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これからの未来に必要な契約のカタチ

合作で大切にしていることの一つが「契約」

合作のやろうとしていることの多くは、「今まで事例がないけど、やったら面白そうなことや必要性を感じること」が中心です。
特にそういった事業は、なかなか一人や単独の団体だけでは実現できないことが多いです。だからこそ、複数のプレイヤーや団体が協力することで実現していく必要があり、それを自分たちは【合作】と呼んでいます。そして【合作】を進めるためには、お互いのお作法やルールをしっかりと確認することが大切だと思っています。

まさに名前の通り①合わせて、②作ること。
①対等な立場でお互いを高め合える仕事、お互いにもっているものを合わせていくこと
②新しい挑戦や何かを生み出すエッセンスが在ること
が重要です。
そういった意味で、合作の契約や契約書には自分たちの大切にする哲学が一杯詰まっています。

少し語弊があるかもしれませんが、世の中には、不平等な契約が溢れていると思います。
それは、事業を遂行しても、会社として実質成長できないような契約です。その仕事を受けても受けても会社が成長することがない契約、余剰資金が生み出せない、同じことを繰り返すしかない…。自分はそれを勝手に“自転車操業契約”や“奴隷契約”と呼んでいます。実際自分自身も過去に気づかずにそういった契約を何度もしていました。
事業のフェーズによっては一時的にそうせざるを得ないこともあるかもしれません。でもそんな契約では決して会社も個人も続きません。成長曲線が描けず、新しい挑戦もできない。そんな契約は絶対に避けたい。

そこで、今回は前回のnoteでも少し触れた、合作が大切にしている「契約」について話したいと思います。


双方が成長曲線を描けるように、気合を入れてつくる。

先述しましたが、自分たちにとって「契約」や「契約書」は、合作の哲学を凝縮したようなものです。

契約書の作成には弁護士に入ってもらいますが、私たちは出来るだけ、いわゆる標準的なひな形の契約書を使いません。弁護士と相談しながら、契約ごとにかなり気合いを入れて契約書を作成しています。

特に社会課題の解決など新しい挑戦をする領域、まだ定型化されていない領域で、“まだ未熟な契約”が多く見られます。「受注する側も、発注者側も両方の成長曲線が描けない契約」です。2,3年ぐらいならなんとかやっていけるかもしれませんが、特に社会課題の解決や新しい挑戦はすぐに結果が出るものでもありません。長期的な目線で描いて進めていかなければならないのに、自転車操業にしかならないような契約で、疲弊して続けられなくなることが多いように思います。

逆に言うと良い契約は、発注者側と受注者側双方が成長路線を描ける内容だと考えています。
例えば建設・土木や、士業は業界としての努力の賜物なんだと思います。自分たちが不利にならずに事業を継続していける仕組みや契約を、一社ではなく業界としてつくりあげている。“世界最強の労働組合”とも呼ばれるメジャーリーグの選手会なども一例。見方を変えると「既得権益」のようにも思いますが、それはこれまでその業界が積み上げてきたもの。だからこそ、最初の「契約」はないがしろにしてはいけないと考えます。

面白い取り組みや新しいことへの挑戦にはレベニューシェア型の契約がフィットする。

丸投げではなく、お互いが努力するから成立する成果共有型の契約。

これからの未来は、レベニューシェア型(成果共有型)の契約、取り組みが必要になっていくと考えています。新しいことを始めるときは、誰かがリスクを取らないと進みません。結果がどうなるかは予測しづらい中で、お金や人、時間をかけて進めていく必要があります。その際に、どちらか片方は丸投げ、片方だけが頑張ってどうにか成果を出すような主従関係や一方的な発注/受け仕事では、成果は出せません。

単純な“委託”は、お金を払ってその分の仕事をしてもらうこと。
レベニューシェア型≒【合作】というのは、双方が持ち寄って新しいことに挑戦することであり、お互いが努力しないと成果が出なくて、出た成果は双方で享受すること、です。

なんども対話を重ねた、大崎町での事業の話。

合作が携っている鹿児島県大崎町でSDGs事業を立ち上げた際も、当時の大崎町の担当者としっかり話をして契約や事業のルール(運営規約等)を定めました。
事業は企業版ふるさと納税の寄附で運営する取り決めとしました。しかしながら、設立時点で寄附が集まるかどうかは未定でした。でも、誰かがリスクを取って進めないといけない事業だと感じたので、合作で先行して人を雇用して体制を整えて進めることを決めました。その上で当然発生するリスクをどうするのか、生まれた成果は次にどう繋げていくのか。担当者と何度も話をさせてもらいました。

