トミー

未来のことを考えるため、少し過去のことを書いたりします。

トミー

未来のことを考えるため、少し過去のことを書いたりします。

最近の記事

もう星の名前を教えてはくれぬのか

足元を照らそうとして、闇を追い払おうとして もう夜空の星も見えなくなってしまった 私の目が衰えたのか 街の光が強すぎるのか もう星に導かれて道を進むこともない もう星の名前も思い出せない 宵の明星と飛行機の瞬く光とを見誤るとは "我が友ピングよ もう星の名前を教えてはくれぬのか…" 夜の闇の漆黒が私を飲み込むことがもうないのか 輝く星々の天蓋に押し潰されそうになることはもうないのか 星の光が語る神話に耳を傾けることはもうないのか 神話に身を焦がされた巫女の狂った声に狼狽

    • 「観光立国」ってのだけは、僕にとって途方もなく理解し難い

      建築や伝統や文化や、そして美は他所の人々からはした金を取って開陳するための見世物ではなく、他でもないそこに住む人々のためのものであるはずだ。そこに住む人が"これはこのように美しくならねばならないのだ"と自分たちのために、自分のために、繰り返し手を入れ続けてきたものが文化であり、その土地の美である。 そうでなければあっという間に消費され、たやすく廃れてしまう。 そのようなものは手間がかかりこそすれ、金銭的に割に合うものではない。 しかしながら本当に見るべきもの、見るべき生命を

      • 種子を撒いて死ぬこと

        「神はサイコロを振らない」と言ったアインシュタインは、"科学が未来の全てを予測しうる"と考える時代の最後の科学者だったかもしれない。 量子力学以降、神が平然とサイコロを振るし、未来は予測不能なことが明らかになった。 近現代、科学が膨大な科学者たちの知的労力を投入して、しかもまさに微に入り細に入り科学的事実を明らかにするにつれ、むしろ分からないことの多さ、我々を取り巻く自然の桁違いの複雑さが認識されていく気がする。 自分は科学者たちの努力を否定しないし、むしろ敬意を払う者

        • 僕は、自分が自由を愛し、人に支配されたくない、ということに気づいた

          僕が、ヒトラーについてもっとも嫌悪する点は、アウシュヴィッツではない。それに先立つ障害者の"安楽死"でもないーーASDである自分がそこにいたらアスペルガー博士の診断により自分は安楽死させられていたのだろうか? 1921年7月、ヒトラーがナチスの臨時党大会で第一委員長に就任し、ヒトラーの手による新たな党規約が承認され、それによってヒトラーがナチ党の独裁権を握ったこと。 それこそが、僕がもっとも嫌悪するものだ。 いったい、ひとりの人間が他の人々を支配するなどということほど、吐

        もう星の名前を教えてはくれぬのか

          詩ーーこの世は鏡

          この世は鏡 聞いてもらえる者だけが言葉を話し 見られる者だけが美しく着飾る 人として遇された者だけが 人としてふるまい 読まれる者だけが書き続ける 聴かれる者だけが美しく歌い 助けられる者だけが助けられる 殺される者だけが殺される 救いを求める声を発したところで この世は鏡 聞かれる声でなかったならば、その声は聞かれず その者は救われない

          詩ーーこの世は鏡

          歌詞和訳 Queen, "Don't stop me now"

          感想: 僕にとってQUEENのもっとも好きな歌のひとつです。 歌詞にジョークが効いてるのがいいですよね。 "Just give me a call"を 「すぐ電話してくれよ!」と訳しました。誤訳かもしれませんがなんか電話のほうが面白いかな、と。 最近の方はギターソロをわざわざ早送りで飛ばすそうですが、僕の場合、とくにこの曲のブライアン・メイのギターソロが大好きで、何百回聴いたか分かりませんが毎回じっとり聴いています。 ところでブライアン・メイといえば天文学者の博士号(修士だっ

          歌詞和訳 Queen, "Don't stop me now"

          詩ーー二人は兄弟だった

          白人の子が黒人の子に文字を教えてた 二人でうずくまって地面に書いた、A、B、C 先生が文字を教えてくれたから誰かに自慢したくて教えた 二人は兄弟だった、母親は違うけど あとでお父さんに殴られた 黒人に文字を教えちゃダメだと 黒人の子はもっと殴られた 黒人のくせに文字を学ぶなんて生意気だと 生意気になったから教育係のところへやられた そこで散々殴られた 生意気だからと殴られた 「なんで殴るのか?」と聞いたら、殴られた 「どこが生意気なのか?」と聞いたら、そういうところが生意

          詩ーー二人は兄弟だった

          詩ーーもう僕のせいじゃない

          娘が死んだら、僕のせいじゃないよな 君は「あなたのせいであの子が死ぬ覚悟はできてる」って言ったけど 僕のせいじゃないよな、何が起きても 僕のせいじゃないよな 娘がスマホばっかり見てても 僕のせいじゃないよな 片付けができなくても 僕のせいじゃないよな 金がなくても 僕のせいじゃないよな 「あなたには期待してないから」 と君は言う、何度も言う でも、僕のせいじゃないよな 僕が君の期待に沿えないのは 今まで娘が生きていたけど これから何かで死んでも 僕のせいじゃないよな

          詩ーーもう僕のせいじゃない

          2匹の魚と5つのパンで5000人の腹を満たす賢い方法

          2000年ほど前のこと 腹を空かせた5000人を前にして、キリストは弟子たちに言う、魚とパンを分け与えなさい、と。 弟子たちは「 魚が2匹とパンが5つしかありませんが」 とおろおろしながら答える。 キリストという男はとんでもない山師なので、落ち着き払って優しい微笑みを浮かべながら、いいからいいから、と弟子たちを促す。 弟子たちは5000人のプレッシャーに負けて、しかたなく魚を配り始める。ペテロは無駄に責任感が強いので、「俺がやる」(彼の覚悟やいかばかりか)、と魚の籠を持っ

          2匹の魚と5つのパンで5000人の腹を満たす賢い方法

          詩ーー彼の輝きが失われるのは当たり前か?

