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ChatGPT小説生成のススメ「拝啓、チューリング様」

1.はじめに


こんにちは!
これまで、ChatGPT生成小説を48作品投稿してきました。
この記事では、ChatGPTを使った小説の生成の方法・楽しみ方などについて、お話しします。
ChatGPTのプロンプト(指示文)に興味のある方は、2から順序よく読んでいただき、「プロンプトには興味ないけどChatGPTで小説を生成する楽しみって何だろう?」という方は4からお読みください。


ChatGPT生成小説の過去作品はこちら↓


2.ChatGPTで小説を生成するには?


■ChatGPT生成小説の工程

ChatGPTで小説を作成するにあたって、以下のような工程を踏みました。

1.アイディア出し:小説のネタをChatGPTに相談します。

2.設定とストーリーラインの作成: 小説の設定やストーリーラインをプロンプト(ChatGPTへの指示文)として人間(僕)が書き出します。

3.ChatGPTへの入力:プロンプトをChatGPTに入力。ChatGPTは学習データに基づいて小説を生成します。

4.小説の修正:ChatGPTが出力した小説を読んで、「なんか変だな~」と思う箇所の修正を行います。僕の場合は、この工程をChatGPTにしてもらったり、人力で行ったりしました。

3.超掌編小説のプロンプトの実例解説

それでは、今まで企業秘密(?)にしていた部分も含めて、「設定とストーリーライン」プロンプトを紹介&説明していきますよ~~~!

(1)参考例:私立萬葉男子学園の一瞬#27「恋愛パン男子」

まずは参考例です。

僕(人間)の指示文(プロンプト)と、ChatGPT先生の回答を交互に表示します。後ほど小分けにして解説するので、お急ぎの方は読み飛ばして(2)に行きましょう!

ちなみに作品はこちら↓

【第1プロンプト】

このプロンプトを「第1プロンプト」とします。
あなたはプロの恋愛小説家です。次の条件を全て満たす恋愛をテーマにした掌編小説を、〇〇〇〇風に作成しなさい。

1.会話文と地の文から構成すること。
2.主人公のfirst-person novel とすること。
3.登場人物は全て男性とすること。
4.彼女などの女性を表す言葉を使わないこと。

5.主人公は男子高校生とすること。
6.主人公の一人称は「ぼく」と表記すること。
7.主人公は食べるのが好きで、ヒゲじいのことが好きだけど、言えずにいること。

7.他の登場人物は、ずんぐりした中年シェフで、あだ名をヒゲじいとすること。
8.ヒゲじいの一人称は「あっし」とすること。
9.ヒゲじいは主人公のことを「ぼっちゃん」と呼ぶこと。
10.ヒゲじいは、主人公のことをかわいがっていること。

11.場所は学園の食堂とすること。
12.時間は早朝とすること。
13.状況は、主人公が学園名物の朝食ビュッフェに食べに来ていること。

14.ヒゲじいが焼き立てパンを運んでくること。
15.主人公はパンの香りにうっとりすること。
16.ヒゲじいは主人公の食べっぷりに嬉しくなること。
17.主人公がバターナイフを落とし、拾おうとしたら、ヒゲじいが拾ってくれて、顔が近づくこと。
18.ヒゲじいは主人公の顔を見つめて、かわいいと褒めること。

20「朝のパンは幸せを約束してくれる。」から始めること。
21.日本語表記の読みやすさ向上のために、地の文において「ぼくは」の表記を省略すること。

第1プロンプト

【第1プロンプトに対する回答】

「あっし、ヒゲじい」と連呼するChatGPT

【修正プロンプト】

すばらしいです!次の修正をし、再度同じ小説を作成してください。
>あっし、ヒゲじい
→ヒゲじい

地の文における「ぼくは」の省略

ChatGPT先生の回答に対する修正依頼

この参考例を、順番に解説していきますよ!

