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資産の取り崩しとデリバティブ(カバードコール)

市場リスクをデリバティブで和らげる事が出来るのかを考察します。
結論:あまり役に立たない

考察とその条件

FIREの考え方の骨子にリスク資産の4%を毎年取り崩しても資産が減らないがあります。市場成長が取り崩しを上回るので資産が減らない。その逆算で、年間支出の25年分をリスク資産に置くことが出来れば仕込みは完了となります。

上記のルールを忠実に実践するとリスク(株価の増減など)が存在する事から、年によって使えるお金が増減します。つまり株価が半分になればその年に使えるお金は半分になります。債権を混ぜてリスクを減らす事も出来ますが期待リターンは減少します。また固定的に取り崩しを行うとターゲットの4%を超える取り崩しを行う年が発生するため破産確率を上げてしまう事になります。

4%ルール戦略は、売却益、配当と金利収入を基本にしますが、ここにデリバティブから発生する利益の上積みが上手くいくのか考えてみます。今回はカバードコールと呼ばれる手法で考えてみます。

カバードコールは当該の株式を持った状態で”買う権利”を売る取引です。
買い手は、限定されたコストで株価が契約価格より上がった場合に売り手から株式を買い取り、契約価格と時価の差額を利益とします。
売り手は、一定期間株式を保持し、手数料を受け取り、買い手が請求してきた場合に契約価格で売却します。

このシナリオでは、我々は売り手になり手数料を受け取ります。200株を持っていて100株を売る予定の場合に当該の戦略を追加すると下記の3つのパターンが発生します。

  1. 株価が上昇:手数料を受け取り、契約価格で売却

  2. 株価がヨコヨコ:手数料を受け取り、一定期間後に時価で売却

  3. 株価が下降:手数料を受け取り、下がった株価で売却

1.の場合は追加の売却益(実行時の価格と契約価格の差額)と手数料収入が発生するので追加の利益が獲得出来ます。
2. の場合は、売却益の追加はありませんが、手数料収入が得られ、再度カバードコールを売ることが出来ます。
3.の場合は、手数料収入との見合いでプラスになる場合もありえますが、実損が出るパターンです。カバードコールを販売した時点より低い単価で株を売らねばなりません、早く売ればよかった!となるケースです。

取り崩しを考える場合、カバードコールはある一定期間の値下がりリスクを取って手数料収入を得るモデルなので、長期、短期とも下落相場の時は役に立たないですね。また、株価かが大きく上がった場合も悔しい思いをする事になり、市場に動きがなさそうな時に追加で手数料を取りに行く戦略と言えます。

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