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三人の友情

『彼氏がいて男友達とつるむのはありえない。彼氏が可哀想だ。』

12年前、旦那と付き合い始めたころ男友達に言われた言葉。

当時、何人かいる男友達のなかで、特別仲がいい二人がいた。
ヒロシとシンヤとでも仮名をつけておこう。

もともと二人が親友であり、そこに後から私が仲良くなったのだ。全員同い年で、21歳くらいのときに出会ったような気がする。

トミー『よし、私らELTだ!』
シンヤ『いや、今二人だから。』
ヒロシ『じゃ、トミーキーボードな。』
トミー『抜けるの私かよ!』
ヒロシ・シンヤ『wwwww』

こういったおふざけばかりしていた。

ヒロシは俺様気質だけど天の邪鬼的に優しい。

シンヤは何かと教えたがりで世話焼きタイプ。

なんやかんや二人といると非常に楽で、若いときは楽しかった思い出。そして、三人に共通することがあった。

恋愛下手。

三人とも、人見知り三軍気質があるのだと思う。アラサーになっても、長く付き合う恋人は出来なかった。

しかし、ついに私にも落ち着いて付き合えそうな彼氏が出来た。旦那だ。
そのとき、二人から祝福と応援をされた。

ヒロシ『トミーは遠い親戚のこみたいだからな。はやく嫁にいってほしいね。』

シンヤ『一番乗りで幸せ掴みましたなぁ~羨ましい!』

そんな言葉にちょっとこそばゆい感覚があった。

しかし、半年くらい付き合ったときにヒロシから冒頭の言葉を言われた。

『彼氏がいて男友達とつるむのはありえない。彼氏が可哀想だ。』

これはシンヤと私の関係性を注意したものだった。シンヤは私に彼氏がいようと、今まで通りに接してきた。
用はないけど連絡するし、くだらない長電話をしたり、出張に行けばお土産を買ってきてくれたり。 

それは私に対して特別な感情があるわけではない。シンヤいわく『何でも話しやすいから。』らしい。私も、そう言われたら応えなければと思ってしまう。

私としては、シンヤは世話焼きでお喋り好きな姉のように感じる。話す内容が女子トークのようにゴールが見えない共有ばかり。
あと、私がボケるとシンヤは心地よいツッコミをする。そのキャッチボールがお互いに好きだ。

トミー『まーどを開けーましょ♪』
シンヤ『何で火曜なん』
トミー・シンヤ『wwwwww』

大概のくだらないノックを拾うのでありがたい。そして、そこには色気が全くない。
だからこそ、ヒロシからの言葉が理解出来ず、めちゃくちゃ反論した記憶がある。

トミーシンヤとは何も問題ないから仲良くしてるだけだよ?じゃあ、ヒロシは私と縁を切るの?

ヒロシそういう問題じゃないだろ。彼氏を一番に考えるべきだよ。だから、俺に彼女が出来たらトミーは切るよ?

とてつもなくショックだった。
恋愛ごときで友情がなくなるとか嫌すぎる。
たまたま私たちは男女なだけじゃないか。
私は間違っているのだろうか?
そして、彼氏(旦那)にその話をした。

トミー『恋人が出来たら異性の友情はなくなっちゃうんだって。そんな薄い関係性とは思っていなかったのに。』

彼氏(旦那)『えー?真面目すぎじゃない?www』

彼氏(旦那)はケラケラ笑って言った。
そうだった。

彼氏(旦那)には女友達が沢山いる。

そして

恋愛に関してチャラい。

鬼コミュ力があるので当時の彼氏(旦那)は、私たち三人に比べたらフワついていたと思う。
セフレがいたり、とりあえず出会った女の子をすぐ好きになったり。男のくせに恋愛体質だ。

三軍の私たちにはありえない世界。


だからこそ、私がシンヤと仲良くても問題ないだろうと思っていた。
お互いに友達も大事にしたいスタンスを貫く。
彼氏(旦那)共々納得している状態だ。
だから、ヒロシの言葉が余計なお世話だとイライラした覚えがある。クソ真面目がウザイ。

そして、シンヤもまたクソ真面目な性格ではある。たまに好きなこが出来たり、短期間だけど彼女が出来たりすると、一途で彼女の話しばかりになる。チャラい恋愛には嫌悪感があるようだ。女子トークばりな恋ばなの行き先は、いつも私。口うるさい姉のようだけど、絶対的に浮気はしないだろうなぁと太鼓判を押したくなる。

しかし、何だかんだ彼らのクソ真面目な性格は友達として誇らしかった。
悪く言えば、常識にとらわれ、理性的すぎるお堅い考えだけど。芯がある人間性だからこそ、私みたいなひねくれた性格でも信頼出来るのだ。

彼氏(旦那)は『そんな純粋な男いねーよ』と心底疑い、失笑していたけど。私はチャラい関係性に浸った彼氏(旦那)に少し優越感を持った。

それがいるんですわ。ドヤァッ

そして、30代になり全員結婚をした。
二人は家を買い、子供を授かった。
たまたま一歳違いの女の子で、彼らに顔がそっくりで面白い。
ライフステージの変化を報告されると、ほっこり笑顔になる。

あのときヒロシから『彼女が出来たらトミーは切るよ?』と、言われながらもずっと仲良くし続けている。なぜならヒロシの奥さんは

私の旦那の親友だから。

自然と仲良く出来る結果となり非常に嬉しい。
そして、何年かおきに集まろうという話しになる。いつも集合を提案するのはシンヤで、バーベキューを何度か開催した。
みんなが彼氏&彼女を連れてくる流れで、ワイワイ楽しかった記憶。

そして、先日久しぶりにシンヤの集合がかかった。また、バーベキュー大会だ。
今回は、前回のカップルたちが全員結婚をしている状態でなんだか胸がアツい。

何年かぶりに会ったけど、ノリが変わらず本当にホッとした。
そして、彼らの家族はとても幸せそうだ。
見ていて、あたたかい気持ちになる。

クソ真面目って、最高じゃんか。

三軍のハッピーエンドを味わった気がした。

豪快なアメリカンスタイル

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