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写真とは何か

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写真とは何か、色々な写真論がありますね。自分としては、写真でどんな表現が可能なのか、写真で表現を「創作」するってどういうことで、どういう意味があるのか、などに興味があり、色々と考… もっと読む
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記事一覧

写真に文章は禁じ手か?・・写真の解釈と評価・・良い写真と文章との関係を考える。

写真に文章は禁じ手か?・・写真の解釈と評価・・良い写真と文章との関係を考える。


パーソナルワークとしての写真の評価

この写真、おそらく他の人にとっては、ただの裁縫をする女性の写真ですが、私にとっては、とても想い深い写真です。自分の母の写真だからです。

このような写真は、「ファインアート写真の見方」:福川芳朗、(玄光社)によると、「パーソナルワーク」に分類され、その評価はそれを見る者の主観によって左右され、基準が定まらないものとなります。
私にとっては「良い写真」ですが、

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良い写真とは何か(まとめ)

良い写真とは何か(まとめ)



良い写真とは何かについて、種々検討してみましたが、このあたりで、一応の結論を出しておきたいと思います。

良い写真とは何か・・その1 撮影技術と技能ここでは、以下のようなことを考えてみました。
良い写真には、
1)撮影技術の問題
2)撮影技能の問題
3)撮影センスの問題
が関係し、撮影技術や技能にすぐれ、センスの光る写真は良い写真と言われそうです。
4)被写体の問題・・決定的瞬間を捉えている写

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良い写真とは何か・・その4 100年残る写真の要件

良い写真とは何か・・その4 100年残る写真の要件


宮澤賢治・久遠の宇宙に生きる

写真とは直接関係はないのですが・・・。宮澤賢治の生き方が好きで、特に、かの有名な「雨にも負けず・・・」の詩に励まされますね。同じように励まされた人は多いのではないでしょうか。また、賢治の創った童話もその多くが名作として読み継がれていますね。

そんな賢治の本当の生き方を解説した本に出会ったので紹介します。それが「宮澤賢治・久遠の宇宙に生きる」北川前肇(NHK出版)

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良い写真とは何か・・その3

良い写真とは何か・・その3


良い写真とは何か

「良い写真とは何か」とか、「写真の創作とは何か」とか、とずっと色々考えていて、noteにも、あ〜でもない、こうでもないと書いている。その答えは、写真家の吉田亮人(あきと)さんがその著書「しゃにむに写真家」にて示していてくれた。

吉田亮人さんの「しゃにむに写真家」

JR上野駅構内のセレクトショップに、本が並べてある。その中で、吉田亮人さんの「しゃにむに写真家」という本が置い

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「写真の創作」って何?(11)・・・写真の創作性を著作権法から考える:その2

「写真の創作」って何?(11)・・・写真の創作性を著作権法から考える:その2



写真の創作のための要素・・判例(1):「カタログ写真事件」

「写真の創作」とは何かを明らかにする試みとして、このシリーズの記事は第11回目となりました。そこで、第1回でのアプローチ、著作権法の下ではどのように考えているのか、に再度戻り、検討を続けてみることにしたいと思います。
 一般論として、一般の方の写真についての平均的な認識は、「写真は著作物であり、著作権法によって保護される」という感覚

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「写真の創作」って何?(10)・・写真をbuildする・・Sam Abellのワークショップを経験して・・「写真は引き算」を乗り越える

「写真の創作」って何?(10)・・写真をbuildする・・Sam Abellのワークショップを経験して・・「写真は引き算」を乗り越える

写真の創作への試み

 写真の創作とは何?という疑問を抱き、シリーズとして投稿している。それは、写真は被写体を単にコピーしているだけに過ぎないのではないか、という疑問が拭えないからである。判例等によれば、構図をどうするか等には創作性が認められるため、写真もまた著作権法上の「著作物」であることは間違いないことですが・・・。

とはいうものの、目の前にある被写体を写し撮るということが「写真の創作」なの

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「写真の創作」って何?(9)・・京都グラフィを観て

「写真の創作」って何?(9)・・京都グラフィを観て

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭(2022年5月)で感じたこと。

軽井沢で企画している写真祭の参考になればと思い、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭にゴールデンウィークに言って来ました。
ここでは、報道写真の展示もありますが、アート系の写真が主となる写真際で、京都の美術館や古い町屋を会場にして、さまざまな工夫を凝らした展示で、写真をとても素敵に観せてくれました。

写真展をこんなに

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超一流写真家の無料トークショーにご招待@軽井沢フォトフェスト開幕

