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tomoishiの書く小説やエッセイ等を掲載します。 http://twitter.com/tomoishi1976 http://tomoishi1976.web.fc2.com/

マガジン

  • ドラゴンクエスト二次創作もの

    ドラゴンクエストの二次創作ものです。恋愛小説です。

  • 小説『たそがれのディードリット』

    『ロードス島戦記』の二次創作小説。ディードリットを主人公とし、英雄戦争の60年後の世界を描きます。

  • 浮舟物語

    『源氏物語』宇治十帖より、浮舟を主人公とした物語を、作者である紫式部の視点から描きます。

  • 梅壺物語

    梅田桃子さんとの撮影時に生まれた物語がふくらみ、時代を越えてひとつの壺を受け継いでいった女性たちの、一連の物語となりました。 章立ては以下のようになっています。 0. 『梅壺物語』登場人物紹介 1. 『梅壺物語』「桃の段」 2. 『真景牡丹灯籠』 3. 『梅壺の由来』 4. 『梅壺物語』「梅の段」 5. 『梅壺物語』プロローグ 6. 『梅壺物語』エピローグ 7. 『梅壺物語』関連年表

  • 小説『編集者・石川知実の静かな生活』

    雑誌社に勤めるアラフォー女性・知実が日常で感じたことを徒然なるままに綴ります。 (小説ですので内容はフィクションです)

最近の記事

ムーンブルクの王女の物語ー女皇帝の帰還ー(プロット)

 メルキドの攻防戦は、初戦はボリショイ魔法帝国軍の無様な敗退に終わった。  態勢を立て直し、ふたたび攻撃を始めんとした時、すでにメルキドはもぬけの殻だった。レジスタンスと街の住民はいつの間にか、忽然と姿を消していたのである。  私が行った魔法調査の結果、「旅の扉」を出現させて彼らはそこから脱出したようであった。「旅の扉」はご丁寧にも破壊されており、どこに通じていたのか、追跡は不可能であった。  私はこの事実に慄然とした。「旅の扉」は今は存在しない古代の魔法で作られており、私で

    • ムーンブルクの王女の物語ー帝国の逆襲ー(プロット)

       私がプリンを引き取って育てていたその間にも、世界は大きく動いていた。  ハーゴンの教団が拠点としていたロンダルキア高原は、ハーゴンが倒されてからは無主の地となっていた。様々な勢力がこの地域の支配権を得ようとしのぎを削っていたが、その中から「紅の王」を名乗るロットバルトなる人物が台頭してきた。彼の高い政治力とカリスマ性から、多くの勢力がその軍門に降った。  私がプリンを送り出す頃には、ロットバルトはすでにロンダルキア高原を統一し、さらにはロンド大陸全体にその影響力を及ぼしてい

      • ムーンブルクの王女の物語ー新たなる希望ー

         彼女と出会ったのは、ベラヌールに引っ越して来てしばらくしてからの頃であった。  私はムーンブルク王国の国王を退位し、第二の人生をここで過ごすこととした。以前はある魔法使いが使っていた小さな家を買い、ここで一人暮らしをしながら、魔法と歴史の研究に没頭するつもりであった。国王である間は、なかなか研究の時間を取ることが出来なかったので、ようやく自分の自由になる時間を持てたことに、私は解放感を覚えていた。  ベラヌールの人々も、私を心良く受け入れてくれた。もちろん、私が元ムーンブル

        • 浮舟物語ー東屋ー(予告編)

           あたしがあの二人と出会ったのは、あたしの婚約話がご破談となったすぐ後のことだった。  母は、左近の少将様とあたしとの婚姻を進めてくれていた。それは母なりの気遣いであり、そのことはあたしもよく分かっていたので感謝していた。しかし一方で、これまで文も交わしたことのない男性と結婚することに、内心はおびえていた。  しかしそれは意外な形で終わりを迎えた。左近の少将様の方から、婚約を破棄したいとの申し出があったからだ。そしていつの間にかこの婚約話は妹との間で進められることとなったのだ

        ムーンブルクの王女の物語ー女皇帝の帰還ー(プロット)

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        • ドラゴンクエスト二次創作もの
          8本
        • 小説『たそがれのディードリット』
          6本
        • 浮舟物語
          2本
        • 梅壺物語
          9本
        • 小説『編集者・石川知実の静かな生活』
          14本
        • ともいしの官能怪談
          15本

