響灘 〜Les Misérables〜

この度、『宗左近・花の会会報』第3号に寄稿させていただきました。北九州市立文学館と戸畑図書館の宗左近記念室の二ヵ所で、どなたでもお手にとっていただけるようになっているそうです。お近くの方は、文学や図書を楽しむ機会とともに会報をお楽しみいただければ嬉しいです。

コロナ禍で先の大戦を想起し昨年末に記した文章です。その頃にはコロナも落ち着いてきており、会報が完成する頃には現実と良い意味でズレていたらいいなという願いもありました。しかし、その後の第6波の到来どころか、まさかの戦争勃発により、残念ながらと言いますか、今の現実にリンクした内容となってしまいました。

しかし、この会報にも書かせていただきましたが、そのような暗闇の中でこそ光る、希望となれる作品があると思います。そしてそのひとつが、間違いなく宗左近の作品群であると思うのです。

宗左近は先の大戦の最中、焼夷弾の雨の中で母を目の前で亡くし、自分だけが生き残ってしまいました。戦争に行くことを拒み、親友たちは皆、戦地で死にました。初恋のいとこは売られていきました。
これらの出来事、歴史上の事実は、時が経つにつれて遠い過去のことになっていきますが、宗左近は生涯、贖罪の意識を抱きながら、その想いを強烈な作品に昇華させ続けました。

今や、戦争は遠い過去のことではなくなりました。そして、今は遠い国で起きていることではあるかもしれませんが、決して日本も無関係ではありません。遠い過去のことも、遠い異国のことも、他人事ではなく自分事として想像して受け止められるか。それによって何かしら力になれることがあるかもしれないとともに、自分たちの平和や未来を守るために何を考え何をすべきかということにもつながると思います。

どちらにしても、難しい局面のなかで、宗左近の作品は大きな支え、救いとなる力があると思います。

この時代になっても未だに人間通しが戦争をしているというのはどんなに愚かなことでしょうか。
起こっている戦争が一日でも早く終わり、平和な暮らしを願う人々の暮らしや権利が守られ、これ以上、世界に広がることがないように。

コロナや戦争に限ることなく、日々の暮らしのなかで多くの人々が大小様々な壁や悩みと向き合っていると思います。
暗闇に包まれてしまいそうな不安すら感じる日々ですが、宗左近という光を決して消すことなく心に灯し、その歌を届けていきたいと思います。
どんな時代も、生き切る力となれるように。

よろしければサポートをお願いします! コロナによりライブ中心の音楽活動は難しくなりました。 しかし変革のチャンスにして、レコーディング、撮影、配信機材を整えています。いただいたサポートを更なる向上と持続に活かし、ますます有意義であなたにお楽しみいただけるnote発信を続けます。