          恥じらう乙女がその一歩を踏み出せないとき 彼が彼女のお尻を叩く 「行ってこいよ!」(あいつもお前を待ってるぜ!) 彼はいつもそんな感じで 当たり前のことがちゃんと当たり前になるのを喜んでる 乙女が少年と並んで歩くのを見守っている 彼はいつだって太陽のように輝いていた 当たり前に乙女のお尻を叩けるくらい輝いた男がいるだろうか? 彼にいったい何があったのか? 何が彼の顔を曇らせたのか? 僕には分からない ずっと身近に感じてたのに、ずっとあの笑顔を信じてたのに 彼の曇った顔を目に

          詩ーー彼の輝きが失われるのは当たり前か?

          詩ーーみじめさと哀れみと

          歴史上ないくらい この世界は全部ウソだらけで 稼いでいるとか成功しているとか そういうことも、誰から奪ったものだか分かりはしない ウクライナでもいいしガザでもいいけど 人が死んでるかってわかんなくなってきた 北の方からは詐欺で稼いだ金でロケットが飛んでくる 詐欺がなければ慈善事業で稼いだかもしれない ロケットはいまごろ火星に人類を運んだかもしれない youtubeで痴漢を捕まえてたら逮捕された youtubeがなければ逮捕されなかったかもしれない、だって痴漢を捕まえても金に

          詩ーーみじめさと哀れみと

          歌詞和訳ーーfun., walking the dog

          感想: これ、愛犬についての詩なんではないかと思いました。名前はnightかな? そうすると一行目がしっくりくるので。愛犬が死んで、一人で散歩する。愛犬との日々を思い出す。 で、必ず次の犬を飼うので、彼らとの別れをまた体験することになる、だけど彼らと過ごした日々は無駄ではなく、それは何かを残してるはず。 下記リンク先を読むとそんな単純な詩ではないようですが、ヴォーカルのネイト・ルイスは右腕に犬の刺青をしたりしてるようなので、犬を飼ってて、愛してたんでしょうね。 https:

          歌詞和訳ーーfun., walking the dog

          歌詞和訳ーーfun. , light romans candle

          [感想] ローマンキャンドルという手持ちの花火に火をつけて、紅茶を飲んで語り合う、そんなたわいない穏やかな午後を夢想する詩です。 ただ、そこから二人で詩を書き始めたなら……創作について互いの才能を巡るバチバチとした感じ、友人に取り残されていく悲しさ、人生が続き、古びて褪せていく寂しさが思い起こされていくだろう、と、どんどん曲調が厳しいものになっていきます。 それらが全て穏やかな午後の風景から織り出されていくとこが好きです。 僕とローマンキャンドルに火をつけよう ただのローマ

          歌詞和訳ーーfun. , light romans candle

          歌詞和訳ーーfun. , At least I'm not as sad(as I used to be)

          感想: ヴォーカルのネイト・ルイスの若い頃はおそらくニューメタルが流行ってたし彼もその界隈にいたんだけど、自分はロックンロール(※僕は音楽疎いので違いが分かりません)に行ってしまい、今はもうそのころの友だちと疎遠になってて、かと思ったら2日前にばったり会っちゃって、それで「俺ってやっぱり友だち少ないな」と自意識過剰気味に実感する、そんな詩だと思いました。 繰り返される"laughing and drinking and smoking and singing"のとこのリズムが

          歌詞和訳ーーfun. , At least I'm not as sad(as I used to be)

          狩人の心……ローレンス・ヴァン・デル・ポスト『かまきりの讃歌』

          『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家ヤマザキマリは、かつてイタリア在住時に詩人とのあいだにもうけた息子に「デルス」という名前をつけた。 この聴き慣れない名前は、黒澤明監督の映画『デルス・ウザーラ』(1975)に出てくる同名の狩人の名前から取られている。 ヤマザキマリという人は音楽家の母のもと、北海道の大自然の中で育った。彼女の心には自然を愛する心があり、自然とともに生きる狩人に対する敬意と、自らの子どもにもそのようにあって欲しいという願いがあったに違いない。 『デルス・ウザ

          狩人の心……ローレンス・ヴァン・デル・ポスト『かまきりの讃歌』

          生き残るということ3……芸術家の使命

          アレントが『人間の条件』のなかで、人間としてもっとも重要な行為を"政治的な活動"としていることに異論はないと思う。それこそが命を賭けるに値し、また名誉とともに当人の名を歴史に残し、そのことによって命を賭けた当人を慰めうるものだからだ。人間はただ生きるためにだけ生きてはならない、いや、生きることができない。 しかし、"活動"というのはそれだけでは歴史に残らない。それは発言であり、行為であり、その人の姿であり、世界に歴史上にたった一人しかいない唯一のその人そのものだからだ。だか

          生き残るということ3……芸術家の使命