ツツジの声

ツツジが咲いている
緑の生垣に
星のようにツツジの花が散りばめられて浮かんでいる
私は1年間
その生垣がツツジであることを
忘れたように生きていた
しかし5月が訪れると再び
その生垣は満開の花を咲かせ
ふとした瞬間に
人の心を和ませてくれる

朝靄の中、あのドアを開けて今日を迎えるだれかも
視線を落としツツジの花を眺めながら
深呼吸をするかもしれない

今日この道を往く私は
ツツジに目をやり
その匂いを感じながら
生命を感じるだろう
そしてやがて私は気がつくのだ
この街中のあちらこちらに
ツツジが咲いていることを
この街にも、あの街にもツツジが咲いていることを
それはこの地上の各地に繋がっているのだ
私の家の生垣とあなたの家の生垣を
私の街とあなたの街を
ツツジの生命が繋いでいる
そしてこのツツジは天上にも咲いている
ツツジは地上と天上をも繋いでいるのだ

鮮やかなツツジを見ていると
私は遠近感を失いそうになる
目の前にある柵よりも遠くのツツジを近くに感じる
そのように空間は一定ではなく
そこにありここにあるように
私の意識の変化一つで
時空も姿を変えるものだ
今まで、遠くにあると感じていた世界を
私は今とても身近に感じている
そして私は今、
あなたと共に生きてゆく道を歩き始めた

私はツツジの色を何色と表したらいいだろう
薄紅色やピンクや淡い紫や
それを表す的確な言葉を私は持たない
だれかが決めた色の名前で
私は自然を表すことはできない

私は色ではなく
音を与えられた

私はツツジの言葉なき声に耳を澄ませ
その心を感じ
ツツジの色も生命も
音で表すのだ

それが私に与えられた
役目なのだ

ツツジが咲いている
私はツツジの声に
耳を澄ませている
ツツジの心と私の心が重なる時
私の心とあなたの心が重なり
私の心のさざなみは止み
凪のように静まっている
それがあなたとともに生きているということだと
私は今、感じている

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
明日もあなたに良いことがありますように♪