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合作について対談してみた。      【対談シリーズ①/共同創業者 西塔大海】

前回「ハーフビジョン」の話で、“役員とも合作をしている”と書きました。どんな人たちと合作をしているのかを出すことで具体的にイメージが膨らむと思い、実際に共同創業者の西塔大海と対談してみました。

※この対談シリーズは広報チームにも入ってもらって実施。少しでも雰囲気や言葉のニュアンスも伝わればと思い、対談部分は会話形式でお届けします。


(左:西塔大海(もとみ) 合作株式会社 取締役 共同創業者 / 右:筆者(とも) )

旗を立てたからこそ、共感が集まった。

ー合作の価値について

齊藤智彦(以下、とも): Q. もとみくんと話してみたかったんだけど、合作設立から4期目が終わろうとしてるけど、改めて見えてきた「合作の価値」ってなんだったと思う?

西塔大海(以下、もとみ):「合作」と言う時、コラボレーションの意味か、合作という会社の意味か。もともとダブルミーニングだからややこしいよね(笑)。会社をつくってみての価値というと…ともさんはどう感じてるの?

とも:この前noteで書いたハーフビジョンの話にも通じるけど、自分たち以上にまわりの方が“合作すること”の価値を見出してくださる方が多いなと思っていて、思っていたよりもみんな“合作”をする場所や機会を求めているのかなと感じてる。

合作株式会社として最初の事業は大崎町でのプロジェクトで、SDGsど真ん中の仕事からスタートしたけど、このテーマに縛られず、合作という手法を使ってやっていきたいと声をかけてくれる人が増えたなと思っています。
合作の役員メンバーもそうだけど、やりたいことのど真ん中は人それぞれ違うけど、1人じゃできないことを持ち寄って一緒に合作していこうよ、合作ならできそうだよねという感じで集まってるチームだなと。

もとみ:ともさんのnoteを出してから、個別に連絡をくれる方が増えたよ!契約とか、ビジョンを持ち寄るって大事ですよね、って共感の声。

スタンスに共感してもらえてるのかな。やっぱり何かしら現状の仕事や自分の所属する組織、チームでの課題に突破力が足りていないとか、閉塞感を感じている人は多くて、「そのやり方(合作的手法)なら、この壁を越えていけるんじゃないか」と可能性を感じるから、僕たちに声をかけてくれたり、チームにジョインしたいと思ってくれる人が増えてるのかなと感じますね。
そう思うと、社名でありコンセプトでもある『合作』はなかなか面白い発明だったなと思う。

広報:クライアント側、自治体や企業からのお声かけもあるし、メンバーとして一緒にやりたいですという人も増えてきているということですね。

もとみ:そうですね、その両方。世の中みんながみんな「合作したい」って思ってるわけじゃないと思うけど、合作という旗を立てたことで、実はこんなことをやりたいと思ってた!という人たちが集まってきた。小さな水溜まりみたいなものができたんじゃないかな。旗を立ててみたから分かる、健在化したみんなの気持ちみたいなものがあるのかもしれない。

とっておきの“まかないメシ”を“看板メニュー”にしたことで起きた思わぬ誤算

ー想像できたこと、できなかったこと

とも:Q. 実際やってみて、合作を立ち上げた当初に想像できていたことや、逆にこれは想像できてなかったなと思うことはある?

もとみ:大崎町に関しては、 すごくありがたいことにいい意味で想像を超えた企画がどんどん広がってるなと思う。それこそ毎晩毎晩2人でアパートの部屋で「こんなことができたらいいよね」と喋っていたことが1年目から実現している。 国立環境研究所と共同研究をしたり、ユニ・チャームさんと紙おむつの取り組みをしたり。堆肥化の研究開発もこれから進んでいくし、多くのプロジェクトが動き出して、その広がりや社会からのリアクションの大きさにもびっくりしてる。
大崎町自体がすごいから広がっている大前提があるけど、大崎町の取り組みを知ってくれた人が、その立役者の1人に合作というプレイヤーもいることに気づいてくださる嬉しさもあるかな。

とも:なるほど。実は自分は逆で、事業としては想像していたことを着々と実現しているという感覚で、振り返ってみるとよくやってきたかな。多くの人が協力してくれたなと思うけど、想像できなかったというよりは、やろうと思ってやってきたことだから淡々とできてきてるなという感じ。

もとみ:そうなんだ。見てるところが違うね(笑)。

とも:大崎町の事業以外のことだと、どう?

