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#旅と写真と文章と

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オンラインコミュニティ「#旅と写真と文章と」共同運営マガジンです。「世界は広くて、とってもキレイ」。
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島と、花と、日々と。きっとこれからの私を、彩るもの。

島と、花と、日々と。きっとこれからの私を、彩るもの。

新しい部屋に足を一歩踏み入れたとき、「あぁ、風が通り抜ける美しい場所だな」と思った。

高台の、ビンテージマンションの最上階。二面採光どころではない、三面、ほぼ四面、みたいな明るさで、部屋にいながらにして朝陽と夕陽、さらには海と、誰もが知っているであろう歴史的建造物が見えた。

「窓を開けると、風が気持ちよく吹きます」。この部屋を知るひとは、私にそう言伝をした。着いたら、まず窓を開けよう。

そう

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#旅と写真と文章と 2年目に突入!次期 #WINTERクルー の募集を開始します✈︎

#旅と写真と文章と 2年目に突入!次期 #WINTERクルー の募集を開始します✈︎

■#旅と写真と文章と クルー参加のためのBASEページはこちら

世界をこの目で見てみたくて、旅を始めて早数年。途中から「ひとり < 共感の輪」を大切にしたくなって、2017年12月に「#旅と写真と文章と」という名前のオンラインコミュニティを作りました。

3ヶ月に1回、クルー(参加メンバー)総入れ替え制で4度の募集。1-3期、4期、SUMMER、AUTUMNと、それぞれ120-130名ほどのクル

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師走とは、また新しい年を美しく迎えるための、まるで優しい準備のようだ

師走とは、また新しい年を美しく迎えるための、まるで優しい準備のようだ

ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきたのだ。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。――その音にさそわれて僕はギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。(村上春樹『遠い太鼓』より)

遠くで、時間の流れ出す音がした。さらり、砂がこぼれ落ちて、もう止まらなくなってしまうような。一度はきちんと涙で固めたのに、時間が経つというのは恐ろしいことね。

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カラダは、旅先に心を置いて帰ってしまう。#モロッコ10days の夢の跡【カタール・ドーハ→日本・成田】

カラダは、旅先に心を置いて帰ってしまう。#モロッコ10days の夢の跡【カタール・ドーハ→日本・成田】

朝起きたら、一瞬ここがどこか、分からなかった。否、まだ私は、モロッコにいるのかと思った。

こういうことは、家をなくしていた時期によくあった。

旅を、続けて、つづけて。3晩と同じ屋根の下で眠ることがなかった季節。長くても、同じ宿には7晩。それ以後はずっと動いて、街を変えて、国を変えて、言語も文化も変えて。そんな時期を、約2年過ごしたことがある。2016年4月から2018年2月まで。

ごく最近の

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足裏が地面に数センチ近づいたら、旅が始まる合図【日本・東京→モロッコ🇲🇦】

足裏が地面に数センチ近づいたら、旅が始まる合図【日本・東京→モロッコ🇲🇦】

地面に数センチ近づくと、「旅が始まるのだな」と感じ始める。東京にいると、どうしてもヒールの靴を履いてしまう。それはきっと、まだ背伸びをしたいから。見栄を張って、強がって、それでも私はこの街で生きていくのだと、大勢の中に、混ざってどこか安心をしたいから。

「ヒールの高さだけ、違う世界が見える」みたいなことを、昔誰かから聞いた。数センチ高い距離から見るネオン、階段との距離感、あなたとの顔が近づく、そ

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雨上がりの静けさ、響く夜、連休のおしまい【日本・東京】

雨上がりの静けさ、響く夜、連休のおしまい【日本・東京】

久しぶりに、しんと静まりかえった夜。どこか安心する、小さな耳鳴り。「うるさいくらいの静寂」は、「頭痛が痛い」とは少し違って、日本語として成り立っているように私は想う。静けさや寂しさは、時折音を鳴らしながら私の横を通っていく。

走って走って、どこへ行くのか。何度目かの夏はまた指をすり抜けて、花火をもう一度楽しみたかったのに、秋の風を連れてくる。「順番」は、時に意地悪で、けれどずっと守られるものであ

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見えなくなるまで見つめるなんて、しないから【ポーランド・ワルシャワ】

見えなくなるまで見つめるなんて、しないから【ポーランド・ワルシャワ】

彼女たちを乗せたバスが走り出したとき、その背中の空は青かった。昨日も一昨日も、その前なんかたしか少し夕刻に雨が降ったような気さえしたのに、今日のその時に限って雲ひとつない快晴の美しい夏の日だった。

こんな時に限ってバスは信号に引っかかったりしないのだ。何も障害なんてなくてまっすぐまっすぐ、彼女らを乗せたバスは小さくなって、点になって、やがてその角を曲がって私の知らない道をゆく。

とかいって私は

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伊佐知美と行く、海外旅ツアーが始まります!〜モロッコ周遊7泊10日間〜

