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米津玄師「メトロノーム」 今日がどんな日でも 何をしていようとも 僕はあなたを愛してしまうだろう

2015年10月7日にリリースされた米津玄師さんのアルバム「Bremen(ブレーメン)」の9曲目。

米津さんを知ったのは、息子きっかけの「アイネクライネ」スタート。

なので、米津さんに関して、アルバム発売日に一曲ずつ堪能していくという体験をしたのは、この「Bremen」が初めてだった。確か、アマゾンで注文していたCDを、仕事から帰ってすぐにスマホに取り込んで、イヤホンでじっくり聴いたような記憶がある。

全14曲の中で、心に留まったのが、「メトロノーム」「Blue Jasmine」だった。ほかにも良い曲はたくさんあるけど、一瞬で好きになったのは、この2曲だった。

ライブでも何度かメトロノームを聴いたのですが、生で聞くと、ロックテイストが強めになっていて、CDで聴く方がこの曲に関しては好みです。

メトロノームの前奏というか、曲前の最初の音。あれはなんていう楽器で鳴らしているんだろか。ゲームのクリスタル音というか・・・。

歌詞を見ていきます。

「初めから僕らで会うと決まってたならば どうだろうな
そしたらこんな日がくることも 同じように決まってたのかな」

なんだか、ほとんど何も語っていないのに、不穏な空気を感じさせる歌詞。この詩で始まる、別れのうた。見事ですね。一瞬で、魅了されますね。

「去りゆく 裾さえ つかめないでいた 弱かった僕だ」

いろいろあって、別れることになったことがここで明確に知らされます。でも、自分で相手を止めることができなかった後悔がにじみます。きれいな表現。

サビは

「今日がどんな日でも 何をしていようとも
僕はあなたを探してしまうだろう
伝えたい思いが募っていくまま 一つも減らない僕を
笑い飛ばしてほしいんだ」

未練があることを吐露し、最後は「笑い飛ばしてほしいんだ」という自虐。

「味気ない風景だ あなたがいないのなら どんな風景だろうと
出会う前に戻っただけなのに どうしてだろう 何か違うんだ」

この表現とっても、好きです。
誰かとしばらく同じ時を過ごし、別れる。その後、見えるものがなんだか違って見える・・・。

「きっと僕ら 二つ並んだ メトロノームみたいに
刻んでいた互いのテンポは 同じでいたのに
いつしか少しずつ ずれ始めていた
時間がたつほど 離れていくのを 止められなくて」

ああ、曲名のメトロノームが出てきました。別れをメトロノームに置き換えて、こんな風にきれいに、美しく、そしてとても分かりやすく二人の微妙な関係性を見事につづっている。すごいね。

「これから僕たちは どこへ行くのかな
すべて忘れて生きていけるのかな あなたがどんなに幸せでも
忘れないでほしいんだ 僕の中にはいつも」
「すれ違って背中合わせに歩いていく
次第に見えなくなっていく
これからも同じテンポで生き続けたら
地球の裏側で また出会えるかな」

この後半のサビは、少し未練が強すぎる感じがしますね。でも、こういう弱さも率直に書くんですね。
特に

「あなたがどんなに幸せでも 忘れないでほしいんだ」

はなんだか、男側の勝手な希望で、少し身勝手な感覚があります。実際にこんなことを聞かされたら、現実にはちょっとイヤになるんじゃないのかしら?
そんなきれいな恋愛ばかりではないからねえ。

まあ、未練がましい男をきれいに歌った曲として、この「メトロノーム」は本当に大好きです。

「自分を忘れないほしい」なんて思うような恋愛自体をしたことがないような気がするけどね。

トラジロウ 2022年9月7日

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