もとみ:こんなに採用に困らずにこれるなんて、かな!いろんな方が来てくれて、一緒に働きたいとなる状況は想像してなかった。
今まで他の自治体の採用をお手伝いしてきた経験があるから、なんとか頑張れば仲間ができるかなぐらいに思っていたけれど、こんなわかりにくい仕事に、そうやりたい人なんていないんじゃないかと思っていたので、予想外だったかな(笑)。たくさん仲間が集まってきてくれて嬉しいです。

予想通りだったことは、このコンセプトに対しての共感が集まることは、僕は予想していたかな。 もともと自治体との仕事をしている中でいろんな話を聞いていたから、「実はうちも困ってる」みたいな話はあるなと思ってた。

とも:そうなんだ、自分は合作という行為は自分たちがやりたいからやっているだけなので、こんなに共感が集まるとは思ってなかった(笑)。

もとみ:逆だね(笑)。
合作的手法は、僕にとっては裏メニューだったんだよね。
「地域おこし協力隊」を筆頭に、いろんな制度を教える、導入する、設計するを仕事をしていて、秘すれば花じゃないけど、合作は奥義みたいなものだったんだよね(笑)。それを表看板に正々堂々と旗と立てちゃったわけじゃない。
中華料理屋の<まかないに作っていたオムライスが美味しい>を、オムライス屋さんって言ってしまったがための、気恥ずかしさもあるし、表看板を見たから来るオムライス専門家からのいろんな発注のレベルの高さにも戸惑ってはいるけどね。それは予想外の嬉しさではあるかな。

広報:まさかの裏メニューだったんですね(笑)。ともさんも同じ感覚ですか?

とも:合作する事の面白さは、僕ともとみくんの中だけで感じていたものなのかなと思っていましたね。僕はもともと、自分にないものを持っている人と合作することで、思ってみなかったことに物事が発展することが面白いし、それが事業として増えていったらいいなと思っていたけど、それこそ裏メニューというか、僕ら二人だけの趣味みたいなものなのかなと捉えていた。そこは同じだと思うんだけど、だからこそ「あ、みんなもやりたいんだ」という感触があったかな。 

もとみ:そうだね、最初は大崎町の取り組みをどう拡大させて社会に貢献していくかでスタートしたしね。僕らの楽しみとしての合作的手法を、社名も必要だし出しちゃったんだよね。裏メニューのまかないで、僕らが厨房の奥でこっそり食べていたやつを看板メニューにしてしまった(笑)。

合作の旗を立てたからこそ、僕らが想定する合作だけじゃなくて、想像の外側にあるもっと大きなことにも出会うようになってきた。アライアンスを組む・合弁会社を作るとか、社会変革のスケールや経済規模の大きいことにもいい意味で巻き込まれていくので、嬉しい戸惑いはあるかな。

2023年11月に行った東京でのプロジェクト報告会で集合した合作メンバー。

僕たちの一丁目一番地は『合作』

ー合作のこれから

とも:Q. 合作はこれからどんな方向に進んでいくと思う?

