TomokoMaekawa

London School of Economics and Political Sc…

TomokoMaekawa

London School of Economics and Political Science Dept of Sociology PhD 中途にて帰国。子育て、日本での大学教員生活を経て 現在、博士論文執筆中

最近の記事

目は耳〜フロイト、ラカンによる観音

目の見えない盲目の 保護犬  ポメラニアンのくーちゃん 美人さんのくぅは 繁殖犬 可愛い子供ちゃんを多くのペットショップに 送るための 精子を無理矢理突っ込まれる 抵抗すると 熱いハンダゴテを背中に ムゴイ火傷跡 多くの子を産み カルシウムも備蓄できず歯も溶け 栄養不良で 目も見えない でも くぅの盲目の目には見えていた 死の直前 彼女は顔を上げて 見た 私の目を 見えない目で 彼女は知っていた 最期に見るべきものを 私には見えていなかった 見るべきものが 私が

    • 真実という証拠 証拠という真実〜死の瞬間に回すカメラ

      真実と 犯罪の証拠について考えてみた。  より一瞬の、より巧妙かつ凶悪な犯罪であればあるほど、真実は真実でなくなりやすい。証拠を残しにくいからだ。  ハーバード大学メディカルスクール勤務メディカルセラピスト、マーサ・スタウト氏によると、刑務所にいるのは「捕まる程度」の知能犯だと言う。つまり「捕まる程度」を超えた知能犯は塀の外。塀の内と外が逆転している。  今まさに、絞殺されかかっているとしよう。 両手で必死に加害者の両手を首から外したい。 どうやって自分の死の瞬間の映像

      • 資本主義の火の浄化:「脱皮」と「森の生活」

          アメリカ文学者ソローは以下のような「森の生活」を推奨している。  森で家具は全て木から作り、できるだけ所有しない。家財道具に保険を掛けている現代人には考えられないような最低限の所有と交換の生活。  ライ麦は痩せた土地でも育つし、とうもろこしにも最良の土地が必要というわけでもない。これでパンが作れ、甘いものが欲しい時にはカボチャで作る。  カントリー調のローラアシュレイの人工のお花や葉っぱプリントのカーテンも要らない。お外にお花と新緑がある。窓からは月が差し込み、太

        • キムタクが彼氏です〜時間と距離

           タイトルから程遠いところから始めよう。 ひと…肉体があるから惑わされるが いのち とは なんだろうか? リチャード・ドーキンスは、ひとは「遺伝子(情報)の乗り物」に過ぎないという。  フロイトよりも前に、昔のいわゆる「憑依」を「解離」だと発見したジャネは因縁が何世代にも渡り、引き継がれる関係性の「反復」に着目。フロイトがその研究を引き継いだ。  ひとは時間と空間(距離)を操っていると思っているが実は操られている。それでも人間は自らの主体性を感じていたい。スピードを飛ばし

        目は耳〜フロイト、ラカンによる観音

          猫民主主義! 猫との距離 猫との時間

          死にかけの野良猫が 通りのど真ん中にいた 生きたい塊に見えた 抱き上げた この子 今日死ぬかも もう抵抗する力も残っていない 助手席に乗せた 点滴を続けた 噛まれながら 薬をあげ続けた がんばる戦う野良 チュールをあげる時だけ ニャーと鳴いた それ以外の時は 消えろとばかりに 伸びまくった爪で猫パンチされた ご飯が先 というか ご飯だけ要 余計な愛などいらないとばかりに。 愛より飯 それが、それが 最近は ニャーニャー鳴きまくるのに ご飯 全く 減っていない 会い

          猫民主主義! 猫との距離 猫との時間

          ハイデガー「言語は存在の家」vsラカン「言語は非存在の家」

           ないものねだり。他人のものばかり欲しがる人。例えば、決して自分のものにはならない非存在(所謂 不倫や浮気) だが、その男(女)が他の女(男)のものになることは許せない。それをぶっ潰し、関心を自分に向けようとする。母=グレイトマザーの恐ろしさ。  愛してはいけない、欲してはいけない人(例えば、母や父)を愛し、愛されすぎた者はこの運命に翻弄され、決して自分のものにはしてくれない、手に入れさせてくれないくせに、他の女/男を手に入れることは許さない。幸せになれそうな女(男)からは

