【読書感想文】どうやら僕の日常生活はまちがっている
お笑い芸人"ハライチ"の岩井勇気さん著「どうやら僕の日常生活はまちがっている」を読みました。
前作「僕の人生には事件が起きない」を読み、すっかり岩井勇気氏の書く文章のファンになってしまった私。
今回も、ケラケラと声に出して笑いながら読み進めました。
Kindleで本を読んでいる私には、自分が今どのくらい読み終わったのか、そしてあとどのくらい残っているかが分かりません。
読んでいる途中で「まだ半分未満だといいな」と願い、読み進めながら「ここで終わりませんように。もっと読めますように」と祈っている自分に気付きます。
こんな感覚は久しぶりでした。
私は、普段本を読んでいると、なんとなく「早く読み終わりたいな」という気持ちになってしまいます。
読んでいる最中に「あとどのくらい残っているんだろう?」とタブレットをタップし残ページ数を確認することもしばしば。
そういえば最近は実用書ばかり読んでおり、「楽しいから読む」のではなく、「なんだか役立ちそうだから読む」が優先されていたことにこの本を読んで気づきました。
「終わって欲しくない、このままずっと読み続けたい」と思う本に出会うのは久しぶりで、私に改めて読書の”楽しさ”を思い出させてくれたように感じます。
彼の書く文章には無駄がなく、面白い要素がぎゅうぎゅうに詰まっているところが好きです。
彼の書く文章は、多くの小説家が書くような風情ある背景描写などが入っておらず、必要な情報のみで構成されています。
その必要な情報のチョイスが絶妙で。
事実だけを淡々と述べるのではなく、彼の感情ばかりに偏るでもなく、その時の状況、そして彼の心境の両方をありありと想像できる文章になっていて、私はそこにすごく魅力を感じています。
これがバラエティー番組のトークの一部だったら。
これが漫画だったら。
これがドラマだったら。
ここまで面白くなかったような気がします。
文章の良いところは、作者の”心の声”をそのまま読み手が受け入れられるところにあるのかなと、というのが私の考えです。
ほんの些細な日常の中の出来事は、テレビのバラエティー番組で観たらきっと他の芸人が話すトンデモナイ話にもっていかれて、「何も印象に残らない話」で片付けられちゃうのかなぁ。
もしこれが実写ドラマだったとして、こんなに一人で心の声を喋る人はいないから、違和感があるだろうなぁ。
とかを考えて、やっぱり文章だからここまで伝わるのかな、と思ったりします。やっぱり文章ってスゴイ。
すっかり彼の文章のファンになってしまった私、3作目が出版されますようにと願うばかりです。
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