蛇塚 巴詠

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  • OKOPEOPLE - お香とわたしの物語

    • 115本

    OKOCROSSING が運営する、香りにまつわる「わたしの物語」を編み集めるプロジェクトです。https://oko-crossing.net/okolife

最近の記事

境をつくる香り

子供の頃から、一時期を除いて和室で寝ている。毎朝、布団の中でひとつの暗闇と化している私を、仏壇から漂う1本の線香の香りが包み込む。 その度に、当たり前の日常がスタートする事。今日も東の空から太陽が昇る事。目が覚めた事。生きている事を自覚する。清澄な朝の空気に馴染む白檀の香りは、私にとって朝と夜の境であり、また大袈裟に言えば生と死の境である。 最近になって、お供物としてだけではなく、読書をする時や書写を行う時に線香を置くようになった。普段は楽しみにとっておいて、1週間に1〜

    • おもかげの香り、はじめての香席

      香りに恋をして 「あのときの、おもかげの香りが私の道標だ」全てのはじまりは、幼い頃手に取った一冊の本でした。お香初心者による、お香を巡る冒険の記録。 前回、私とお香との出会いについて書いた。今回は、はじめて私が体験香席に参加したときのことを書きたい。というのも、貴族や武士、裕福な庶民が行なっていた華やかなイメージのある香席に参加して、はたして気後れせず楽しめるのか。お香初心者向けのイベントとはいっても、実際に参加するまで不安で一杯だったからだ。自分と同じ気持ちの方の助けにな

      • 初恋の残り香

        香りに恋をして 「あのときの、おもかげの香りが私の道標だ」全てのはじまりは、幼い頃手に取った一冊の本でした。お香初心者による、お香を巡る冒険の記録。 ──香りに、恋をした。今は昔。平安時代中期に誕生した、長編小説『源氏物語』。この物語の第3部に登場する、ある不思議な体質を持った青年・薫。彼が、私の(ある意味での)初恋のひと。ミーハーなオタク少女が、香りに興味を持つ、最初のきっかけとなったひとである。 初恋の残り香私が子供の頃、母が図書館である漫画を借りてきた。 漫画のタ

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