(2)ChatGPT自身の設定と生成文章の基本設定のプロンプト

あなたはプロの恋愛小説家です。
次の条件を全て満たす恋愛をテーマにした掌編小説を、〇〇〇〇風に作成しなさい。

第1プロンプトから抜粋

■「あなたはプロの恋愛小説家です。」
まずはChatGPTがどんな「文章作成者」なのかを伝えます。
例えば「プロの恋愛小説家」「スピーチライター」「エッセイスト」などです。
プロの恋愛小説家として召喚されたChatGPTは、文豪ChatGPT先生となるわけですね!

「恋愛をテーマにした掌編小説」
次に、ChatGPT先生が執筆する文章の基本設定を伝えます。
「テーマ」と「文章の種類」ですね。
テーマは「恋愛」「怪奇」「コメディ」など入力します。
文章の種類は「小説」「手紙」「スピーチ」などです。

「掌編小説」
さらに、小説の長さ(掌編)を伝えます。
小説の長さの指示をしないと、ChatGPT先生は、長編小説のあらすじみたいなのを書いたりするので、この指示は重要です。
ChatGPTは、長文が苦手だと思います。長文になればなるほど、どんどん辻褄が合わなくなっていくと思います。
なので、潔くあきらめて、みじかーーい小説をお願いしましょう!

「○○○○風に作成しなさい。」
そして、文体の個性を設定します。「○○○○風に」の部分ですね。
これは有名な作家名を入力したり、あるいは抽象的に「ロック歌手」「ラジオDJ」「スピーチの苦手な男子高校生」という個性を与えたりします。
作家名を入力すると、うまくいけばその作家の文体っぽくしてくれますが、完璧なトレースは諦めましょう。たぶん、ChatGPTが文体をマネできるほどの文章量を生み出している小説家というのは、実はあまりいないんじゃないかという気がします。
それでも作家名を入力することで、その作家の特徴的な文体に近づく気がします。

ただ、マネされる作家のお気持ちもあるかと思うので、この部分は非公開にしようと思います。
※作家名を入力すると、作家の文章をそのままコピペしてしまい、著作権侵害となるリスクは高まるかもしれません。このあたりChatGPT文章生成の難しいところですが、十分に創作的な指示を出していれば著作権侵害になるような文章生成がされるなんていうことは、確率が低い気がします。制度や技術の整備が進むといいな、と思います。(著作権侵害該当ないと考えていますが、万が一ありましたら、ご指摘いただけると嬉しいです。)

以上がChatGPT自身の設定と、生成文章の基本設定でした!

「次の条件を全て満たす~」
その後、「次の条件を全て満たす~」という枕詞に対応する「条件」として、小説の基本構造やキャラクター設定を書いていくのです!

(3)小説の基本構造のプロンプト

1.会話文と地の文から構成すること。
2.主人公のfirst-person novel とすること。
3.登場人物は全て男性とすること。
4.彼女などの女性を表す言葉を使わないこと。

第1プロンプトから抜粋

「~とすること。」
ここからは、ChatGPT先生が掌編小説を生成するにあたってクリアしなければならない「条件」を記載していくことになります。
条件っぽくプロンプトを表記するために、「~とすること。」という文末で統一していますが、たぶんそうしなくても、ナンバリングをしていれば、ChatGPT先生も条件だと認識してくれるだろうな、とは思います。
だけど、「1つのナンバリングには一文のみ」という程度の条件体裁はそろえてあげないと、ChatGPT先生も混乱するかもな、とは思います。

「会話文と地の文から構成すること。」
最初の条件は「会話文と地の文から構成すること」です。小説も色々で、全て会話文で構成されるものもあれば、全て地の文で構成されるものもありますが、一番標準的な混合タイプをお願いすることが多いですね。

「主人公のfirst-person novel とすること。」
一人称視点で地の文を書くことを求めています。
ChatGPT先生に、特に指示せず小説を書いてもらうと、だいたい三人称視点の小説になると思います。なんとなく堅苦しい、無味乾燥な文体の三人称視点の小説は、感情移入がしづらいです。少ない文字数で感情移入してもらいたいので、一人称視点を採用しました!
しかし、この条件、ChatGPT先生は、本当によく無視します!無視して三人称視点で小説を生成したりします。あまりに無視されるので、英語表記にして、少しでも精度を高めようとしています。ChatGPT先生は英語が母国語なAIなので。
しかも、「主人公の」と言っているのに、別の登場人物の一人称視点にしたりもするので、
<主人公の名前>のfirst-person novelとすること。」
というように、より指示を明確にするといいかもしれません。

「登場人物は全て男性とすること。」
「彼女などの女性を表す言葉を使わないこと。」
さらに、BL小説を書きたいので、「恋愛する二人を勝手に女性に性転換させたりしないでくれよ」とプロンプトに刻み込みます。
恋愛ってなると、ChatGPT先生はすぐ男女ものにしちゃうので、注意が必要です!

