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「切り絵で世界旅」梨園劇場(北京/中国)京劇の本場で「覇王別姫」や「十八羅漢闘悟空」を鑑賞

 神戸の文化ホールで一度、京劇を見たことはあるが、本場の北京で見るのは初めてだった。北京にはいくつか京劇専門劇場があるが、私が足を運んだのは、前門建国飯店1階にある梨園劇場である。劇場のロビーでは上演前に役者が化粧をする場面を見学することもできる。日本の歌舞伎と同じように、白粉を縫った上に役柄に応じて隈取りをしていく。
 劇場の内部は広い。観客の大部分が外国人とみえて、本番では舞台横で英語の字幕が映し出される。日本語ガイド付ヘッドホンの貸し出しもあったが、役者の演技と音楽だけでも十分楽しめると考えて使用しなかった。

見ているだけで楽しい京劇の舞台

 項羽を落ち延びさせるために虞姫が自害する別れの場面「覇王別姫」や孫悟空が天界で暴れる「十八羅漢闘悟空」など、日本でもよく知られた演目は言葉がわからずとも、見て聞いているだけで楽しめる。

 京劇は360種以上もある伝統的な地方劇のうち、北京で大成したもの。楽器の伴奏、歌、抑揚のついたせりふ、舞踊的な動き、簡略な舞台装置、様式的な扮装、隈取など、日本に歌舞伎共通したところが多いが、随所にリアルな演技もみられる。いや、どちらかと言えばオペラに近い。実際に海外では北京オペラと呼ばれているらしい。
 「覇王別姫」といえば、レスリー・チャンが演じた映画『さらば、我が愛 覇王別記』が想起される。娼婦の子どもが京劇の役者になるため、過酷な訓練といじめに必死に耐えているところを助けてくれた先輩役者に恋心を抱く。やがて花形役者となった2人だが、日中戦争、文化大革命など激しい時代のうねりの中で、激しい愛憎劇を交えながら話しは展開していく。
 だが今回切り絵にしたのは、構図等などを考えて孫悟空にした。お許しいただきたい。

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