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喜びや、悲しみや、苦しみも全部持って。sumika夏の幕開けJOIN ALIVE

先週、バンド10周年を記念して3日間限定で公開されたsumikaのドキュメンタリー映画。隼ちゃんが頭を振ってギターを弾き、ニコニコしながら話すシーン。もう二度と会えない彼の姿が映るたびに涙が溢れた。終盤のインタビューの中で、片岡健太はこう話していた。

「ここで俺らがやめてしまったら、sumikaに関わっている人、好きでいてくれる人全員のsumikaの記憶がバッドエンドになってしまう。それだけは絶対に避けたかった。sumikaを、sumikaを応援してくれた人たちをハッピーエンドにするためにも、続けていくということを選びました。」

その言葉通り前向きな未来を期待してしまう、そんな夏フェス1発目を地元北海道で見た。

私が隼ちゃんを最初で最後に見たのは4年前のジョインだった。そして2回目の出演となる今年は1日目の1番大きなローズステージのトリを飾り、岩見沢を沸かせた。


その日は朝からずっと雨が降っていて、まさに「雨天決行」が似合う日だった。

ステージに掲げられていたJOIN ALIVEのロゴの幕はsumikaの幕に変わった。トリのバンドの特権だ。

リハはゲストメンバー、荒井さん、おがりん、片岡さんといつもの順番で出てきた。
サウンドチェックの第一声から片岡さんらしい優しさが出た。
「最後まで残ってくれてありがとうございます」
拍手が起こった。sumikaのためなら日付が変わろうが朝になろうが待ち続けますよ。そういうオールナイト型フェスのライジングというのも北海道にはありますので。

そしてsumikaのフェスではお決まりの
「本気のリハーサル開催しまーーす!!」で一気にローズのテンションが最高潮に達した。

リハ1曲目はsumika初の全国流通盤に収録されているカルチャーショッカー。「ダンスするよ、ダンスするよ」と軽快なリズムでダンスした。
新世界オリハルコンはメルカリとかじゃないと手に入らない。それくらいのレア曲を聴けたのはラッキーだった。

リハ2曲目はPorter。1番だけで本番同様の盛り上がり。それだけで感情を全開にしてる素直な自分を好ける。無敵な気持ちになれる。

そしてついに本番。
1曲目は伝言歌。
えええ!?いつも最後に持ってくるその曲!?
「伝えたい 全部あなたに 全部伝えてこの言葉を迷わないように」
声出しが戻ってきてから初の夏フェスで、でっかいシンガロングが生まれた。
隼ちゃん!コロナ明けてからの夏フェス、sumikaのトリが始まるよ!!見てて!!
そう心の中で私は言いながら空に向かって「伝えたい」と歌った。
「この曲を1曲目にして良かった」
ファンも1曲目にこの曲を聴けて本当に良かったよ。


2曲目はLovers。最後の最後にあなた朽ち果てるまで愛し抜いて行きたいと思うのです。この歌詞が今はより一層好き。色々なことがあっても朽ち果てるまでsumikaを好きな気持ちは変わらない。そういう意味を持つようになったから。

3曲目の直前、片岡さんがオレンジのギターに持ち替えた。あれ隼ちゃんのギターと同じ型のものだよね?まさか、、
と思ったら「雨で元気がないんじゃないか!?こんな時にかける呪文があるんじゃない?」片岡さんの言葉で歓声が上がった。
ふっかつのじゅもん。
ハマスタの映像で見た隼ちゃんのギターで片岡さんがソロを弾くところを生で見れた。かっこよくて見惚れてしまった。
雨で冷え切って疲れていた体が、ハイになって体力が戻っていた。


「残ってくれてありがとう。風邪ひかないようにね。」どこまでもファンを気遣う片岡さん。

だけどこの時なんと雨は止んでいた。
始まってから小降りになった雨が、
ふっかつの呪文が終わった頃には止まった。
「止んでるの!?
他のバンドの皆さん、ごめんなさいね!!」

完全にsumikaパワーだ。
すごい。
このバンドはすごい。

「後ろの方までこんなにたくさん!!よく見えてるよ!ありがとう!!」
振り返ると、後ろの芝生にはたくさんのレジャーシートに座る人たちが手を上げていた。あまりの多さに驚いた。会場の芝生エリアは丘の上からステージを見下ろすようにすり鉢状になっている。
雨も降らなくなって、こんなにたくさんの人たちが楽しんでるなら、彼らがトリじゃないとな。

「僕達を知らない人も沢山いると思う!
雨の中最後まで残ってくれたこと絶対に後悔はさせません、sumikaです!よろしくお願いします」

4月のアラバキでも初めて見る人にも楽しんでほしいと言っていた。自分たちを知らないなんておかしいとか思わず、その上で楽しませたい精神。人間としても素晴らしいんですよ彼らは。

