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松野章弘 展 にて 〜東京・表参道〜

松野さんから、個展の案内ハガキが届いた。ハガキの隅に、愛嬌のある文字が並んでいる。

 「どうしてるー?   松野章弘」

松野さんは、軽井沢を拠点に活動する陶芸家だ。自然に囲まれた生活の中で生み出す白い磁器は、繊細で、優しくて、カッコイイ。シンプルなフォルム、そこに引かれたパステルカラーの“清潔な“ラインに一眼惚れし、私もピンクの可愛らしいスープ皿を作っていただいたことがある。

今回は、表参道の『ギャルリーワッツ』での展覧会。東京在住の私は、「作家在廊」の日にちを目がけてお邪魔した。

いつもはカップやお皿の作品が中心だが、今回は少し趣が違う。

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コンクリートの壁面に、木の葉や木の実、手のひらサイズのカボチャなど、植物をかたどった作品が並んでいた。黒い標本箱のような額縁に納められた真っ白な木の葉は、複雑で柔らかな陰影を纏っている。まるでなにか別の生き物のようだ。今回は、その額縁も松野さん作。「色は妻が塗ったんだけどね」と、いたずらっぽく言う姿が素敵だ。

この作品の洗練されたセンスは、一体どこから来るのだろう? 松野さんにお会いするたび、私は毎回ベタ褒めしてしまう。考えてみれば、私よりずっと年上の方なので、「褒める」なんておこがましいのだけれど……。ちょうどギャラリーにいらしていたご友人も、松野さんの作品の素晴らしさを力説していた。

展示されていた花瓶にさりげなく飾られている草花のオブジェは、松野さんの奥様・森田節子さんの作品。これ以上ない素晴らしい組み合わせである。

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別れ際、松野さんは丁寧にお礼を言った後、「またね」と言ってくださった。こんなに素敵な年上の"友人"を得られたことが、本当にうれしい。

また春にでも、軽井沢のギャラリーにお邪魔したいと思う。

◆松野章弘展 会期:2021.11.27(土)まで

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