          ハイデガー「言語は存在の家」vsラカン「言語は非存在の家」

          どちらの男を採るか?「007」ヴェスパー・リンドと「古事記」サホ姫の場合

           小刀を手渡され 「俺とあいつと どちらを愛しているのか」 「俺を愛しているなら、男を刺し殺して来い」 古事記の台詞である。 サホ姫には出来なかった。同じ閨を共にした相手を殺すことだけは。 哀情がそれを阻んだ。 情に生きたサホ姫。 涙が零れ、男の額に落ち、男は起きて軍勢を整えた。 サホ姫自身の涙が彼女の命を奪うこととなる。 その「涙」を「倫理」と古事記は分析している。 サホ姫に小刀を手渡した男の名を言えば、その男は死ぬ。 でも、姫は言わざるを得なかった。 そして自身も

          どちらの男を採るか?「007」ヴェスパー・リンドと「古事記」サホ姫の場合

          ソクラテス、プラトン、アリストテレスの違い:村田沙耶香「消滅世界」を通して簡単に!

          ソクラテスは自分を観ろ、 プラトンは空(上)を観ろ。 アリストテレスは地を観ろと言う。 ソクラテスは誠実に内面に向き合え、対話を重んじる人、 プラトンは天を仰ぐ厳格な理想主義者。 アリストテレスは地に足ついた外界のリアリスト。兼、行動、実践の人  ソクラテス、プラトン、アリストテレス、この三人のうち、誰を愛し、誰を師としたいかと聞かれれば、ソクラテスを父に、アリストテレスを師にしたいと述べる。彼等の違いを1ページで述べ、我が答えの答えとしよう。  ソクラテスはできる子も

          ソクラテス、プラトン、アリストテレスの違い:村田沙耶香「消滅世界」を通して簡単に!

          人間が世界で最も殺している生きもの = 世界で最も人間を殺している生きもの ~宮沢賢治 「注文の多い料理店」

           蚊は人間にとって最も良心を痛めることなく殺害できる生きものであると同時にWHOの報告によると、蚊が世界で最も人間を殺している生きものなのである。(参考までに;2位は人間である)そして、生殖機能を持つ前に死亡する蚊を遺伝子組み換えを通して作出したことで殺虫剤が要らなくなる日が来るかもしれない…というニュースが流れるやいなや、イェール大学の研究チームがより強靭な抵抗力を持つ蚊の誕生を確認した。主体は客体で客体は主体だったのである。 宮沢賢治「注文の多い料理店」 「どなたもど

          人間が世界で最も殺している生きもの = 世界で最も人間を殺している生きもの ~宮沢賢治 「注文の多い料理店」

          「主観的なものと客観的なものという概念は、いつの間にか完全にさかさまになってしまった。」アドルノ「ミニマ・モラリア」

          「主観的なものと客観的なものという概念は、いつの間にか完全にさかさまになってしまった。」(アドルノ「ミニマ・モラリア」91-2)  主観から始めてみよう。主観とはある1つの個人主義的視点を重視するひとつのイデオロギー。「あなたは…」「私は…」相対主義に陥らざるを得ない。「マイノリティの立場に立って考えなさい」各々の主観が尊重され大切にされる。「他人の気持ちを考えなさい」個我をペンディングして「外部」から抽象的に別の「主体」を尊重=客観する視点においては「個我が解体」され「自

