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“合わせて作る”ためのハーフビジョン

「合作って結局何の会社なの?」とよく聞かれます。

・サーキュラーエコノミーを推進する会社
・公民連携を推進する会社
・クリエイティブの会社
など、さまざまなイメージを持たれているみたいです。
1番は大崎町のSDGs推進をやっている会社というイメージかもしれません。どれも正しくもあるのですが、自分の感覚ではどれも違うとも思います。


合作のビジョンは?

「合作のミッション・/ビジョン・/バリューは何?」
と聞かれることもよくあります。(※以下、MVVと略します)

合作のWEBサイトにも、MVVは特別書いていません。というのも、合作では現状MVVを定めていないからです。その理由は、フレームワークに当てはめて表現するのが自分自身しっくりこないというのがあります。
とは言っても、多くの人の理解や納得を得るためには共通言語となる分かりやすいフレームワークで表現することも経営者の仕事なのだ、とわかっているのですが、いつも筆が進みません。

それは、そもそも合作という組織は色々なものを持ち寄る集合体として面白いのであって、一つの統治方法や考え方を望んでいないからだと自分は思っています。
やりたいことがある人が集まっているのだから、それぞれが主体的に動いていく。それがいいと根底で思っているから、MVVのように何かひとつに明文化できないのかもしれません。

合作はビジョンのない会社(?)

特に合作は多くのステークホルダーと関わるスタイルでもあり、社外にも社内にも合作が何者なのか、どんな姿勢なのか伝えていく必要があります。自分たちだけではなかなか客観視出来ないので、&PUBLICさんに協力を依頼してみました。

当初「まずは合作のロジックモデルをつくろう」としていたのですが、一つの課題解決や一つのビジョンに向かって進もうとしている組織ではないためロジックモデルとして表現するのが難しく、それであれば、&PUBLICが解説する「合作はどんな会社なのか?」をテーマに図解してもらうことになりました。

それがこちらです。

第三者の&PUBLICさんに入ってもらったことで見えてきた合作の1番の特徴は「合作はビジョンのない会社」ということ。正確に言うと「1つのビジョンを定めていない会社」です。
何か一つのことを達成しようとするのではなく、あくまでも合作という”在り方”に重きをおいているというのが合作らしさと言ってもらいました。

現在役員4名体制で経営していますが、それぞれが求めていることや創りたい社会の在り方は異なります。それぞれが達成したいテーマに関して、合作という手法でアプローチすることを大切にしているので、自分はそれでいいと思っています。考えや求めるものは違っても、合作という手段を使って新しいものを生み出したり、課題を解決していくチームなんだということが改めて認識できました。

創業時から口にしている“ハーフビジョン”

「合作」という会社名は、共同創業者である西塔大海(合作株式会社 取締役)と合宿をした際に決まったというエピソードを以前のnoteで書きましたが、その創業時から僕たちは「合作はハーフビジョンだ」という話をしています。

自分たちがビジョンの半分を創る。残りの半分は、一緒に合作をする人たちが持っているもの。それを持ち寄り、一緒に合作してはじめて完成するものであると考え、常にその状態を大切にしています。

役員とも合作をしているし、クライアントや連携先とももちろん合作をしています。また、合作の社員にも、合作というスタイルで仕事をしてほしいと思っていて、言われたことをやるだけだともったいないから、自分のやりたいことと会社や連携先のやりたいことの合作を生み出すことで、常に自己実現の場として合作を利用してほしいと思っています。

自分自身は、丁寧に納得しながらものをつくっていたい。

こんな感じで合作は捉えどころのないように見えてしまうのですが、そんな会社の代表をしている自分自身についてはどうなのか。
普段から明文化しているわけではないのですが、折角なので改めてMVVに当てはめて言葉にしてみようと思いました…が、やっぱりやめました。フレームワークに合わせて一度は考えて、書いて公開直前までいったのですが、結局しっくり来なかったので…(苦笑)

そんな自分があえて言うとしたら、自分はやっぱりものづくりの人間なので、「丁寧に納得しながらものをつくっていく」ことこそが、自分の役割だと思っています。というか、それしかしたくないし、出来ない。
ここで言う"もの"とは、具体的な物質・カタチのあるものだけを指すわけではなく、仕組みや制度や関係性といった非物質的なものも含めて自分は”もの”と言っています。だからこそ、会社をつくったり、まちづくりの文脈も自分にしてみれば”ものをつくる”という行為と捉えています。それを続けていければ後悔しないだろうなと。

つくったものは、 少しだけ社会におすそ分け出来る人で居たい。

とはいえ、自分は根本的に一人で黙々とものをつくっていたいタイプの人間です。どちらかというと人に会うよりは自分の時間を大切にしたいですし、一人の時間が十分にないと苦痛を感じます。ただ、そればかりやっていくと、本当に社会から孤立しそうだなと感じているので、少しだけでいいのでつくったものを社会におすそ分けして、人に何かを与えられる人で居たいと思っています。

Vision(ビジョン)はなくても、Theme(テーマ)はある。

最後に、ここまで書いてみてようやく見えてきたのが<合作は一つのビジョンはなくてもテーマがある>ということです。
自分の学んできた美術の世界では、個々人の作家性において追求するテーマは往々にして存在します。また、作品ごとにはコンセプトが存在します。テーマとは、議論すべき問いであり、追い求めるカタチであり、合作においては「合わせて作る」ということだと思います。

そういった意味で、合作に集まるのは「合わせて作る」というテーマ(議題)の元に集まって、その中で個々のビジョンを実現していこうとしている人たちなのかもしれません。
そして、少し乱暴な言い方をすれば、人のビジョンに乗っかりたい人は求めていない。合わせて作るというテーマのもとに、ビジョンをかけ合わせて面白いことをしたい人やクライアントと仕事がしたいという会社なんだと思います。


合作のことや自分が何を考えているのかをちゃんと表現することが必要だと思い、昨年末からnoteを書き始めています。まだ掴みどころのない感じがあるとは思いますが、それを一緒に面白がってもらえたら嬉しいです。
また、合作という在り方に共感いただき、一緒に仕事をしたい方、事業に取り組みたいと思っている方との出会いに繋がれば幸いです。

今回はとても抽象的な話だったので、次回はより具体的な事業についても紹介できればと思います。

ちなみに…毎回、noteのネタを整理する際にこれまでの経緯も振り返っているのですが、それを文章で公開するのはなかなか感覚が擦り合わないこともあり恥ずかしい気分でいます。活動の背景にどんな考えがあるのかは、以前多摩美術大学の講座で対談した際に触れて頂いていますので、ご興味ありましたらそちらもご覧ください。

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