見出し画像

【息子のサッカーを見て、見えてきたこと Vol.85】ゴールキックの在り方

こんにちは!

ルール改正により、味方選手がゴールキックの際にペナルティエリア内に入って良いとなってから大分時間が経過しました。

ビルドアップを得意とするチームはゴールエリアから繋ぐことを開始するのが定着していますし、始め方も様々な工夫に富んでいます。

これにより、以前にも増してゴールキーパーのビルドアップ時の役割が重要になりました。

一方で、自陣の深い位置から開始するのでリスクも存在します。取られた場合にはショートカウンターの形となり、失点に直結します。

プロのレベルであっても往々にして起こります。現に三笘選手が所属するブライトンの試合でも度々起こります。(練習で徹底しているので、守り方も身についているようではあります)

先日、リーガエスパニョーラの「ジローナ対バレンシア」を観ていて、両チームのゴールキックやゴールキーパーからのスタート(オンプレーでの場面)について、ある数値を計っていました。

ジローナが100%の成功率、バレンシアが28%の成功率。これが意味するのは、ジローナはゴールキーパーから中長距離のキックを行った際に全て成功しています。と言っても、ジローナは1本中1本が成功しただけで、サンプルが少ないと言えます。

一方でバレンシアは18本のロングキックをゴールキーパーから入れて(ゴールキックやパントキック)、たった5本の成功(マイボールに出来た数)でした。

ここが成功するためには、ゴールキーパーのロングキックの精度、ターゲットとなるプレーヤーの高さ、強さ、上手さ、セカンドボールを拾うプレーヤーのレベルという要素が絡んできます。また、相手チームのセンターバックなどの強度や跳ね返すレベルも関係します。

バレンシアの様な1部クラブであっても、高くないと感じます。一方で取得し忘れた側面はジローナが繋いでビルドアップした際に、どの程度の成功があったのかという点です。

ただし、再現性や偶然性と言う観点も無視できません。ロングボールの成功は再現性という側面では低いと言えます。

一方で、ロングボールも質が重要であると考えており、ふんわりしたボールではなく、味方の足元や胸にライナーで納められるボールであれば、再現性や確度は高められるとも感じます。

また、相手のディフェンスラインの裏に蹴って、それが味方に繋がれば、1点に直結します。この様に、ビルドアップが必ずしもベストと言う訳ではなく、裏や足元などに収まるロングボールという選択肢を保持しながら、状況に応じて後ろから繋ぐという臨機応変さが重要と捉えています。

ちなみに、マンチェスターシティのエデルソン選手は練習の際にパントキックで75mを記録し、ギネス記録となったようです。ペナルティエリアの先端が16.5mですので、そこから蹴ったとしたら、90mに到達するので、相手のペナルティエリアにいきます。流石に、オフサイドラインを高く設定していたら、裏の抜け出しでも間に合わないで相手ゴールキーパーにキャッチされてしまうでしょう。ただ、それであれば直接ゴールを狙うことも可能かも知れません。
ブライトンのデゼルビ監督は徹底的にボール保持を行いますが、一方でゴールキーパーからの裏へのロングボールも狙っています。相手が前からプレスに掛けるからこそ、有効な戦略となる典型的な例と言えます。

ちなみに2024年1月に視察したコッピーニャ(サンパウロ州選手権)の試合では、大きなクラブだけでなく、街クラブにおいてもゴールキックは直接ロングキックをせずに、繋ぐやり方を徹底していました。
子どものうちから繋ぐサッカーを志向している彼らにとっては、ゴールキックからのビルドアップにおける成功体験や経験値を増やす狙いを感じます。

こうした観点を、育成年代から日本でも伝えていくことも重要ではないでしょうか。失敗が許される時だからこそ、リスクを取ることをあえて伝えていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?