超一流写真家の無料トークショーにご招待@軽井沢フォトフェスト開幕

軽井沢フォトフェストがいよいよ開幕

以前よりご紹介していた軽井沢フォトフェストがいよいよ開幕します(2023年4月1日から5月 14日まで)。Karuizawa Foto Fest (KFF)は、2022年1月1日~2023年2月7日の間に軽井沢で撮影された応募写真の中から選ばれた写真を野外展示するものです。総監督は軽井沢在住の国際的写真家の野辺地ジョージ氏です。展示場所は、矢ヶ崎公園、

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記号としての写真は、撮影者の意図+鑑賞者の解釈で成り立つ

記号としての写真は、撮影者の意図+鑑賞者の解釈で成り立つ

前回の記事で、写真は文字と同等であるとした。文字はまさしく記号だから、写真もまた記号なのである。

写真=撮影者の意図+鑑賞者の解釈で成り立つ

写真が文字と同様の機能を発揮して撮影者の意図を他に伝えるのであれば、それは、文字と同様、「記号」である。
しかし、文字は明確にその意味を他人に伝えることが可能であるのに対し、写真は、その意図するところの解釈を、その見る者側にある程度委ねなければならない。

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良い写真とは何か・・その2(文学や書道と比較すると写真の意味がわかって来た。)

良い写真とは何か・・その2(文学や書道と比較すると写真の意味がわかって来た。)

はじめに

 まず、この話は、良い写真とは伝わる写真である、ということが前提の議論であることを、述べておく。
 では、伝わる写真は全て良い写真なのか、というと必ずしもそうとは言えないだろう。
 何が伝わったのか、その伝わった内容次第で良し悪しが決まると思うのだが、いずれにせよ伝わらなかったら始まらない。

伝える手段と写真の関係

 自分の主義主張を相手に伝えるとき、何を使えば良いか。手っ取り早い

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写真の価値の本質・・良い写真の本質はなんだろうか・・情報伝達と写真の創作

写真の価値の本質・・良い写真の本質はなんだろうか・・情報伝達と写真の創作

写真の価値はどこにあるのか

筆者も写真を撮る者として、自分なりに良い写真を撮ろうと日々努力しているつもりである。

良い写真か否かは、極めて主観的で曖昧であるから、他人の評価は気にしないつもりではいる。しかし、やはり人である。SNSに投稿した写真に「いいね」がたくさん付くとやはり嬉しいものである。で、その「いいね」の付き方を見ていてあることに気がついた。この写真を見ていただきたい。ただの干し柿の

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ファインアート写真とは何か・・写真の価値基準を探る

ファインアート写真とは何か・・写真の価値基準を探る

「ファインアート写真の見方」:福川芳朗、玄光社を読んでみた。著者の福川芳朗氏と「2 次元フーリエ変換による写真の客観的評価に関する研究」を共同でされている伊藤雅浩氏が、noteでその紹介をされているので、ここでリンクを貼っておきます。

興味があったのは、写真の価値評価の方法である。かつて、良い写真とは何か? という記事を書いてみたのであるが、そこでの自分なりの結論は、「良い写真とされる判断基準は

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「写真の創作」って何? (8)…写真のあちら側とこちら側・・・ダメ写真で創作に挑戦

「写真の創作」って何? (8)…写真のあちら側とこちら側・・・ダメ写真で創作に挑戦

エピソード

とあるアマチュア写真家さんにお会いした。Aさんということにしておこう。自分の写真がありきたりのもので面白くないと嘆いている。
どれどれ、どういう写真? と見せてみらう。
私:「いい写真じゃない」
Aさん:「当たりまえの、誰が撮っても同じような写真ですよ」
(Webに掲載されているAさんの仲間の写真を見せてくれる)
・・・構図とかはよくできているが、確かに、誰でも撮るようなお決まりの写

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「写真の創作」って何?(7)・・「額に汗」と写真の価値・・写真のような細密画と写真の比較から

「写真の創作」って何?(7)・・「額に汗」と写真の価値・・写真のような細密画と写真の比較から

写真のように見える超リアルな細密画・・スーパーリアリズムと言われる絵画をご覧になったことはありますか?
スーパーリアリズムで検索すると、作例を見ることができます。ここ。

このような作品をご覧になったとき、皆さんはどう思われるでしょうか。

1)おおすごい。と感動する。
2)なんだ、カメラで撮影した写真でいいじゃないか。

どちらでしょう。
私は、1)なんですね。すごいと思うのです。
では、1)と

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