もとみ:これまたふわっとした質問だな(笑)。

とも:答えが想像できる質問は面白くないじゃん(笑)。

もとみ:そうだな、さっきも話したけど、合作という旗を立てたことで思ってもみなかったような話がくるじゃないですか。スケールの大小問わず、今まで関わりのなかった分野にも合作の旗があるからこそ呼んでもらえる面白さを感じていて、それが面白いと思ってきてやってきたし、これからもやっていきたいなと思ってる。

とも:そうだね、少なくとも「サーキュラーエコノミー」も「リサイクル」も、僕らにしてみれば元々考えてもみなかった分野だったしね。

もとみ:うん。それでね、最近蟻に関する本を読んだんだけど。
蟻って餌をみつけると巣に持ち帰るために集団で隊列を組んで運ぶじゃない。でもその蟻の集団の中には、隊列から外れてウロウロする、一見働いてないように見えるアリがいるんだって。でもそのウロウロアリが、偶然もっと大きなエサを見つけたり近道を見つけたり、集団にとって思わぬ成果を持ち込む。そのウロウロアリがいる集団の方が、生存確率も高いんだって。

とも:そうなんだ。なるほど。

もとみ:何が言いたいかというと、合作の仕事はいろんなコラボレーションの間に入ることがあるけど、その企業や自治体の窓口に立つ人たちは、割と組織の中ではウロウアリみたいな人たちが多いと思うんだよね。新事業開発やCSRの文脈だと会社の主幹事業とは少し離れるし、行政では税務や住民課などの行政サービスど真ん中よりは、新しいことを模索していこうぜというチームや思考だったりする。 

僕たちの仕事は、いろんな組織や地域のウロウロアリ的な人たちと接点が多くて。かけ離れてているからこそ出会えなかったところを繋げる、組み合わせていく仕事なんだよね。組み合わせ方は無限にあるけど、そのほとんどは基本的にうまくいかないわけですよ。でもいろいろ試していくと、こことここは上手くいきそう、こっちもできそう、って見えてきたり動きだしたり。自分たちもウロウロアリで歴は長いから(笑)、ある程度感覚として掴めてきたところがあって、それが面白いなと。

経営学の分野でいうと、このウロウロアリは『越境人材』や『バウンダリースパナー』と呼ばれていて、そういう人たちがイノベーションにとって必要なことは半世紀前から言われているけど仕組み化されていなくて、再現性を持っていない。google社の有名な『20%ルール』もこの背景を元に作られているけどなかなか日本で普及が難しい中で、僕らは合作という旗を立てて、これが重要だよねって別の角度から言い始めていると思うので、こういう働き方、役割にもスポットが当たる仕事がしていけたらいいなと思うな。

とも:うんうん。自分たちは例えば環境分野のプロではないけど、合作的な手法を持ってSDGsに関わっているし、その分野の専門家と繋がって新しいことに取り組んでいる。自分たちにしかない手法を使って、いろんな分野に影響していく。今も、サーキュラーエコノミーだけでなく他の分野からも自分たちを求めてくれるような声もあって、そこに自分たちも面白いと思ったら積極的に関わっていけるような会社の体制にしていきたいなと思うね。

広報:“合作的手法”を使って新しい分野にも展開していく予定なんですね!

とも:そうですね、大崎町の取り組みがあったからこその広がりはもちろんあるけど、サーキュラエコノミーやリサイクルというテーマが僕たちの一丁目一番地ではなくて、あくまでも『合作する』ことが僕たちの本質であり一丁目一番地。それを今後より明確に表現していけるといいですね。

もとみ:うん、クリエイティブなことをしていくのが合作だからね。大崎町の事業はフラッグシップ的な大事な事業ではあるけど、これからまた2つ目、3つ目と異なる事業が出てくるしね。

僕らが「大崎町が面白いから、大崎町のことだけ、サーキュラーエコノミーだけやります」ってなっちゃったら、合作の可能性をどんどん狭めていくと思うんだよね。この成功パターンからどんな展開ができるのか、僕たちも情熱を持って越境して、サーキュラーエコノミーの境目をまたいで、他の分野にピボットしたり関係を築いていけるかが大事だと思う。そこで改めて新しい合作による社会変革の可能性が見えてくるかな。

新しいテーマに対して、すごく面白がれるのがこの仕事の強み。「それ、うちの会社の事業と関係ないんでやらないです」とはならないわけですよ僕らは。一見関係ないことの方が大きな価値を生み出すわけだし。いろんなものに興味を持って影響していけるといいよね。それを楽しめる会社であり続けたいなと思うね。

