【読書感想文】そして誰もゆとらなくなった
朝井リョウ著『そして誰もゆとらなくなった』を読みました。
彼の文章はやっぱりおもしろい。収録されているエピソードはどれも最高に笑えるものばかりで、読み応えのある1冊でした。
今年もいろいろと本を読みましたが、私の中の2022年ベストブック賞は朝井リョウ氏のエッセイ3部作「時をかけるゆとり」「風と共にゆとりぬ」「そして誰もゆとらなくなった」で決定です。
なぜか2作目の「風と共にゆとりぬ」から読み始めてしまいましたが、中毒性が高く気づけば一気に3作読んでしまいました。
著者とは年齢が近く、私も高校の先生にゆとりの失敗作と言われた世代なので、そうしたところにも親近感が湧いてきます。
この本は、この言葉で始まります。そうそう。わかります。
本の最初の「はじめに」からの引用なのですが、もうすでにここから面白い。彼の文章は「言語化できないけれど面白いもの」を上手に言葉で書き表していて、そんなところが好きです。
あと彼のエッセイの好きなところは、面白い文章に徹底しているところ。人生の教訓や高い感受性で綺麗なものを見るのではなくて、彼の日常で起こるおかしな出来事を彼の言葉で綴っており、それが最高に面白い。
表現、語彙、構成、全部が素晴らしくて、無駄なく面白い。美しいけど不必要な背景描写に文字数をさくことなく、一語一句全て読みたくなる文章がつまっており、読み終わっても「もっと読みたい」という欲をかきたてられます。
3部作、ということで「そして誰もゆとらなくなった」で一応完結のようですが、もっと彼のエッセイを読みたくて仕方ありません。大人になってから「もっと読みたい」と思える本に出会うことがなかったので、こんな気持ちは久しぶりです。
早く次のエッセイが発売されますように・・・
「ただただ面白い本を読みたい」「ただただ読書を楽しみたい」という方、ぜひ朝井リョウ氏のエッセイを読んでみてほしいです。
1作目はこちら↓
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