あと、この参考例ではプロンプトにありませんが、
■「丁寧語を使わないこと。
という条件も、ここに入れたりします。ChatGPT先生、ついつい丁寧な口調になりがちなので、リアリティを高めるためにも、この条件を加えるといいかもしれません。

(4)キャラクター設定のプロンプト

5.主人公は男子高校生とすること。
6.主人公の一人称は「ぼく」と表記すること。
7.主人公は食べるのが好きで、ヒゲじいのことが好きだけど、言えずにいること。

7.他の登場人物は、ずんぐりした中年シェフで、あだ名をヒゲじいとすること。
8.ヒゲじいの一人称は「あっし」とすること。
9.ヒゲじいは主人公のことを「ぼっちゃん」と呼ぶこと。
10.ヒゲじいは、主人公のことをかわいがっていること。

第1プロンプトから抜粋

先に言っておきますと、ナンバリングの7が二回出てきているのは、愚かな人間(僕)の愚かな凡ミスです。ぐぬう。。。

「主人公は男子高校生とすること。」
まずは主人公のキャラ設定です。参考例は一番シンプルなものですね。一人称視点小説だから、主人公の名前がなくても成立するわけです。ただ、名前を出したいことも、もちろんありますよね。
その場合は
主人公は男子高校生とし、名前を○○とすること。
というような条件文にします。

あと、一人称視点の特徴ですが、主人公の外見を描写してもらうのが難しいです。たとえば「主人公はかわいい男子高校生とすること。」というプロンプトを書くと、ChatGPT先生はその小説の主人公に「ぼくはかわいい男子高校生だ」って自己紹介させたりして、主人公が急に高飛車な性格設定にされたりします(笑)
なので、参考例ではもはや主人公の外見設定を諦めていますが、諦めたくない場合は
伝聞調にする。例「みんなに○○と言われる男子高校生とすること。」
・ストーリーラインで書く。例「主人公は細く長い自分の指を見つめること。」というように情景描写の中に含めていく。

みたいな小技があり得ます。

「主人公の一人称は「ぼく」と表記すること。」
主人公の一人称を設定します。「ぼく」なのか「俺」なのか。この設定によって、主人公の口調が変わったりします。
この、主人公と登場人物の一人称での呼び分け、ChatGPT先生はとっても苦手です。英語で考えてから日本語に翻訳しているせいなのか、「多種多様な一人称を使い分ける」ことを間違って小説生成したりしますが、優しい目で見てあげてください。

「主人公は食べるのが好きで、ヒゲじいのことが好きだけど、言えずにいること。」
主人公が、他の登場人物をどう思っているのか、関係性を設定します。
恋愛を描きたいなら、好きなのか、告白できていないのか、付き合っているのか、ChatGPT先生に伝えます。

「他の登場人物は、ずんぐりした中年シェフで、あだ名をヒゲじいとすること。」
他の登場人物の設定を、同様にします。
参考例はあだ名だけ書いていますが、普通は
「他の登場人物は、ずんぐりした中年シェフで、名前を○○とすること。」
というように記載します。
他の登場人物は、主人公の目で見つめられ、一人称視点小説においても外見描写が可能なので、特徴的な容姿を設定しましょう。

「ヒゲじいの一人称は「あっし」とすること。」
主人公も他の登場人物もですが、もし「名前」を設定したら、プロンプトの条件文ではできる限りその名前を使って、人物を表記したほうがよいでしょう。ChatGPT先生が混乱してしまうリスクを減らせます。
参考例のプロンプトでも、いったん「ヒゲじい」と名前をつけたら、その名前で「ヒゲじいの一人称は「あっし」とすること。」というように記載し、「他の登場人物の一人称は「あっし」とすること。」というような記載はしていません。

