全てのうつ病が認知症になるわけではない
うつ病というと、皆さんはどんなイメージを抱きますか?
ニュースを見ていると、ブラック企業で働いている方だったり、介護で疲れた人なんかがうつ病になるといった報道が多いように思います。
もちろん、それはそうなんですが、実際は定年退職した後にもうつ病になります。
お年寄りのうつ病も案外多いものです。
そして、高齢になってからのうつ病は認知症のリスクだという報告があります。
つまり、年を取ってからうつ病になると、その後に認知症にまでなってしまうというのです。
なんとも悲しい話ですが、そういう報告が相次ぎ、これはもう事実なんだろうと認識されています。
ただ、どんな場合でもうつ病になったら認知症になるのか、というのは長年の疑問でした。
本当に、そんなに単純な話なのか。
人によって違うのではないか、という疑問です。
これを調べた論文が最近発表されましたので、それを今回はお知らせします。
論文タイトル: 10-year trajectories of depressive symptoms and risk of dementia: a population-based study.
雑誌名、発表年:Lancet Psychiatry. 2016.
これはオランダで行われた調査で、うつ病の症状はあるけれども、まだ認知症にはなっていない、55歳以上の方が調査対象になっています。
その方々は合計で3325人です。
この人たちを10年間追跡調査して、うつ病の経過と認知症の関係が調べられました。
ここでは、うつ病の10年の経過を、下記のように5つのグループに区分けして考えています。
1. うつ病の症状が軽い状態で持続している人たち(全体の73%)
2. 初めは重度のうつ病の症状があったけれど、その後に治った人たち(全体の11%)
3. 初めはうつ病の症状が軽かったが、その後に悪化し、最終的には治った人たち(全体の5%)
4. 初めはうつ病の症状が軽かったけれど、じわじわと悪化していった人たち(全体の8%)
5. 初めからずっと重度のうつ病症状が続いている人たち(全体の3%)
この中で認知症になるリスクが高いのは、どのグループか分かるでしょうか?
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