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海外駐在員の投資、アメリカの場合

サマリー

  • 日本の証券会社は継続保有のみ

  • アメリカでの投資は簡単

  • 帰国後のアメリカ金融機関の維持は可能だが確認が必要

  • 維持した場合の税金は日本で一般口座と同じように課税される

  • 退職口座の課税は受け取り方に依存する

日本の証券会社は継続保有のみ

日本に住民票がなくなると新規の売買は出来なくなります。また証券会社によっては口座を閉じる事を要求されます。長期投資で売買する意志がない場合はそのまま放置でも問題が発生しない事もありますが、配当などで利益が出た場合は、居住国ではない日本への納税義務はないものの、各国の課税ルールや租税協定に従い納税義務が発生します。アメリカの場合はどの国で発生した利益でもアメリカで課税されます。

アメリカで投資

アメリカで投資を始めるのはSSNさえあれば簡単です。適当な証券口座を開き、入金を行えばすぐに株が買えます。赴任中は売却益と配当はアメリカで課税されます。帰国後の維持を考えるなら、外国居住者にサービスを行っている証券会社を選んでください。私はFirstrade証券を使っています。

帰国後

帰国の際に選択を行う必要があります。残すか閉じるかです。閉じる場合はその年に利益分の税金をアメリカで払っておしまいで、簡単な手続きが必要ですが帰国後に口座の維持を選択する事も可能です。帰国日以降に発生した利益についてはアメリカで源泉徴収されたのち日本で課税対象となります。また、アメリカでの源泉徴収は配当にのみ発生し、売却益はアメリカ側では非課税です。

維持した場合の税金

適切な証券会社を選べば帰国後も口座を維持するのは簡単です。利益は自分で計算して確定申告する必要があり多少面倒です。日本は総平均法で損益計算を行うので、帰国時点を起点として課税の対象となる所得を計算する必要があります。また円建てで申告を行う必要があるので、為替計算も必要です。ただ面倒と言っても、(売価-平均取得単価)*株数*売買日の為替で計算するだけですし、追加で購入した場合は平均取得単価を再計算します。計算式は、(平均取得単価*株数 + 購入した株価 * 購入株数) / (購入後の総株数)です。外国税額控除で配当金にアメリカで源泉徴収された税金が日本側で控除が可能な場合もあります。日本で収入があれば、確定申告で源泉徴収分の一部またはすべてが還付されるでしょう。

退職口座

アメリカでは個人で年金口座を開設する事が可能です。拠出額は各種条件により制限を受けますが、アメリカの法人で401Kなどに入っていない場合は上限まで拠出可能な可能性が高く、対象となる全額が所得控除の対象となります。勤めている会社によりますが個人に帰する節税分を個人に返してもらえるなら、高い給料による高い税率が相まって、かなりの金額を払い戻してくれるかもしれません。IDECOやNISAが使えない分だと思ってありがたく受け取りましょう。

退職口座の税金

退職口座は早期引き出しによるペナルティが設定されており、帰国時の口座の扱いに注意が必要です。これは、老後資金をためる本来の目的に沿った運用を促すためと考えられます。金融機関によっては米国以外の住所でも新規の積み立ては出来ないものの、保有と解約は対応している場合があります。
 税金に関して、日本に帰国後の受け取り時に一括で解約する場合は一時所得、年金として受け取るなら雑所得で課税される事になります。またその場合に、課税対象所得の計算は、(解約した金額 - 預け入れた金額)になり、どの様な商品で運用されていたか、何回売り買いしたかなどは関係ありません。
 節税を考えるのであれば、退職後に年金を受け取り始めるまでの収入がない期間に受け取りを行うなどの工夫が必要になります。サラリーマン時代に受け取れば所得税と住民税に影響しますし、リタイア後では税金に加えて、国保に移行していた場合、社会保険にも影響が出ます。健康保険を任意継続している間に一括で売却もオプションとして有効です。

具体的な金融機関や手続き、計算方法などは別のノートにまとめ予定。

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