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【読書日記】2月/2023

2月に入ったからもうすぐ春が来るなあ、なんて油断して蓋を開けたら雪の多いこと。事故なく過ごせてよかったです。

さて、2月の読書感想文です。

華氏451度〔新訳版〕

本が燃える温度、それが華氏451度。
本を読むことも所持することも禁止された世界を描くディストピア小説。
文章が詩的な表現が多いように感じ、最初は読むのに時間がかかったが、慣れてくると独特な言い回しや世界観に魅了される。心に刺さるセリフが多く、普段読書をしない人にも読んでほしい本だ。
設定はもちろんフィクションだが、いま自分たちの世界がこのディストピアに向かっていっているような気がしてならない。いずれノンフィクションになってしまうのではないか、と思う。そういった意味でも面白いので、読んだことない人はぜひ!

残月記

とあるおすすめで購入した本。
月にまつわる物語を3編収録。月の神秘さと同時に未知なものへの恐怖がじわじわと感じられる。
思ったよりエグかったりグロかったりするシーンもあるので苦手な方は注意。
それらが平気ならとても面白い!この本を読んだ後は月に畏怖の感情を抱かざるをえない。

ハリー・ポッターと賢者の石/秘密の部屋

言わずと知れた名作。子供の頃クリスマスの朝に、ハリーポッターの本がサンタお手製のブックカバーにかけられ、枕元に置いてあった時のあの素晴らしい体験を、今でもはっきり思い出せる。
最近20周年の節目を迎え、特別番組やゲームの発売、今までの映画もNetflixでシリーズ全作が公開になっており、再度盛り上がりを見せているハリーポッター。
先日、久々に映画を全て見返した。そうすると、小説での場面も次々思い出され、思わず読み返した。映画と小説では、もちろん細かい部分が異なってくるのでそれを探すのも楽しい。何度読んでもワクワクさせられる、名作。

コーヒーと恋愛

特別に美人ではないが、親しみを与える雰囲気でお茶の間の人気者である女性。その女性はコーヒーを淹れるのが天才的に上手だった。
そんな彼女と事実結婚をしている歳の離れた年下夫が「生活革命」と称して他の女性の元へ去ってしまう。
コーヒーと恋愛もようが濃く混ざり合って面白かった。少し昔の作品で、当時の生活の雰囲気が文章からむんむんと湧き立っているところも魅力的だ。
とにかく言えることはコーヒーがすぐにでも飲みたくなるということ。しかも自宅で自分で淹れたコーヒーがいい。

魔法にかかった男(ブッツァーティ短篇集Ⅰ)

イタリアの奇才と言われているブッツァーティの短篇集。どの話も不思議で少し怖いような、それでいてかなり幻想的な世界観。幻想的とはいっても舞台は日常的な風景で、その平凡に見える日常の隙間から幻想的であり恐怖の元であり、そういったものがじんわりと滲み出てくる。そしてそれらが去った後も、見た目は変わらないがこれまでとは決定的に違う日常になっている、といった展開が多く非常に面白い。日常の隙間から見えてしまった、迷い込んでしまった不思議な世界の話はどうしてこんなに魅力的なんだろう。

短編の一つ一つは5分か10分で読めるので、移動中や作業の小休憩にちょうど良い。


最近やはりディストピア系を読むことが多くなった気がする。いくつかのディストピア小説は現状で絵空事じゃなくなってきている気がして、ある意味リアルを感じる部分があり興味深い。

今回読んだ中では華氏451度とブッツァーティ短篇集がお気に入り。詩的な表現というか独特な文章のリズムが楽しい。そしてふと気づくと、心にグサッと深く刺さっている言葉がいくつもあって驚く(ブッツァーティは物語自体に考えさせられる)。そして読み終わった後もその言葉(や物語)について考えたりする。それがかなり楽しい。するめのように噛めば噛むほどうまい。

さて来月はどんな本を読もうかな。
いま手元にある本を読み返すのもいいなぁ。

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