(5)場所、時間、状況のプロンプト

11.場所は学園の食堂とすること。
12.時間は早朝とすること。
13.状況は、主人公が学園名物の朝食ビュッフェに食べに来ていること。

第1プロンプトから抜粋

掌編小説なので、物語の中の経過時間は長くても1時間ぐらい。
その1時間のシーンの場所、時間、状況を簡単に設定します。

「時間は早朝とすること。」
特に時間は、季節、朝日・夕日など情景に関わってくるので、重要です。
季節を表現するときも、例えば
時間は冬の冷たい空気の早朝とすること。
みたいに書いてもOKです。時間という概念は、時計の針だけで表現されるものではないからです。

「場所は学園の食堂とすること。」
場所は、情景が浮かびやすい場所や、物語が発生しやすい場所を選択することも重要ですが、人が多い場所の話なのか、二人きりの場所の話なのかなども、物語に影響する要素です。例えば
場所は○○と△△だけが居残りしている教室とすること。
という風に指定すると、二人きりの物語空間を生み出せます。季節感を出すなら「場所は桜吹雪の校庭とすること。」みたいなのもアリですね。

「状況は、主人公が学園名物の朝食ビュッフェに食べに来ていること。」
状況は設定しなくても、後に記載するストーリーラインだけで良いことが多いですが、ストーリーラインの前提状況を記載しておくと、全然違う話が生成されるリスクが下がるので、少しだけ安心かな?と思っています。

(6)ストーリーラインのプロンプト

14.ヒゲじいが焼き立てパンを運んでくること。
15.主人公はパンの香りにうっとりすること。
16.ヒゲじいは主人公の食べっぷりに嬉しくなること。
17.主人公がバターナイフを落とし、拾おうとしたら、ヒゲじいが拾ってくれて、顔が近づくこと。
18.ヒゲじいは主人公の顔を見つめて、かわいいと褒めること。

第1プロンプトから抜粋

ストーリーラインにおける注意点は、「書き込みすぎない」「簡潔に一文ずつ書く」ことです。そもそも複雑な条件を全部満たす小説を作ることは、人間でも至難の業なので、ChatGPT先生も、条件が複雑すぎると混乱してしまうと思います。情景描写にこだわりたくなる気持ちをぐっとこらえて、簡潔に指示を出しましょう。どうしてもこだわりたい箇所があれば、もちろん指示してもいいですが、簡潔さは大切です。

■「ヒゲじいが焼き立てパンを運んでくること。」
■「主人公はパンの香りにうっとりすること。」
■「ヒゲじいは主人公の食べっぷりに嬉しくなること。」

ストーリーラインのプロンプトでは、主人公の行動と他の登場人物の行動を交互に設定していきます。なんとなく、互いの行動に反応し合うことによって物語や人間関係が展開していく気がするからです。
また、小説の中で出てきてほしい表現を多少意識して、動詞・形容詞・名詞を選択するといいと思います。「うっとりする」「食べっぷり」などは、他の物語であれば「恍惚とする」「旺盛な食欲」としたほうが、雰囲気が出てくるかもしれません。

「主人公がバターナイフを落とし、拾おうとしたら、ヒゲじいが拾ってくれて、顔が近づくこと。」
起承転結の転句に該当するストーリーラインは、ちゃんと指示したほうがいいと思います。平板な物語になってしまうのを避けるためには必要です。人物の関係が大きく動きそうな事柄を書きましょう。恋愛小説だったら、「抱きしめること。」「手を握ること。」「涙を流すこと。」「勇気を振り絞って告白すること。」などのストーリーラインプロンプトを、強気で指示しちゃいましょう!!!!

