめるという意味ではない)」だ。

 このシーンを見るだけでも、この映画を観る価値がある。
 世の中の不正義との対峙は、この一文にすべてが込められている。

 映画はこの後、決してハッピーな方向に映画の結末は向かわない。むしろ、残酷な結末へと向かっていく。それでも、なお、この映画に魅力を感じるのはなぜなんだろう。

 現代。LGBTへの偏見は今なお続いている。しかし、この映画の当時のような偏見は少しは軽減されている。この2人のような戦いが連綿と続いてきた、あるいは積み重なってきて、今がある。
 「いま」ももちろん、完璧な社会などでは、全くない。
 今なお続く偏見や差別に苦しみ続ける人がさまざまなステージ、立場でいる。
 この映画が示唆しているのは、単にゲイや障害者だけの問題ではない。こういった戦いが今もなお世界中のあらゆるところで続いているし、悪化している場合もある。
 社会を変えていくために闘い続けていかなければならないというメッセージであるからこそ、この映画から勇気のようなものをもらえたのだと、ふと思う。そこに魅力があるのだと思う。

2022年8月2日 トラジロウ

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