        記事

          浮舟物語ープロローグー

           私がこの物語を書き始めたのは、『源氏物語』に登場した女性たちに復讐を遂げさせるためであった。  新緑の季節が来た。冬の間は木々の間を吹き抜ける風が響めき、宇治川の水も轟々と音を立てて流れていたが、今となってはあたりには鳥のせせらぎが聞こえ、眼下の水面は陽光を反射してキラキラと輝いている。  私が宮中を去り、この小さな庵で余生を過ごすことになって早三年がたつ。身の回りのことは女中と下男が世話をしてくれるし、年金も十分にもらっているので、生活に不自由はない。ただ、宮中でお勤め

          浮舟物語ープロローグー

          ストリップ女子、温泉に行く(『編集者・石川知実の静かな生活』)

           能登での取材を終えたあたしは、そのままの足で金沢から敦賀行きの新幹線に乗り、芦原温泉駅に向かった。お目当てはあたしの大好きな踊り子さん、鈴木千沙子さんの舞台を観ること、そして「ビンディ」の高山えみ子さんに会いに行くことである。  芦原温泉は、今では日本海側で唯一の現存するストリップ劇場となった「ニューあわら劇場」が存在する。ここは千沙子さんがデビューした劇場でもあり、昨年は千沙子さんがトークショーを開催した場所でもある。  あたしは芦原温泉を訪れるのは三度目である。一度目は

          ストリップ女子、温泉に行く(『編集者・石川知実の静かな生活』)

          知実の能登半島取材記(『編集者・石川知実の静かな生活』)

           2024年1月1日は忘れられない日となった。能登半島地震が起こった日である。  あたしと健太は正月は京都で過ごしていた。ちょうどお風呂に入りに行こうとした時に揺れた。あたしはすぐに気付いたが、健太は最初気付いてなかったようだった。 「健太、揺れてるよ!」  あわてて二人で部屋の柱にしがみついた。揺れは激しくなかったが、けっこう長い時間、揺れていたような気がする。泊まっていたのが老舗の旅館なので、木造の建物がきしんで恐怖心を覚えたが、揺れが収まった時は本心から安心した。201

          知実の能登半島取材記(『編集者・石川知実の静かな生活』)

          今も生きている色町(『編集者・石川知実の静かな生活』)

           東京藝術大学大学美術館で開催している「大吉原展」を観てきた。  この展示は開催前から物議を醸し、いわゆる「炎上」となった。それは、キャッチコピー「江戸アメイヂング」をはじめとして、あたかも遊廓を遊園地かテーマパークのように表現し、性的搾取である売買春の舞台となった吉原を美化するものだとする批判が巻き起こったのだ。  そうした批判を受けて、展示の冒頭に掲げられた主催者の趣旨説明には以下のような文言があった。 「(吉原は)現在では許されない、二度とこの世に出現してはならない制度

          今も生きている色町(『編集者・石川知実の静かな生活』)

          女子三人が性癖を語る会(編集者・石川知実の静かな生活【番外編】)

          座談会出席者 ・ 梅田サクラコ(桜):アラ還の小説家。北海道北見市出身。既婚。二人の子と一人の孫がいる。書く小説は女性の欲望を描いた濃厚なものが多いが、本人はいたってサバサバした性格。 ・ 石川知実(知):アラフォーの雑誌編集者。北海道札幌市出身。既婚。子なし。奔放な性格だが、本人は自分のことを真面目でお堅いと思っている。 ・ 稲本恵美(恵):アラフォーの外資系ファームに勤務するOL。京都府峰山町(現京丹後市)出身。未婚(パートナー有)。天は二物を与える才色兼備。鷹揚な性格で

          女子三人が性癖を語る会(編集者・石川知実の静かな生活【番外編】)

          戸口に現れたもの

           彼の目の前には、親友エドワード・ピックマン・ダービィだったものの死体がある。そして彼の手には拳銃が握られており、まだ真新しい硝煙の臭いがただよっている。彼は確かにここで六発の銃弾を放ち、それはすべて目の前のものに命中したのだった。  エドワードを殺したのは自分ではない。ダニエル・アプトンは心の中でそうつぶやいた。この状況を見た者は、誰もが彼を正気ではないと判断するだろう。しかし彼は自分が正気であると確信していた。そして彼は今まさに、親友の仇を討ったのだと信じていた。  病院

