バイオリン開始1年目-②教本

鈴木メソード1巻と新しいヴァイオリン教本1巻

正式に入会してからの教本は鈴木メソードの1巻と新しいヴァイオリン教本1巻(いわゆる”白本”)を併用することになった。

開放弦を使った基礎的なボーイングの練習に白本を。鈴木メソード1巻では曲を楽しむという意図だったのかなと思う。

どうでもいい話だが、生まれて初めてバイオリンで「きらきら星」を弾いて、一人感動していた(笑)
勝手ながら、バイオリン初心者といえば「きらきら星」と思っていたのだ。

さて、教本についてのざっくり個人的所感。

鈴木メソードは、とても合理的で良いと思う。言い方はどうかとは思うが、気楽なのだ。気楽に始められる。
イ長調(シャープ3つ)の曲から始まる教本の作りは、確かに、初めて指板を押さえるにはとても楽で導入がスムーズに思った。

そして、鈴木の最初は「きらきら星」。きらきらだ。
明るいイ長調で弾くきらきら星は、私の心の中でもきらきらしていた。弾いていて「自分もバイオリンが弾けるようになるかもしれない」という何か希望を感じさせてくれるのだ(もちろん、この希望は少しずつ努力との引き換えがなければ、潰えていくのだが)。

白本は、なんというか、もちろんこちらもバイオリンを弾けるようになるために考えられた合理的な本であることは間違いない。が……とてもスパルタな印象だった(笑)

白本は、D線(レ)の開放弦から始まる。
A線やE線に比べると、太いDの弦は、初心者にとってきれいに鳴らすには難しいように思った。
先生も配慮して、A、E線から入ってくれたように記憶している。
それでも、きれいな音なんて出やしないのだけれど(笑)

大人になってバイオリンを始めた人で、楽譜が読めるか読めないかでも違うとは思うけれど、鈴木教本は、そういったことも気にせず、とにかく「習うより慣れろ」という印象を持った。
指板の位置を覚えて、音を出して音楽を楽しむという点に力点が置かれているように思う。ある意味、鈴木氏の信条を貫いていて、とても良い教本だと思った。

対して、白本は、一冊の中に基礎テクニック習得のための練習と曲が短いながらも、たくさん詰め込まれている。割と早い段階から4の指(小指)で押さえる音も出てきていたように思う。
一つ一つは短いながらも、難しい。はなからロングトーンで弾けとばかりに用意されているし、同じ譜面だが下げ弓、上げ弓で弾くように指示があったり。美しい音が出せないと嫌気がさしてくるような地味な練習なのだ。けれど、地道にやっていれば、着実に力がついてくるように思える、これもまたとても良い教本だった。

どちらも、もちろん、先生の適切な指導があった方がより良いと思う。


続けていて気になり始めたこと

この教本併用作戦は、一年弱続いただろうか。
基本は鈴木教本で。必要に応じて、音階や重音練習(当時はまだ開放弦のみ)を白本でやっていた。

まずは指板の押さえ、弓の扱いに慣れることを目的としていたように思う。
そして曲をやることで、楽しいと感じ続けていけるように。
私としては、とてもありがたい進め方だった。
ピアノをやっていたおかげで、楽譜を読むのに困ることはなかったし、音もはずれているのくらいはわかる(だからといって音程がちゃんと取れるわけではないが)。
けれど、弓の持ち方はずっとうまくいかなくて、本当に色々悩んでいたように思う。

音程が重要なのはわかっていたし、今もわかっているけれど、、音程は位置を覚えたり手の形を覚えたりと時間をかけ回数を重ねる物量作戦による「作業」の部分も大きいと思っていた。
それよりも、美しい音を出すには、右手が重要なのだと思っていて、いつも右手が気になっていたのだ。

どうやったら柔らかく右手が使えるようになるだろう。
先生のようにふんわりと弓が持てるようになるのだろう。
そんなことをずっと考えていたように思う。

教本の話からまた脱線した。

個人的には、この併用はとてもありがたかった。
大人だからたいして弾けなくてもいい、のではなく、楽しむためにちゃんと技術も習得したいと思っていたので、白本を通して、少しずつでも課題が与えてもらえるのは試行錯誤をする上でもとても役に立ったのだった。





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