「ヒゲじいは主人公の顔を見つめて、かわいいと褒めること。」
起承転結の結句というわけではないです。むしろ転句の続きぐらいのプロンプトです。ChatGPT先生は小説の結句を勝手に創造するのが得意で、勝手に生み出してほしくないときも、独自の結句を書いたりするので、「文豪ChatGPT先生のこだわりなんだな。。。」と諦めて、一回任せてみましょう。
むしろ「どんな結句にするのかな?わくわく」という楽しみ方をするのがいいと思います。
また、「かわいいと褒めること。」というように、セリフを指示していますが、基本的に会話文はあまりこちらから指示せず、ChatGPT先生の創造性を試すのがいいんじゃないかなって思います。
「さあ~~~~ChatGPT先生は、どう料理するかな~~?」というワクワクが、ChatGPTを使った小説生成の醍醐味だと思います。

(7)地の文の一人称省略と書き出し指定プロンプト

20「朝のパンは幸せを約束してくれる。」から始めること。
21.日本語表記の読みやすさ向上のために、地の文において「ぼくは」の表記を省略すること。

第1プロンプトから抜粋

「朝のパンは幸せを約束してくれる。」から始めること。
小説の冒頭をどんな文章や句から始めてほしいか、という書き出し指定は、めっっちゃ重要です。これをプロンプトで示しておかないと、ChatGPT先生は主人公の自己紹介から小説を始めてしまいます。ChatGPT先生は複雑な条件を全て満たそうとしすぎて、最も効率の良い自己紹介から始めるという手法をとろうとして、「ぼくは男子高校生だ。」みたいな文章で書き出して。。。「違う!そうじゃないんだ!!」と人間は頭を抱えることになるので、書き出し指定はしておきましょう(笑)

「日本語表記の読みやすさ向上のために、地の文において「ぼくは」の表記を省略すること。」

一人称視点の地の文では主人公の一人称が主語となることが当然多いのですが、読者の方々から指摘されて気づいたのですが、「日本語って主語を省略しないと冗長になったりリズムが悪くなる」みたいなんですね。
いかんせん、ChatGPT先生は母国語が英語なので、日本語にするときに「ぼくは」「ぼくは」と何回も一人称主語を地の文で書いてしまいます。
それをやめさせるために省略を指示しますが、これを書いてもあんまり改善はされないかもしれません。後で書きますが、修正プロンプトでやり直しさせることになることが多いかもしれません。

あと、このプロンプトの特徴は「日本語表記の読みやすさ向上のために」という目的を明記しているところです。目的を明記すると、ChatGPT先生に優先度が伝わりやすくなるのか、精度が上がるような気がします。

以上が、第1プロンプトの紹介でした!続いて、第1プロンプトに対するChatGPT先生の生成小説に修正するときのプロンプトを紹介します!

(8)修正指示プロンプト

すばらしいです!次の修正をし、再度同じ小説を作成してください。
>あっし、ヒゲじい
→ヒゲじい

地の文における「ぼくは」の省略

ChatGPTの回答に対する修正プロンプトから抜粋

「すばらしいです!次の修正をし、再度同じ小説を作成してください。」
まずは褒めましょう!「再度同じ小説を作成してください。」というプロンプトもですが、「ChatGPT先生の書いた小説で基本的にはいいんだけど、一部だけ直して欲しい」ということを伝えるために、褒めておくとかも大切です(たぶん笑)。
実際、「全然ダメです」みたいなことを言うと、イチから書き直し始めたりします。

「次の修正をし」
「>あっし、ヒゲじい 
  → ヒゲじい   」

修正箇所の引用と、修正後の文章や句を、「>」と「→」で示します。
この記号を使って修正指示を出すという手法は、誰かのプロンプトを参考にさせていだきました。

「次の修正をし」
■「地の文における「ぼくは」の省略」
地の文に「ぼくは」「ぼくは」と不要な一人称が散見されるときは、第1プロンプトで書いた地の文の一人称省略のプロンプトを、もう一度伝えましょう。
この実例では、すごく省略したプロンプトで成功していますが、ちゃんと該当プロンプトを一文全部書いた方が精度は高いです(当たり前)。
また、この実例ではたまたまうまく言っていますが、1回の修正指示で盛り込む修正内容はひとつだけにしておいたほうが、精度は高いです。
それから、地の文の「ぼくは」を全て省略してしまうと、不思議と無味乾燥な印象になったりしますので、
「地の文における「ぼくは」を、いくつか省略してください。」
という指示の出し方もアリですが、うまい省略の仕方をしてくれるかは賭けです(笑)まあ、手修正でコツコツ修正した方が早いですかね。

