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太陽建築と自律分散アレコレ #0071 

今月の初めの話ですが、「太陽建築」の出版記念セッションに行ってきましたよ。
太陽建築ってなんぞや、という話ですが、詳細は以下記事が分かりやすいかな↓

https://www.asahi.com/articles/ASP4P7DCJP4NUZHB009.html

太陽建築って何よ?

山形県酒田市出身の建築家・井山武司さんが提唱していた建築が「太陽建築」だったわけですが、井山さんが亡くなった後に関係者が遺稿などをまとめて出版されたのが今回の本で、そのシンポジウムが開催されたわけですな。

今現在、自分でも家を(ほぼ)DIYで改修しているので、断熱性能について調べまくっていた結果、井山さんに辿りついたわけです。
で。今年の夏に一度、実際に井山さんの建てた太陽建築(酒田市)を訪問したのですが、実に面白い建物だったわけです。

太陽建築南面

南面は温室になっていて、太陽熱を取り込む形になっていて、中には柚子(!)が育っていたほどの温度管理がされていたわけです。東北日本海側で柚子ですよ、奥さん!
建物の中心部はコンクリート造になっていて、太陽熱を蓄熱できるようになっており、冬は角度の低い太陽光が部屋の中まで入ってきて温まり、夏は逆にこのコンクリート部分が穴蔵のようにひんやりとなるわけです。

基本的には太陽熱で温度管理をしているというパッシブぶり。もちろん暖炉とソーラーも載せているのですが、ゼロエミッションに近いところまで消費電力を抑えられているようでした。

シンポジウムは何だったの?

今回のシンポジウムは、井山さんの弟子的に一時期活動していた建築家の渡辺菊眞さん(今回の出版をまとめた方)を中心に、太陽建築と建築の解釈の場だったわけです。

渡辺さんの太陽建築の説明に対して、書評を書かれた建築家の川島範久さんが「シン・ミンカ」として、テクニカルな部分をいかに現代建築に活用していくか、という話を展開したわけです。
今後の展開としての「太陽建築」をアンサー的な内容でとても興味深かったのですが、そのアンサーとしてさらに渡辺さんが胎内回帰的な「明るい竪穴式」というご自身の建築プランを提示さたわけです。(コレだけだとよく分からんな、、)

いずれにせよ、一つの建築の考えに対して、コールアンドレスポンス的に、次々と考えが発展していく様子を見ていて、こういう会話的なやり取りによって技術や思考というのは深まっていくんだろうなーとワクワクしながら展開を見守っていたのです。

自分はどうしていくかね、という話

自分の仕事的にも、周辺環境をいかにうまく使っていくかという造園は常に考えているし、自分の作っている家も、断熱!断熱!と叫んでおりましたが、太陽熱をいかに利用するか、ということは大いに考えていかないとなあと思った次第でした。

他に興味深かったのは、ブリコラージュ的に建築を作っていくこと(周りの、例えば農業資材などを使う、とか)、分散して暮らすことが重要、という社会的なあり方にも言及されていて、自律分散的に暮らすことが良いよ、と思っている自分としては、大いに納得感のなるセッションでございました。


今自分が手直ししている住居(というか、元は倉庫なのだが)は、10世帯ほどの小さな集落なのですが、ここも高齢化でいづれ無くなっていくだろうと思える場所です。
インフラの維持費などを考えても、「無くした方がいい」部類に入る集落であることは間違いないわけで、こんなところだからこそ、エネルギー自給のモデルを作れるのでは?と考えています。
デンマークでよく見かけた、集落ごとの発電や売電。エコビレッジ的なコミュニティベースでの暮らし。こういうものを実現する一端を担えればなーと想像するわけです。
何なら、空き家を太陽建築的なモデルエリアにして、消費電力を極端に抑えた集落を作ることもアリだし、それを宿泊施設にしたり、いろいろできることはありそうだと思っています。
まさに自律分散。エネルギーに限らず、作ったものを狭いエリアで循環させていく仕組みを作れていけたら面白いなーと思うとります。

極端な場所で、極端なことをすると、わかることがあるんじゃないか!というのは、考える発端になるんだと思う次第です!

チャオ!



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