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群馬の迎賓館「臨江閣」を訪れたときの話。

以前、群馬県前橋市の「臨江閣」を訪れたときのテキスト原稿が見つかりました。いくつかの写真とともに掲載してみたいと思います。
約2年前、2022年のGWのことなので、往時の時事(コロナなど)が含まれます。
ご笑覧いただければ幸いです。(トミウラ)

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明治期の近代和風建築や擬洋風建築が好きだ。このGW(2022年)、地元、前橋の臨江閣に散歩がてら訪れてみた。

臨江閣(りんこうかく)。1884(明治17)年、当時の群馬県令、楫取素彦(かとりもとひこ)の提言によって建てられた迎賓館(本館)。そして同年に建てられた茶室、さらには遅れること20余年、1910(明治43)年に建てられた貴賓館(別館)によって構成される、近代和風の木造建築だ。

けっこう歴史的価値の高い建物ではあるのだが、全国的にはもちろん、地元においてすら、一般的にはそれほど関心を集めている感じでもないところが残念である。
楫取素彦(もともと長州の人)については2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で採り上げられていて、作品にはこの臨江閣も登場する。ただ、いかんせん、ドラマ自体がいまひとつ地味だったので、臨江閣もそれをきっかけに飛躍的に注目を集める、とはならなかった。

依然コロナの影響はあるにせよ、とりあえず行動制限のない今年のGW。この日の臨江閣にも見学者が訪れていた。しかし、やはりGWにしては、見学者が少ないな、という感じだ。

いくつか建物の内観の写真を撮った。僕も一応、他の見学者の人たちが写りこまないようなタイミングを計ってシャッターを切ってはいるのだが、それにしても、人が少ない。

近隣に人が出ていないわけでもない。実際、臨江閣から道路を挟んだ向かいに「るなぱあく」というレトロな雰囲気を売りにした遊園地があるのだが、そちらは大盛況だ。
臨江閣。やはり観光スポットとしての地味さは否めないようだ。

ところで、見学する際、本館(迎賓館)と別館(貴賓館)は混同しやすいと思う。別館のほうが建物自体が大きいことと、見学の際の入り口となるのが別館だからだ。まあ、パンフレットなどをきちんと見ると混同はしないのだが、本館のことを別館だと思っている、別館のことを本館だと思っている、という人は少なからずいるだろう。僕自身、初めて訪れたときは混同した。ただ、先にも簡単に書いたように、本館と別館とでは、建てられた経緯、年代など、かなり異なるところがある。

こちらが本館で…、
こちらが別館…。

このような歴史的建造物を見学するとき、前もって、どの程度の予備知識を仕入れて臨むべきだろうか? 
もちろん予備知識は多いほうがよいだろう。知識が多いほど見学の際の目が肥えるし、「見るべきものを見逃してしまった!」などという失敗も減る。

そのいっぽうで、あまり、堅苦しいのも考え物だな、という気もする。まずは建物の外観や内観を純粋に楽しむ。「この雰囲気、いいね」、そんな肌感覚から入ることも大事ではないか。人の少ない臨江閣で、そんなことを思った。(了)

作品をご覧いただきありがとうございます。コメントなどもお気軽にお寄せいただけましたら嬉しく存じます。(トミウラ)