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回し読み

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ぺけぽん
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だからスキを手渡したいんだ week14

こんにちは、だいすーけです。 今日はちょっとぐずついてるけどなんか最近すっかりあったかくなっちゃって。うれしい反面すこしさびしかったりしてね、コートもいらないし。お出かけもそんなにできないし、二度目だけど。こういう春は。 さて、今回はちょっと番外編。 おひとりにフォーカスしてご紹介したいなと思っています。 七屋糸さん。 先月末で連載『冷蔵庫の中から愛を込めて』の1年の毎日更新を終えたところです。今回は、その1年間の『冷蔵庫』のなかからぼくのお気に入りをご紹介。 ピックアッ

キミの涙が教えてくれたこと

もう私はこんな涙を流さないのだろうか。つぎつぎと溢れ出す滴をぬぐいながら、ぼんやりとそう思った。 長男がお絵描きや絵本作りにハマっている。口癖は「ママ、紙ちょーだい!」。画用紙に、ノートに、チラシの裏に、自分と弟が好きなキャラクターや空想の世界を嬉々と描く。 絵やイラストの才能を早々に諦めた私には、その自由な発想と作風すべてが輝かしい。4歳の手から生み出される宝物。 溢れすぎて収拾つかないし、壁の至るところに貼りまくるし、我が家のリビングはカオスに近付く一方なのだが、それ

言葉への感覚について思うこと

 「ググる」はGoogleで検索するという動作から来た言葉で、ネットで調べること全般を指して使われる。「ツイートする」はTwitter に投稿することを指している。「LINEする」はLINE を使用してメッセージを送信することを指し、「フェイスブック」はFacebook という実名登録が基本になっているネットワークサービスを指す。  わたしはこれらの言葉を小説の中で使わない。  最近、文芸誌に載っている小説などでも、これらのような言葉、ある特定の企業が提供するサービスの固

「属する」をデザインする、インクルーシブデザインとは

今年はコロナの影響で、多くのカンファレンスやイベントがオンライン開催になりました。バンクーバー在住の私としては、そのおかげで場所を問わず多くのセッションを聞くことができました。時差の問題はあれど日本のイベントにもたくさん参加できました。 中でも、4月にカナダ・トロントを拠点に活動しているデザインコミュニティー、Design X主催のカンファレンス「Remote Design Week」ではすごくいい刺激を受けました。 このカンファレンスは5日間行われ、約43の国や地域から1

【連作短歌】たぶんつばさが生えていました

昼休みカーテンゆれる君の背に たぶんつばさが生えていました うまれつきいい奴みたいな顔をして渡す置き傘 恵みの雨の 少年は恋のルールをキスで知るアウトでいいよもう負けている あなたの喉の骨をなぞってわたしたちが大人になってゆく夏 「愛 恋 違い」をGoogleに子どもらが問う夜のファミレス さよならを失う冬にさよならと言えず重ねた手と手と口と すきな人がよく眠れますようにと明日の未読に宿る祈りが 🍓🍓🍓 武田ひかくんと、短歌の『いちごつみ』しました。発端は

幼稚園だよりデビュー 【 #もさださ選手権 】

仕事から帰宅すると、娘たちが珍しく玄関までお出迎えしてくれた。 ニッコニコ。何かあるな、こりゃ。 長女(年長)「おかえり!ねえねえ、幼稚園のクラスだよりにパパ載ってたよ!」 二女(年少)「パパ、載ってた~」 三女(年少)「えへへ」 - クラスだより -  娘たちの通う幼稚園では、毎月、担任の先生がクラスの会報を書いて下さっている。イベントの結果報告や今後の行事説明、それに日頃の園児の様子などが詰まった、とても楽しみなお便り。  しかし、私が載っていたとは?  11月

ネット上で避難できる場所がある心強さ

昨夜、いつものようにTwitterのタイムラインを追っているとこんなツイートが目に飛び込んできました。 【ゆる募】 自分に火の粉がかかったこともあるし、周辺を見ていても、やっぱり創作の安全地帯があったらいいなぁと思うからちょっと動いてみます。(微動) この投稿をされていたのは【マリナ油森】さんです。 「一体どういう募集だろう?」 そんな軽い気持ちで読み始めたのが次のツイート。でも、読み進めていくうちにだんだんと軽かった気持ちはどこかへ消えてしまいました。 「これは軽