          「主観的なものと客観的なものという概念は、いつの間にか完全にさかさまになってしまった。」アドルノ「ミニマ・モラリア」

          クリストファー・ノーランの「バットマン」

           アカデミー賞を総なめにしたクリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」。彼の作品に流れる通奏低音を「ダークナイト」トリロジー、「メメント」「インソンニア」「インターステラー」、そして渡辺謙が出演した「インセプション」等々から整理して列挙して行こうかと思う。今回は「ダークナイト」トリロジー。  目の前で強盗に両親を殺され、やりようのない怒りを「笑顔」という「仮面」で隠し成長したバットマン=ブルース・ウェインを子どものころから育てた父代わりでもある執事は彼がマスクを脱ぎ

          クリストファー・ノーランの「バットマン」

          科学にはできないタイムトラベルを実現するのは「痛み」

           ハイデガーはひとをSubjectum= Sub(下に)、ject(投げ出された)被投された存在であるがゆえ平等を求め平準化しようと闘争を続けるという。主体の地位が上昇化すれば、社会が主体の地位を下に投げ出そうとする。より低い所に照準を合わせようとするのが主体性(Subject)の性質であるとハイデガーは分析する。(ハイデガー、存在と時間Ⅱ s.500-)  従って、ひとはひとを下げ自分を上げる。何かを創造したり、信用を築き上げるのには何年、何十年とかかるが、損なうのは一瞬

          科学にはできないタイムトラベルを実現するのは「痛み」

          メディアという葬送

           むかしむかし、来るべき季節に雨と日の光を願い、穀物の実りを期待し、ひとびとを守る者が必要とされた。それはわたしたちがここぞと言う時に神社仏閣で購入する「お守り」に相当する。そんな呪術的共感関係の場において、「自然」と「超自然」の媒介人として王=神がたてまつられた。 そして、ひとびとは、ある者を殺したいと思えば、その者の像を象ってそれを破壊した。神や像は人間の想いの代理物に過ぎないからだ。  王の生命には万人の幸福がかかっているのである。したがって、王=神が身体的に弱れば世

          メディアという葬送

          安部公房 S.カルマ氏の犯罪 抜粋

          パン屋のカウンターで働く少女は証言する。 毎日パン屋に来る客は「つけ」をごまかそうとする。 反対に、少女の眼には見えた。 カルマ氏は正直者で名前をどこかに落としてきて困っていることを。 しかし、裁判において裁判関係者が望む証言はカルマ氏が「犯人」であることを示す事実だ。真実を求めているのではない。カルマ氏を有罪にしたい法学者たちは証人としてパン屋の少女に質問をする。 被告はパンを食べました。 「盗んだのだな!」と法学者 「いいえ」 と少女。 「なんだ、つまらん」 法学

          安部公房 S.カルマ氏の犯罪 抜粋

          シャーロックホームズとマルクス

            一族の「呪い」?爆笑だ。シャーロック・ホームズ曰く、バスカヴィル家の呪いなど人間の想像力のなせる業。「理性の狡知」の飛翔に過ぎない。(ヘーゲル)何度も国内外で映画化されており子どもたちのロマンでもあった「バスカヴィル家の犬」。   サー・ヘンリーの慕うベリルは、ステイプルトンの妹ではなく妻。殺されたのはヘンリーでなく、ヘンリーの服を着たセルデン。犬にとっては、ヘンリーの匂いのついた服を着たセルデンも、ヘンリーの匂いを持つヘンリーもヘンリーだからだ。相対性とは視点によ

          シャーロックホームズとマルクス

          ジョン・ケージ「4分33秒」の沈黙?:沈黙を作る音

          音=精気 「ここに座って大人しく音を聴け」演奏会の椅子に縛り付けられて音を聴かねばならない「聴衆」の誕生はまだ歴史的には最近のこと。(「聴衆の誕生」)エリック・サティの「家具の音楽」のように「音」とは本来、家具と同様、そこら辺にあっても日常生活を邪魔しないもの。ジャズだって語源はJass ≠ Jasm(Jism)=精気、精液“を意味し、2人の「世界」に精気を吹き込みJass it up”(現在の“Fuck you”:「やっちまえ」や「さっさとやっちまいな」と盛り上げ、ロックン

          ジョン・ケージ「4分33秒」の沈黙?:沈黙を作る音