真逆だからこそ面白い、合作らしさ。

ー合作のお作法とは

広報:“合作のお作法”という言葉が出てきました。ともさんともとみさんの中で共通していることもあれば、それぞれ独自の“合作のお作法”がありそうですね。

もとみ:そうですね、合作の作法とかプロトコルみたいなものが僕の中には溜まりつつあるんです。 新しいメンバーが入ってきたこのタイミングで共有していきたいと思っているものの、まだできていないのは歯がゆいところですね…。

とも:共通点だなと思うのが、僕もちゃんと自分の中で発酵させて、 解釈まで整えてから外に出したいっていう性質があること。そんな簡単にまとめて言語化して出せない。
だから僕はnoteを書くこと自体が自分の中では衝撃的なこと(笑)。絶対100%伝わらないじゃん!って思うけど、出すことで整理も進むし、出すからこそもらえるリアクションもあるから会社としてもやっていかないといけないと思って頑張っています。

僕はまだ言語化は出来る気がしないけど、合作のスタイルは確かに定まりつつあるなという感じがします。合作が得意なこと、勝ちパターン、これからどこに注力していくのがよいのかが段々見えてきている。4期やってきたからこそ、僕たちが社会のニーズに対して提供できる価値や、逆に僕たちがやりたいことも見えてきている気がする。

もとみ:こういう話を二人ではずっとしてきたけど、ちゃんと外に出していくことや、他の人にも伝わるようにしていかないといけないね。

とも:もとみくんもnoteを書こう(笑)。
noteに書くと決めて、少しずつ言語化していけそうな感じはある。

広報:やっと二人の共通点が出てきました(笑)。“合作のお作法”、最も核になる部分だと思いますので、少しずつ明らかにして届けていきたいですね。

もとみ:お作法じゃないですけど、そもそも何を“合作”と捉えるかは僕とともさんで明確に違うんですよ。

すごいシンプルに言うと
<合作(ともさん)× 〇〇>がともさんにとっての合作です。
僕にとっては<〇 × △ の間に入る>のが合作なんです。

僕は中間にいる人ってイメージなんですけど、ともさんにとっては自分(合作)が誰と合作するかが合作なんですよね。

とも:どっちも大事だと思っていて。例えば大崎町の取り組みの場合は、 合作株式会社と大崎町役場とがコラボレーションしたことで、大崎町SDGs協議会やさまざまな取り組みが生まれている。そして、大崎町と他の自治体や企業との連携が生まれている間に入っているのも合作株式会社なので、どちらも必要。

もとみ:そもそもその合作の捉え方が両方あるからこそ、手法もさまざまな展開で存在しているのかなと思っていて。 これ多分100回200回と二人で話してますけど、全然違う考え方をしている部分なんですよね。

とも:違うからこそやっぱり面白い(笑)。いい感じなので今日は有難うございます!


対談を終えてみて

今回は今までと趣向を変えて、広報チームも交えて対談形式にしてみました。実際やってみて、改めてもとみ君との出会いや、それによって合作が生まれたのは自分にとって幸運な出来事だったなと思います。一人じゃ出来なかったことが出来る。面白いものが生まれる。と感じられるのはとても希望が持てますね。

彫刻や美術をやっていると、空間という概念がよく出てきます。自分はものを見るときに、モノそのものを見るのではなくて、モノの周りに発生している空間のカタチを見ることを意識するように訓練されています。フィルムのネガを想像するような感覚なのですが。
モノと空間の関係は常に意識せずとも付きまとっているもので、自分自身は「何か一つのものがモノとして単独で扱われ、評価されることは無い」と考えています。自分があって、誰かが居てその関係性が世の中は常に付きまとっている。だからこそ、自分ひとりでnoteを書くのもやりますが、こうやって対談することによってカタチを浮かび上がらせるのはとても自分らしいアプローチだなと再認識しました。なので、今後もシリーズ化して続けていこうと思います。

次はもう少し具体的な事業、役員以外のメンバーについて触れようと思います。

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