回答し直しボタンを押してしまう!
ChatGPTには「回答し直し」を求めるボタンがあるので、それを押して、ガチャガチャみたいに何度も試して、いい感じの小説が出るのを待つ、というのも一手です。
数回ガチャをしても、いい感じにならないときは
・第1プロンプトを見直して、ChatGPTが混乱しやすそうな箇所はないか、よく確認する。(人名間違いとかあるあるです。)
・チャットルームを削除し、新しいチャットルームでもう一度試す。
・文体指定の「○○○○風」を変えてみる。

などを試してみましょう!

その他の修正プロンプトの例
一部の表現を情感豊かにしてほしいときには例えば
「○○が△△を抱きしめる箇所の情景描写を増やし、再度同じ小説を作成してください。」
などで、表現レベルを指定したりできます。

(9)番外編:アイディア出しプロンプト

参考例「恋愛パン男子」にはアイディア出しのプロンプトがないので、番外編として別の参考例をお示ししながら、解説したいと思います。
私立萬葉男子学園の一瞬#22「科学部とオカルト部の共同作業」から抜粋です!

参考例を解説する前に、なんとなく僕が意識していたアイディア出しのときの、ChatGPTへの質問の仕方なんですが
「意識の働きをChatGPTに代替させるように、ChatGPTに質問する。」
と考えていました。これは、石田衣良先生の「アキハバラ@DEEP」という作品の一節を思い浮かべていたからです。

それは父なるページのいう意識の働きを、簡潔なソフトウエアで模倣した原始的なAIである。ジャンパーは人の意識の跳躍する働きをまね、ラウンダーは反復と深化を兼ね、オポーザーはつねに対極へと反転し、ネイバーは隣接するものへ連想を広げていくのだった。 例えばサーチエンジンの使用者が、「白」というキーワードで検索をかけたとする。ジャンパーは白いシャツや船の帆から積乱雲に跳び、ラウンダーは分光器をとおした白い光りの波長を調べ、網膜の光感受性や脳の色覚路へ「白」の概念を拡大していく。オポーザーは正反対の「黒」にワープし、光りのない状態と黒の使用例をサーチし、ネイバーは淡い灰色やベージュ、白に隣接する色へと検索のフィールドを移動していく。そうして「白」について考えをラディカルに広げながら、意味を有する可能性のある情報を世界中の数百万というサイトから収集するのだ。

アキハバラ@DEEPより引用

①ジャンパー「お題の解釈をとりあえず質問する。」
②ラウンダー「お題の中の要素を詳しく深堀りしたり具体例を求めたりする。」
③オポーザー「ジャンパーの解釈と反対方向の解釈を求める。」
④ネイバー「類似する言葉(類語)や似たような概念を色々聞いてみる。」

…みたいなイメージでした。


【参考例】小説のお題について質問するチャット

①ジャンパー「お題の解釈を質問する。」

科学的なネタの解釈が多い。

③オポーザー「反対方向(オカルト)に意識を向ける。」

顔相というオカルト要素をゲット

①ジャンパーと③オポーザーを混ぜる

感情読み取り機械というアイディアにたどり着く。

アイディア出しは、定形のプロンプトがあるわけではないのですが、ChatGPTの使い方としてたぶん最も優れています。

たぶん「相談」という行為自体が、人間の創造力を高める効果があるんだと思います。

僕のアイディア出しの仕方が、なにかの参考になれば幸いです!

4.ChatGPT小説生成の楽しみ方とは?