最終的に当時の大崎町の担当者から
「本来なら大崎町が予算化して事業費を組むべきところ、色んな工夫で大崎町には全くリスクのない形でここまでやってもらってきた。これからもそれで良いなんて、そんな甘い話はないと思っている。だからこそ、大崎町もちゃんと責任を持つカタチで、一定のリスクをとるカタチで一緒にやっていきましょう。」
という言葉をもらったことが今でも心に残っています。これこそが【合作】の在るべきカタチだなと感じました。

(当時は、合作として事業体を設立して雇用をスタートすることを約束。大崎町からは、もし寄附が集まらない場合は最低限移住してくる社員の人件費はみてもらう約束をしていただきました。その代わり役員報酬や事業費などは、仮に寄附が集まらなかった場合は合作で赤字となっても負担するような約束に。結果的には無事寄附も集まり双方が理想としていたカタチで運営ができています。)

これからの社会では、より一層今までやったことのないことへの挑戦が求められていると思います。一人や一企業や自治体、一業界だけでも解決できないことが多い。だからこそ【合作】が必要であり、今までの慣例とは異なる動きが必要だと考えています。

合作=新しいことに挑戦したい人へ

先ほど「例えば建設・土木や、士業は業界としての努力の賜物。」と書きましたが、社会課題の解決や新規事業など、ソーシャルグッドな取り組みを行う領域での契約事も、これまでとは違う新しいスタンダードができてくるといいなと思います。だからこそ合作もそこに率先してチャレンジしたい。

とはいえ、簡単には進みません。
当然のことながら、慣例やこれまでの既得権益が溢れていて、私たちの理想とする契約のかたちや事業の進め方は、なかなか理解してもらえない、受け入れてもらえないことも多々あります。
結局「こっちが委託してる側なんだから、向こうに全部やらせればいいんだよ」が溢れてしまっています。そうではなく、お互いが努力して一緒に新しいもの・ことをつくっていくんだ、という姿勢や仕事の進め方のスタイルがもっと広がっていくといいなと思います。

合作でもこれから新たな事業を増やそうとしているので、契約形態は常に意識して進めています。そしてこれは法人同士の契約だけでなく、社内、会社と個人の関係でも当たり前にしていきたいと考えている部分です。

最後に、ここまで書いてきた「これからの新しい契約のカタチ」について、自分なりにポイントをまとめてみました。企業、自治体、個人、どの立場でも核となる部分は同じだと思います。
これから何か新しいことを始めようとしている方、複数の関係者で課題解決に臨もうとしている方と、今後議論を深めていければと思います。気になった方はぜひコメントをいただけたら嬉しいです。

「これからの新しい契約のカタチ」チェックポイント

①レベニューシェア/共創関係の構築を前提とした契約であることを明確にしているか?
②成果が出た時にどう分配するのかは明確か?
③役割分担の明確化と、役割が守られなかった場合のルールが明確か?
④リスク、事業そのものの新規性について確認できているか?
⑤信頼できるパートナー、自身が合作したいと思えるパートナーと手を組んでいるか?

①レベニューシェア/共創関係(=合作)の構築を前提としているか?

  • 普通の業務委託契約とはそもそも異なるので、契約書にそのことを明記すること。(必要に応じて業務委託契約ではなく連携や提携といった契約文言にする。)

  • お互いの協力関係によって成立する契約形態になっているかを徹底的に確認すること。

同様の契約をしたことがないと、ついつい委託したら後は丸投げというパターンに陥りがち。

②成果が出た時にどう分配するのかは明確か?

  • 成果が出た時の利益の分配割合を明確にすること。

  • 契約を結ぶ双方がプロジェクト/事業完了後にお互い成長できる契約になっているかを確認すること。

利益分配については言わずもがなですが、その後お互いが成長できるかも重要。

③役割分担の明確化と、役割が守られなかった場合のルールが明確か?

  • 事業が進む中で、お互いがどういった役割を担うのかを明確にすること。

  • 相互に協力すること、具体的な役割を文言として載せること。

  • それが守られない場合のルールも確認して契約書に明記すること。(発生してほしくはないが損害賠償請求含め)

①にも通じますが、お互いの役割を書いておかないと委託した方が何もしないで成果を待つような状態になってしまいがち。

④リスク、事業そのものの新規性について確認できているか?

  • そもそも成功するかわからない、新しいことへの挑戦であるということを確認すること。

新規性及び不確実性が高いことへ挑戦するそのリスクについて、双方で認識するのが何よりも重要。

⑤信頼できるパートナー、自身が合作したいと思えるパートナーと手を組んでいるか?

通常の契約よりもリスクは高くなるのを認識した上で、それでもやりたいこと、それでも一緒にやりたいと思える人と契約すること。
レベニューシェア/共創関係は、誰とでも気軽に締結できる契約ではありません。信頼できる人、リスクを負ってでも一緒に仕事がやりたいと思える人とだけ契約しましょう。

私たち合作としても、仕事をくれるならなんでも良いというわけではなく、対等なパートナーとして仕事をしていきたいという意識でやっています。



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