フェスでは定番の1.2.3..4.5.6、マイリッチサマーブルースでは前方エリアも後ろも全員でタオルを回した。「雨のち晴れのち雨だって抱いていた感情全部持ってゆこう」と語りかけるイコール。

片岡さん、ゲストメンバーのジョージさん以外の全員が捌け、音源だけでBabelが始まった時は息を呑んだ。「気を配ったり服無理したり文選んだりもう二度としないわ」Loversと同じ人が作ったとは思えないトゲのある曲。sumikaの新境地のアルバム曲をフェスで聴けるとは思ってなくて驚いた。

Travelingは4年前のジョインでもやってくれた曲だった。リラックスできるメロとは裏腹に彼女が旅に出てる間に彼氏がイケないことをしてるという歌詞。これは4年前のジョインでもやってくれた。書いてて思うけどめっちゃいいセトリだな、、

終盤、春夏秋冬をしっとりと歌い上げた。

「ありがとうもさようならも此処にいるんだよ
ごめんねも会いたいよも残ったままだよ
嬉しいよ寂しいよも置き去りなんだよ
恋しいよも苦しいよも言えていないんだよ
また風が吹いて思い出したら
春夏秋冬巡るよ」

切ない失恋ソングだけど、やっぱりまだ隼ちゃんに伝える言葉でもあるなと思ってしまう。これからの夏も、4人のsumikaを見たかった。

「マイリッチから俺ずっと息切れしてるんだよね。今日1日分の水を吸ってだいぶ重いタオルを回してるってことだよね!隣の人の首が飛んでるとか無い!?」
会場中が笑った。タオル回しの後はかなり私もハアハア言ってて良い有酸素運動になった。

「すごく悲しいこともあったけど。
悲しいことばかりだったんじゃないかって思ったこともあったけど。
悲しみを打ち消すのは、何かに夢中になること。
夢中になれるものがあるうちは、
音楽に熱狂できるうちは、
俺の人生はまだ大丈夫だ。」

またsumikaとして歩いていくと決めてくれて、
ライブ再開後の春フェスで楽しい音楽を届けてくれた。
その時よりも、前を向いてくれているように見えた。
アラバキで見たときは周りは泣いていたけど、ジョインで見ていた人たちには笑顔が戻っているように見えた。

ハッピーエンドを目指して進んでいくと決めてくれた彼らなら、きっと大丈夫だ。

もうフェスじゃ足りないから私もこれからはsumikaのワンマンにたくさん足を運びたい。
大先輩のトリビュートアルバムに参加してsumikaがカバーした曲を聴きたい。
sumikaが主題歌をやる朝ドラを見たい。
そんな未来に期待しても、いいよね?

ここでShake&Shake。
sumikaらしくしんみりした空気を変える曲。
聴くのは二回目だけど何回聴いても
史上最高の今を信じれる歌詞。

そして最後の曲。
突然サビ前の「ウォーオーオーオー」が始まり、
その日一番の歓声が上がった。

ずっと生で聴けるのを心待ちにしていた、
Starting Over。

ラスサビのこの歌詞を歌うのを楽しみにしていた。

喜びや悲しみや苦しみも全部持って
憧れや羨みも隠さずに持っていて
諦めのその逆を血の滲むような強さで
抱きしめて捕まえてもう二度と離さないで

ジョイン2日間を通して、一番の大きな合唱だった。

悲しい過去は変えられない。
寂しさがなくなることもない。
隼ちゃんの代わりになる人は誰もいない。
その上で悲しい空白ではなくポジティブなクエスチョンに変えてsumikaの楽しい音楽を作っていきたい。片岡さんがハマスタで言っていたこと。
彼らなりのsumikaとして歩いていく方法を
見つけてくれたんだと思う。

それなら、もう二度と離さなずに一生ついてくしかないよね。

本編が終わり、アンコールはフィクションだった。

「さあ明日も、始めましょうか」で締めくくった。

大学時代から私のやる気になってくれるこの曲を、最後にまた聴けてよかった。


もうやめてしまいたくなるような悲しいことがあっても、ハッピーエンドを目指してもいいんだ。
荒井さんは映画の中で片岡さんの言葉を聞いてそれに気付かされたと話していた。

私もライブを通してsumikaに教えてもらった。
心が折れるような事があっても、思い出はいくらでも重ねていける。
隼ちゃんのギターで聴けなかった曲はたくさんあるけど、それを埋められるものは無いけど、進んでいく3人をこれからもたくさん見たい。宝物の記憶をたくさん増やしていきたい。

最高の夏フェス1発目を飾ってくれたsumika。


これからの夏も秋も冬も春も、
たくさんその姿を見届けさせてください。


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