はい!超掌編小説のプロンプトの実例解説を見てきましたが、いかがでしたか?
え?こんなに細かく設定するなら、自分で書いた方が早い?
わかりますよ~~~
そのとおりですよ~~~~~

(1)「願望を言葉にすることを怠ってはならない。」

ここでChatGPTに対する誤解を解かないといけないのですが、ChatGPTは人間の願望を察してくれるわけではないです。
何が欲しいのか、ちゃんと言葉にしないとChatGPTだって、どうしていいかわからないわけです。
ですから、小説を全然書いたことがない人は、ChatGPTに上手に小説生成を依頼することができるかというと、かなり困難だと思います。
自分の手で小説を書くことに挑戦した経験があるから、プロンプトを簡潔に必要な膨らみをもって、余白を残して、書けるんだと思います。

(2)「自分の手で小説を書くほうが早いのなら、なぜChatGPTに書いてもらうの?」

僕はChatGPT先生に小説を書いてもらうのが楽しいです。なぜかと言うと
・自分以外の作風を選べて楽しい。
・ChatGPT先生がプロンプトの余白を埋めて小説生成をするときに発生する、想定外を見るのが楽しい。
・文法の誤りによって発生する趣のようなものが、自分では書けないから面白い。
・作家側でもありながら、鑑賞者でもいられるので、できあがった小説に粗があっても味わいと捉える心の余裕がある。
・粗があっても自分自身を許せて、何度も何度も推敲して延々投稿できないという状況に陥らないので、仕事で忙しくて夜9時に帰ってきても投稿できて、文芸部活動に参加できる。
・ChatGPT先生の生成小説だということを投稿に明記しているので、普通なら教えてもらえない客観的な指摘をしてもらえる。

という、数々の楽しさ、メリットがあるからです。
最近はプロンプトに対するこだわりが強くなってきて、時間がかかるようになってしまいましたが、早かった時期だと、
「プロンプトを考えるのに1時間+小説生成10分未満+投稿30分」
ぐらいだったと思います。
これは、正直「出来映えの質」に対する諦めがあるから、こういうことができるのですが、でも本当に、文芸部活動に参加できたのは楽しかったです!大人になって初めて文芸部活動に参加できたの、良い思い出になりました!

(3)「ChatGPTの小説生成は陶芸っぽい」

ChatGPTの小説生成って陶芸っぽい楽しみ方やこだわり方をするのがいいと思います。
粘土で器の原型を作って、釉薬を塗って、竈に入れると、火が「焼き物」にしてくれるけど、出来映えにはバラつきがあって、全然ダメなものもあれば、想定外に美しいものもある。。。
そういう陶芸と同じで、こね上げたプロンプトをChatGPTという竈にいれると、言語モデルという火によって、バラつきのある「小説」が生成されるわけです。
思いがけない出来映えに出会えることが、とても楽しいです!!!

5.終わりに

以上がChatGPT生成小説の作り方・楽しみ方でございました。
終わりに、ごにょごにょとお話しさせてください。

(1)ChatGPT生成小説実験を始めたきっかけ

ChatGPT生成小説の実験を始めたのは、人生模索の一環でした。
「とにかく、このまま仕事で人生が溶けていくのが、もう本当にいやだいやだいやなんだよ~~~~!」
という叫びが、長らく心にこだましていました。

そんな矢先、AIに詳しい友人が、生成AIのことを教えてくれました。
イラスト生成AIだったのですが、その仕組みを教えてもらったとき、「なんとなくできそうな気がする。」と思いました。
自然言語で簡潔に指示文を記述するということが、わりとイヤじゃないというか。できそうって思いました。
「イラストを生成できるなら、文章はもっと生成できる」そう思って、ChatGPTのログインの仕方を友人に教えてもらって、10年以上前にみじかーーーい小説を書いたことがある経験をベースに、小説プロンプトで遊び始めたのが始まりです。

「何かを始めたら人生、もう少しなんとかなるかもしれん!」
と一念発起し、noteの登録をして、ChatGPT生成小説の実験を毎日投稿することにしたのです。

(2)BL小説シリーズで実験した理由

言うほどBL小説ではなかったかもな、、、と振り返れば思うのですが、イメージとしては耽美な男子校の一瞬を描くシリーズにするつもりでした。萩尾望都先生の「トーマの心臓」みたいな世界観を意識していました。