          戸口に現れたもの

          たそがれのディードリット[エピローグ act.3:エピソード1988]

           カノン王国の辺境の地サボーにあるマーモ国の難民キャンプ。ここはこの地に逃れてきた難民たちの暮らす場所であったが、決して彼らの安住の地ではなかった。  サボーには銀の鉱山があり、難民たちはその労働力として酷使されていた。政治的混乱が十年以上続くこのロードス島において、歴史あるカノン王国ももはや王国としての求心性はなく、この地はサボー辺境伯の独立国家の体をなしていた。そして国家や王といった存在があてにならないこの時代において、金や銀、そして鉄といった資源こそが最も信頼に足るもの

          たそがれのディードリット[エピローグ act.3:エピソード1988]

          たそがれのディードリット[エピローグ act.2:炎の魔女]

           ロードス歴871年、ロードス島西部の辺境の村でひとりの女性が生を受けた。彼女の名はアインス。古いロードスの言葉で「数字の1」や「はじまり」を意味する名である。  彼女は幼少の頃から不思議な力を持っていた。最初の頃は天気を当てたり探し物を見つけたりするくらいの、少しばかり人より勘が鋭いといった程度のものであったが、そのうち少し先の未来を言い当てるようになった。  また彼女の両親は敬虔なマーファの信徒だったので、彼女も幼い頃から村にあるマーファの教会に通っていたが、十歳頃になる

          たそがれのディードリット[エピローグ act.2:炎の魔女]

          たそがれのディードリット[エピローグ act.1:旧友との約束]

          「ジークはあたしがディードリットだってこと、前から気付いていたの?」 「まさか! 城で初めて聞かされてびっくりしたよ」  あたしとジークはヴァリス王国の王都ロイドを出立し、ライデンに向かう旅を続けていた。  ジークはあたしの正体を知っても、これまでと変わらない態度で接してくれた。ただ、二人きりのときはこれまでの「ユリ」ではなく「ディード」と呼んでくれることとなった。  変わったところといえば、ジークがときおり昔の話を聞いてくるようになったことだ。特にパーンの話を聞きたがった。

          たそがれのディードリット[エピローグ act.1:旧友との約束]

          たそがれのディードリット[エピソード2・参道での仇討]

           あたしたちはヴァリス王国の首都ロイドまであと三日というところまでたどり着いた。カノン辺境の荘園ナヌカで巡り合った出来事に、ジークは当初かなりショックを受けていたが、旅を続ける数日のうちに彼は元の快活さを取り戻した。ナヌカでのことも、それから二人の間で話題に出ることはなかった。  一方でロイドに近付くにつれて、ジークの心は別なことにとらわれ始めたようだった。最初は単純に母親と再会することに緊張しているのかと思ったが、やがてどうもそれだけではないような気がしてきた。  宿場町で

          たそがれのディードリット[エピソード2・参道での仇討]

          たそがれのディードリット[エピソード1・猩々退治]

           その日、家に戻ると屋根の上に二羽のカラスがとまっているのに気が付いた。それ以上、特に気を留めずに玄関の戸を開くと、カラスたちは地面に降りてきてあたしのかたわらに来た。  家の中に入ろうとすると、カラスたちも歩いて一緒に入ろうとしてきた。カラスは警戒心の高い鳥なので、不思議な行動をするものだと思ったが、あるいはこれは何かあるのかなと思い直した。 「小さな子たち、あなたたちも家に入りたいの?」  声をかけるとそれに反応するように、小さな脚で歩きながら家の中まで入ってきたので、カ

          たそがれのディードリット[エピソード1・猩々退治]

          たそがれのディードリット[プロローグ・旅立ち]

           アラニアの王都であるアランの街は、ロードス島の北東に位置している。建国から五百年近い歴史を誇るこの国の都には、巧みな石工であるドワーフ族によって築かれた石造りの建物が立ち並んでいる。  かつて「帰らずの森」と呼ばれた森のほとりに営んだつつましい家で、あたしはこの六十年ほどを過ごしてきた。その間にも、ときおりロードス島の各地に出向いていくことはあったが、ちょうど十年前に伴侶であり最愛の人であったパーンが亡くなってからは、ほとんど外に出ることもなかった。ところが今回は、旧友のた

          たそがれのディードリット[プロローグ・旅立ち]