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湿地帯観察記録2023/05/02


近隣の水田に水が入ったので、帰り際に観察をしに行った。

まず最初に出会ったのはアメリカザリガニの亡骸を捕食するミイデラゴミムシだった。
ザリガニは頭が潰れており、内容物が噴出したように飛び散っている事から見て、何者かに加害されてこうなった可能性が高い。
人為的なものか、もしくは獣が捕食を行っている最中に自分が訪れてしまったかのどちらかだろう。
そして、仮にザリガニが生きていたとしても自分が捕獲して餌に使っていたと思うが、現地のスカベンジャーの餌資源となる方が健全なはずだ。

ミイデラゴミムシを握ってみると、お馴染みのガスを噴射してきた。
非常に高温となり尚且つ皮膚に浴びれば1週間は変色したままとなるが、ゴム手袋を装着していれば問題無い。
自分が採集時にゴム手袋の装着を基本としているのは、この虫を含むゴミムシ類が噴出するガスへの対策という面が大きい。
以前にも語った事だが、正直な所オサムシやゴミムシの匂いが手に付いている方が採集後もその虫との触れ合いを思い起こす事ができて好みではあるのだが、商売道具兼交流道具である右手をわざわざ危険に晒すリスクを負ってまで感じる悦楽ではないと判断してゴム手袋を使っている。
というより、周りからもそう勧められている。
(そもそも飼育個体の匂いをいつでも嗅ぐ事はできる)

その他、寄生虫リスクの高い陸生巻貝に触れる機会も多い事、草葉による切り傷を防げる事、採集後に手を洗わなくて済む事などのメリットがあるので、ゴム手袋は重宝している。


ミイデラゴミムシはかなりの数が見られた。



次に見かけたのは謎のゴミムシだった。

この脚の美白はキアシヌレチゴミムシのものだろうか。
このポイントでは最優先種に思えた。
少し遅れて羽化した個体が、水田内に水が入ったために慌てて地上に現れた可能性が高い。
ゴミムシは羽化直後の軟弱な体でも活動を行う種類が多いが、ここまで色が薄い状態で地上を闊歩する個体となると少し稀になる。


他にはコキベリアオゴミムシが数多く見られた。
こちらの湿地帯では珍しくないが、ある程度良好な自然環境でなければ見られないので、ゴミムシを探す際はこの虫が確認できるか否かが環境の指標となる。
最低限、この虫は確認しておきたいというレベルに位置する虫とされている。

2022/06/30撮影
干上がった用水路内でヤゴを捕食する
コキベリアオゴミムシ。
右上にはシマゲンゴロウの物と
思われる鞘翅がある。


ただし、絶滅危惧IA類アオヘリアオゴミムシはこの虫さえもほとんど見られない環境に突然現れたりする事もあり、知れば知るほどよく分からなくなってくる。(最低限要求する環境等の条件はいくつかある)
調べていくと、コキベリさえもよく分からなくなってくる。


今年もアオヘリアオ考察によって脳に負荷をかけられ続ける1年になるのかもしれない。



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