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苔玉に見る「共生文化」

数年前、近所の苔玉屋さんで苔玉を買ってから、自分でも作ってみようと思い、いくつか挑戦しました。

ちゃんとお水さえあげておけば、結構長く保ってくれて、しかも季節で色々な表情を見せてくれるので、とても楽しい。

何個か作っていくうちに失敗したものもあったのですが、そこから気づいたことがあったので、忘れないうちに書いておこうかと。

水は大事

そうなんです。苔玉は、水やりが命だなぁと。

毎日触れてみて、乾いた感じがあったらボールに水を張って、ちゃぷんとつけます。
「泡が出てくるってことは、乾いているってことですから」と苔玉屋さんがおっしゃってました。20秒くらいつけておくと中までしっかり水が行き渡るようです。

冬になっても、苔玉はお外に出しておいてくださいと言われたので、
雪が降っても外に置いておきました。

寒くなると茶色い部分が増えて、枯れてきているのがわかるんですが、春になるとだんだん新芽が出てきます。広葉樹なんかを植えてある場合は、冬は葉っぱがなくて寒々しいのですが、春になるとやはり新芽が出てきてくれます。

春の芽吹きを体験できるのもいいんですよね。

冬でも乾燥しないように、「ボールにちゃぷん」を繰り返しておけば、春の芽吹きに感動できます。

球形を保つのは

昨年の初秋に仕込んだ南天の苔玉。
どうも南天の枝が長すぎたせいか、早々と枯れてきてしまったので、思い切って短くしてみました。

分かりにくいですが、短く切った南天です。


冬に向かう時期だったので、葉っぱも落ちて細い幹だけに。
春に生き返ったらいいのになって思いながら、ちゃぽんを送り返す日々。

ある時から、球形の下部の裏側から土が崩れてきました。
ちゃぽんするたびに、少しずつ土が崩れていくんで、だんだんすかすかになってきていました。

もうそろそろ、新芽の気配があってもいいのにと思いながら、一向に新芽が出る気配なし。思い切って幹を引っ張ってみると、案の定、根っこはついてませんでした。

枯れちゃったんだ。。悪いことしたな。

と思った瞬間、ハッとしました。

苔玉の球体が崩れてきていたのは、根っこが生きてなかったからだったんだ──。

木の元気な苔玉は、崩れる気配は全くありません。
苔は水分を担保し、木の根は根っこを張って水分を吸いつつ、球形を保つ。

苔玉は持ちつ持たれつの共生関係の具現だったんだなと。


南天の後任に実家の椿の種から育った苗を。

苔玉は日本独自の文化だと聞いたことがありますが、日本では古来、まさにこういった「お互いさま」という関係性が大切にされてきましたよね。
植物の愛で方にも、そういう文化が反映されている。
何だか感慨深かったです。


盆栽の世界は未踏ですが、きっとハッとすることだらけなんだろうなぁ。
いつかそのうち、波平さんみたいに盆栽生活にも浸かってみたいです(笑)

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