創作者は皆、チェス盤の前に座している:『猫を抱いて象と泳ぐ』感想文

小説、音楽、漫画、映画、アート全般。最初に出会ったときにはただ、あぁいいなぁと思った作品が、ひょんなタイミングで示唆に富んだ物語として目の前にふたたび現れることがある。 2011年に発行された文庫版の小説『猫を抱いて象と泳ぐ』。書店に並んだばかりのその本を、小川洋子さんファンの私は迷わず手に取りレジへと持っていった。 今年の4月に嶋津亮太さんがはじめられた「知性の交換」。本を贈り合う試みで、私が嶋津さんに贈ったのも『猫を抱いて象と泳ぐ』である。シンプルにこの本が私の一番好

拝啓 20年前の私へ

「20年前のちーちゃんから30歳の千裕さんに手紙が届きましたよ」 母からの連絡には、フェルトペンで書かれたのであろう拙い子供の書く漢字で私の実家の住所と宛名が記された茶封筒の写真が添付されていた。何をそんなアンジェラ・アキみたいな話……と首を傾げかけたところで、ばちんとその記憶は蘇ってきた。小学4年生、ちょうど20年前、国語の授業で「20年後の自分に宛てて手紙を書く」という時間があったこと。あの時先生は確かに「この手紙は20年間大切に保管されて、必ず20年後に皆さんのもとに

なぜなら、わたしがうれしいから。

車がすきだ。なぜか昔から、ずっと車という存在がすきだった。 だから特別な好意を持っているわけでもない大学の男の子からドライブに誘われたとき、「古いプレリュードに乗れる」、それだけでOKしたことがある(そして首都高で3回転半の事故を起こされ、死にかけた)。 だから母からは、「就職で鹿児島に帰ってきたら好きな車を買ってあげる」と餌にされ、ちょっとだけこころが揺れたこともある(そのときわたしが候補にしたのは、いま乗っているのと同じ車種だ)。 だからいま、世田谷区の中でもかなり

ヒノ影アランは最近悲しいことが起きすぎて書き殴ったやつをとりあえず読んでほしいのである。

なんかネットが荒れてますよね。私的なことですが最近悲しいことも連続しててつらいっすわ。こういうのって重なるんだわなあ。 ところで俺、このウェブ漫画読んでちょっと震えてしまって。 読んだ? 独特の雰囲気で面白いしクオリティ高いよね。ある種怖いけどさ。 いやね、漫画の内容っていうより、周りのクリエイターたちの怒りの方に目眩が来たんですよ。 出るわ出るわ、引用リツイートでの批判の数々! すっげぇわかるんだけど、でもね、これってそんなにありえない話かな? とも思ってて。

老若男女よ、マジパン畑で愛を叫べ!

バレンタインデーにチョコレートをプレゼントするという習慣は、日本の健全な若者たちがチョコレート会社のマーケティング戦略の罠にまんまとかかってしまった結果だというのは既によく知られている。 それでもこの日、女性から男性にチョコレートを添えて愛を告白し、1ヵ月後のホワイトデーをドキドキしながら待つという一連のイベントは、告白のタイミングがなかなか掴めない女性たちにとってはドンと背中を押してもらえる絶好のチャンスでもある。 おそらく、初恋の彼に告白をしたのはバレンタインデーだっ

己の腐海を覗いた私たちは、ガーデンプレイスを未だ知らない

みなさんは、『耳掃除』をどのくらいの頻度でやっているだろうか。 昨今の風潮では、耳掃除は中までやるなと言われてる。 私もそれに倣って、外側は掃除するものの、中までの掃除はせいぜい2週間に1回程度だ。 さて、なぜそんな私が今、耳掃除の話をしているかと言うと、最近、耳掃除専門店に行ってきたからだ。 きっかけ どうして、耳掃除専門店(以下、イヤーエステ)に行ったかというと、今年の夫への誕生日プレゼントがコレだったからだ。 夫に、「外食いく?」と聞けば、小食の夫は「うーん」と

三鷹の小さな小料理屋にて

東京都、三鷹駅。 20代前半の数年間、わたしはこの街で暮らした。 ずっと赤羽で暮らしていたわたしに、「街によって治安はぜんぜん違うのですよ」と教えてくれたのが三鷹だった。緑豊かで街はきれい。タバコの吸い殻が落ちていないし、ずらりと並んだ自転車のほとんどに、駐輪違反の紙がぶら下がっていることもない。ジブリ美術館が近くにあり、「風の通り道」と名前のついたセンスのいい道がある。 赤羽の「食材はとりあえずひとつの鍋でまとめて煮ておけ!」というようなごっちゃり感も好きだ。けれど、