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元ネタとリメイクを見比べてみての感想

少し前になりますが、
新宿武蔵野館で公開してた『苦い涙』と
それを機にリバイバル上映された元ネタとなる映画
『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を観てきました。


主人公の名前が元ネタはPetra Von KANT、
リメイクはPETER VON KANT。
自由に翻案したとは言え寄せてる所はキッチリ寄せてきてて
これはどうしても見比べてみたくなる作品でした。

1棟のアパルトマンで展開する同性愛者のドラマで
若い愛人が中年のクリエーターの心を掻き乱すという展開は
どちらも同じですが性別が女性から男性に変わった事で
見え方も若干変わってきます。

どちらも演劇的な芝居という印象だけど
『苦い涙』はどことなくTVっぽい感じがあり、
『ペトラ〜』はアングラ的というか小劇場っぽい芝居という印象だった。

カメラの構図には大きな違いがあり『苦い涙』はよく動くなという印象に対して
『ペトラ〜』は動きは少ないが凝った構図が多かった。
『苦い涙』も主人公のキャラクター造形や美術にセンスを感じたけど
個人的には『ペトラ〜』の方が好きなセンスでした。

『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』はファスビンダー作品の編集者であった
ユリアーネ・ローレンツをインスピレーションの源泉にしているらしいが、
主人公は女性になってるとは言えファスビンダーそのものという印象が拭えないので
見比べてみると『苦い涙』の方が鮮烈(というか苛烈)なラストでした。
「ここで終わってくれたら最高だな」というところで終わるので
ラストは「苦い涙」の方が好きな感じ。
『ペトラ〜』はどこか形式的な雰囲気のあるラストでした。

という感じで元ネタとリメイクを見比べてみての感想でした。

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