BL学園小説シリーズで実験しはじめたのは、
①BL小説が好きな人達は、それぞれの好きなポイントが違ったりするから、それぞれが自分なりの物語を欲しているので、ChatGPTで自分の好きなBL小説を生成したいニーズが強くあるんじゃないかと思ったから。
②恋愛小説が、「告白する」「付き合う」「喧嘩する」というお決まりの物語進行でも、微細な違いがあれば何度も楽しむことができるエンタメで、毎日投稿するChatGPT生成小説実験としては、微細なプロンプト変更だけで毎日生成できるから。
③学園ものにしておけば、世界観の説明を省略することができて、超掌編小説の文字数制約をクリアしやすくなるから。

というような理由からでした。
結局、性的描写が制限されているChatGPT先生に強めのBL小説を書いてもらうわけにもいかないこともあって、なんか初々しい感じの、ちょっと独特なBL学園となりました。

(3)小説書きの皆さんにChatGPTで小説生成をしてほしい!

ここまで読んでくださった方には、ぜひぜひChatGPT生成小説を作ってみてほしいです!

そもそもなんですが、巷ではChatGPTのビジネス利用がたくさん喧伝されていますけれど、ChatGPTって「上手に嘘をつく文章生成AI」だと思うので、なんというかあんまりビジネス利用ってうまい使い方じゃないのでは?という気がしています。

一方で、「上手に嘘をつく」ChatGPTの危険性のニュースを沢山見ます。フェイクニュースや陰謀論があふれかえるSNSの世界に、大量の悪質な嘘がばらまかれてしまうのではないか、と心配になります。

ChatGPTを使って、人々を分断するのではなく、つなぎ合わせ、孤独に寄り添い、ほんの少しでも「良い方向」に向かっていく道があるとしたら、それってたぶん小説家の仕事なんじゃないかと思うんですよね。

どこかで孤独に過ごしているあの子に、そっと物語世界を忍ばせて、過酷な現実と向き合うための言葉を届けようと、上手に嘘をつくのが、小説家の仕事だからです。

誰かを呪うためではなく、誰かの祝福のために、上手な嘘をつく機械「ChatGPT」が小説家を助ける未来。そんな未来が来たらいいな、と思って、この解説を書きました。

今のChatGPTの性能だと、自分で書いたほうが早いとは思いますが(笑)、良かったら、第1プロンプトをコピペして、好きなように改編して、ChatGPTで小説を生成してみてください。

みなさんのChatGPT生成小説を読んでみたいので、小説生成されたら、コメント欄に告知していただくか、
#ChatGPT生成小説
#AI生成小説
ってハッシュタグをつけてもらえるとうれしいです!ChatGPT小説じゃないですよ。ChatGPT生成小説ですよ。しかもhatは小文字ですよ!(笑)

(4)終わりの終わりに。拝啓チューリング様

はあ~~~~~
やっと最後です。
自分で文章を書くって、本当に、本当に、本当に大変ですよね。
ChatGPTを使ってこの解説を書こうと思ったんですけど、長文すぎてうまく使えなかったです。

さてさて。チューリング様のお話です。
チューリングテストってご存じですか?

チューリングテストは、人工知能が人間と区別できないほどの知能を持つかどうかを判断するテストです。
かつてアラン・チューリングという、数学・暗号解読・計算機械の天才が提案した実験で、どうやら「人間の質問者が機械と会話をして人間か機械か判別できない場合に、その機械が「思考」していると言える。」というテストのようです。(wikipedia参照)
チューリングは、偉大な功績をたたえられていますが、同性愛の罪で捕まってしまい、その数年後に命を落としています。

現代ではLGBTに対する理解や受容が進み、よりオープンな社会が形成されつつある、、、チューリングの時代に比べればそのとおり。
だけど、今、これを書いているときにも、LGBTの著名人の訃報に触れています。

僕は、私立萬葉男子学園シリーズで、同性を好きなことについて誰からも否定されない学園生活を描きたかったです。萩尾望都先生の「トーマの心臓」みたいに耽美ではないかもしれないけれど、「否定されない」世界を描きたかった。

僕がChatGPT先生に頼んで書いてもらった「上手な嘘」が、誰かの祝福になって、少しでも良い未来をたぐり寄せたらいいなと思っています。

今もどこかにいる、チューリングへ。祈りを込めて。





#創作大賞2023
#オールカテゴリ部門



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