伊佐知美と行く、海外旅ツアーが始まります!〜モロッコ周遊7泊10日間〜

こんにちは、伊佐知美です。

私には人生で大きく2つ叶えたい夢がありました。それが「自分の名前で本を出版すること」「長い期間、世界を自由に旅すること」。

29歳で書籍出版の話を運良くいただき、同じく29歳で初めての世界一周に出発しました。

オーストラリア・ウルルの砂漠でチェックしていた、書籍の第一稿

2016年4月に出発した1度目の世界一周旅

30歳で一度帰国、そして出版も経て、「もうこれ

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世界で一番愛してる、空港での待ち合わせ【アメリカ・ロサンゼルス→キューバ・ハバナ】

世界で一番愛してる、空港での待ち合わせ【アメリカ・ロサンゼルス→キューバ・ハバナ】

ロサンゼルスからシャーロット空港を経由して、私はキューバ・ハバナへ向かうことにした。けれどどうして、メキシコシティやカンクンを経由するルートもあったのに、アメリカ乗り継ぎ便を選んでしまったのだろう?

キューバの入国は、ほかの国とちょっと違って少しだけ手続きが煩雑だ。私は、出国直前にルイスくんや東松くんなど旅の先輩方にお知恵を借りて、「ねぇねぇアメリカからキューバ入国って、問題なくできるかなぁ?」

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1枚の写真と見知らぬ男の子との出会いが、私を救うこともある【アメリカ・ロサンゼルス】

1枚の写真と見知らぬ男の子との出会いが、私を救うこともある【アメリカ・ロサンゼルス】

街を歩いていると少し不安で、ふわふわした心はまだ落ち着かない。沈殿を待つといっても私はこれから動き続けるから、きっと日本に帰るまで沈殿は始まらない。としたらこの浮き立つ心と多少の不安を、私は抱えながら落ち着くのを待つしかない。

旅をはじめたばかりの時は、やっぱり「心はいつも、カラダに遅れて旅先にやってくる」と感じる。6月1日の夜に成田空港を出たら、ロサンゼルスには6月1日の昼間に着いた。

あと

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「旅先で受けた恩は、次の人へ渡しなさい」【アメリカ・ロサンゼルス】

「旅先で受けた恩は、次の人へ渡しなさい」【アメリカ・ロサンゼルス】

初めて世界一周の旅に出た2016年4月のあの日、私は世界がすべて敵になってしまうんじゃないかと怯えて、性善説を覆して生きていかねばならぬのだろうか?と震えていた気がする。

けれどマレーシアのクアラルンプールで、偶然出会った陽子さんに助けられ、家に泊めてもらって、最後に「Bon Voyage」とインドネシアへ送り出してもらったとき。

プラナカン料理を一緒に食べたり、隣で暮らすインドのママが作って

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眼が世界を追わない分、言葉が世界を追いたがる【アメリカ・ロサンゼルス】

眼が世界を追わない分、言葉が世界を追いたがる【アメリカ・ロサンゼルス】

暮らす場所を探しているのかもしれない。もしかしたら、世界を巡りながら。と私は想う。日本が深夜、ロスの日曜日の昼のこと。

朝からまだ今日はなにも食べていなくて、ずうっとお腹は空いていたし部屋に食べるものもあったのだけれど、やっぱり食べる気があんまりしなくて、寝転んだり、じいっと空を見たり、メッセージを返したりしていた。

けど今日はダウンタウンからサンタモニカへ宿を移す日だし、天気は相変わらず雲ひ

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世界二周目の、小さな旅に行ってきます #旅と写真と文章と

世界二周目の、小さな旅に行ってきます #旅と写真と文章と

空を見上げたら、夏みたいな青空が広がっていた。今は、少し夕陽が傾き始めて、けれどまだ少し日差しの強さを感じるような。春から季節が変わる、そんな6月1日。東京の、三軒茶屋から成田空港。

もう一度、いつかもう一度、長い旅に出るのだ。近い未来に。と思いながら寝たり起きたり、毎日していた。

「書き物をする人は、冬は籠もったほうがいい」。なんでかすごく感銘を受けて、秋から冬、冬から春、そして春から梅雨に

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【完結しました】伊佐知美の「旅×仕事」のフォトエッセイ『#旅と生きる美しさを 』

【完結しました】伊佐知美の「旅×仕事」のフォトエッセイ『#旅と生きる美しさを 』

このnoteは、2018年5月に「先に目次だけを公開して」有料noteの販売を開始しました。その後、目次に沿って内容を執筆し、有料noteの有料範囲にて都度更新。2019年4月、完結しました。現在「はじまり」部分のみ無料で公開しています。全部で80,000字、写真200枚超のフォトエッセイです。

** 以下本編 **

■はじまり「旅をしながら世界中で仕事をする」

神奈川県川崎市の、いわゆる普

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