【散文過去作】永遠の眼
そこには永遠と雲とが流れていた。とうにひとは滅び去っている。遥かな高みの梢からはやわらかな葉と葉が擦れあう甘いさやぎが降りそそいで、それを雨のように浴びながらそっと目をひらくものがある。何度となく見たであろう景色を、何度でもまったくあたらしいものとして受けとめているらしい無邪気な目は、まるで晴れあがった青空のように澄み、うすらとした水の膜をまとって、大気の重みと張りあっている。どこかでは地の引力に耐えかねて、細い葉脈のうえを伝い、露が滑りおちていく気配がした。あらゆるものが