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なぜ今、静岡に「パークレット」が必要なのか。【静岡の未来を考える#01】

「パークレット」という言葉を聞いたことがありますか?一般的には聞き馴染みのない言葉だと思いますが、先日、静岡市から街中にパークレットを設けることが発表され、静岡ではかなり話題になった言葉です。

パークレットとは

パークレットは、歩道に面した車道の一部を公共のスペースに変えて、人が気軽に滞在できるようにした空間です。飲食や買い物の休憩など誰でも利用でき、街中のにぎわいを創出する場所として期待されています。もともとはアメリカ発症の文化ですが、現在はヨーロッパやニュージランドにも広がりを見せています。海外では飲食店や地域の企業がパークレットのスポンサーとなり、設置・運用しています。スポンサーはパークレットの掃除や維持のために費用や人手を割かなければなりませんが、こうした場所を設けることは、街のにぎわいという面で大きく見返りもあるそうです。

未だ社会実験の域を抜けられない日本のパークレット

静岡市以外でも、神戸や池袋、名古屋や大阪など、数年前から複数の地域でパークレットの設置が進められてきました。しかし、どの街のプロジェクトも社会実験的要素が強く、常時パークレットを設置している街はまだ多くありません。先程も記載したように、海外では飲食店や地域の企業がパークレットのスポンサーとなり運用しています。行政はあくまで道路の使用を認可しているだけです。日本の場合は、行政が主体で設置し管理費も補填しているところが多く、お金の切れ目がプロジェクトの切れ目となるケースがどうしても出てきています。そして、法律上の問題もまだまだあります。道路の専用許可を得る「道路法」は規制緩和されたものの、道路を使用許可を得る「道路交通法」はまだ緩和されていない部分があり、気軽にパークレットを常時設置できないのも実情です。

静岡市のパークレットも2021年3月末まで、社会実験として設置することになっています。とはいえ、街中に活気の出る可能性が期待できるプロジェクトなので、どういう実験結果が出るのか非常に楽しみです。

自動車の走らない都市が今後のトレンド?

世界中の主要都市では、都市部への自動車乗り入れを禁止する動きが加速しています。ノルウェーの首都「オスロ」では、市内中心部にあった駐車場約700カ所をすべて撤去し、段階的に市内への自動車乗り入れを制限してきました。これまで駐車場のあったスペースには、パークレットや自転車専用レーンを設置。そして、2019年にはオスロ市内の交通死亡事故がたった1件と、歩行者に優しい都市を実現しました。自動車乗り入れを禁止とするといっても、体に障害のある人や店舗へ物資を配送するトラック、緊急車両などは、もちろん乗り入れ可能です。

こうした動きは世界中で加速しており、スペインのマドリッドを始め、フランスのパリやギリシャのアテネ等でも、2025年までに都市中心部へのディーゼル車の乗り入れを禁止にする計画を立てているようです。

日本ではまだこうした動きはあまり見られませんが、車の自動運転技術の進歩とともに、こうした動きが加速するかもしれません。世界の都市計画の潮流を加味しながら、静岡のパークレット計画について考えると、今からとても楽しみで仕方ありません。まずは、パークレットの実現という一歩ですが、この一歩がとても大きな一歩になる日がくるかもしれません。

【写真のクレジット】photo credit sfplanning on Visual hunt CC BY-SA/photo credit Paul Krueger on Visual Hunt CC BY/photo credit Cidades para Pessoas on VisualHunt CC BY/photo credit Miradortigre on Visual hunt CC BY-NC

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