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障害児の保護者の本当の気持ちなんて、療育者の私には到底分からない。

私は、障害児の療育者である。

そして、私は子どももいるが健常児の親である。

子育てという意味や子どもの発達という意味、障害児や健常児の違いや違わなさもある程度理解しているつもりである。

障害児の保護者ともかなりの回数面談などを行っているので、気持ちはある程度分かっているつもりであるが、所詮「つもり」である。

そんな私が、下記の漫画を見て色々感じたので記事にしてみたい。

ちょっと長いが是非読んでいただきたい。

読んでちょっと涙出た。

きっと、漫画なのでさらっと面白おかしくリアルを伝えているとは思うが、毎日の生活での悩みはこんなもんではなかったであろうことは容易に想像ができる。

何故ならば、リアルな話を幾度となく聞いてきたし、少しでも何か力になろうと必死に考えたことも数えきれないし、何もできない無力感を感じたことだってそれに比例するぐらいある。

私たち療育者というのは、自分の施設で子どもを見ている。
だから、保護者の悩みを聞いたとき園にいる時の”子ども”を想像して話を聞きく。

ともすれば、園では問題ないのに家でその子どもが問題を起こしてる場合は、家庭の責任にしたり相談をしている親そのものにしてしまうことだってある。

要は、原因は親だから、家の環境だからと安易に決めつけしまうということだ。

きっと、私だってそう思っていることもあると思う。

昔であれば、親指導といって障害を持っている子どはという話やその対応はと上から目線で”指導”をしていた。
今は、ペアレントトレーニング(以後ペアトレ)という言葉がよく飛び交うし、保護者向けや指導者向けの研修会行われている。

「 発 達 障 害 の あ る 子 ど も ・ 大 人 が 、 個 人 と し て の 尊 厳 に 相 応 し い 日 常 生 活 ・ 社 会 生 活 を 営 む こ と が で き る よ う に 、 早 期 か ら の 発 達 支 援 ・ 切 れ 目 の な い 支 援 を 行 う 」 こ と は 、 発 達 障 害 者 支 援 法 の 基 本 理 念 で す 。ペ ア ト レ を 受 講 し た 親 は 、我 が 子 へ の 理 解 が 進 み 、 自 身 も 子 育 て の ス ト レ ス が 軽 減

厚生労働省    ペアレントトレーニング実践ガイドブック

(私はペアトレの講習会を受けたことないし、これを批判するつもりはないので先に話をしておきます。)

本当の意味の「ペアトレ」を知らない療育者や「親指導」をしていた私のような古い療育者は、この言葉に踊らされて”親”や”家庭環境”が悪いから子どもの問題行動が起きてると安易に決めていないのかと疑問を感じる。

確かに、家庭で親の対応次第で子どもの情緒は変化する。
安定もするし、不安定にもなる。

では、これは親の責任なんだろうか?

家庭での問題行動の相談に対して「それはあなたの対応が悪いからです。」でいいのだろうか?
「この子の障害は〇〇だから、○○な場合は〇〇な対応をしましょう。」で問題は解決なのだろうか?

私は違うと思う。

何故ならば、”子ども”には確かに障害がありその特徴もあるかもしれないが、性格もある。短いながらもその子どもの歩んできた歴史もある。
子ども同様に”親”にも性格があり、人生を歩んできた歴史がある。
もっと言えば、家族という段階で父と母の関係性だって、祖父母との関係性だってある。
要は複雑とうことだ。

だから、〇〇とういう障害がある子どもは○○な対応をしましょうで、全て解決すると思う療育者はどこまで浅はかなのかとちょっと怒りさえ感じる。

私たち療育者というは、その障害児の対応のセオリーをその相談に来ている家庭様式の中にその親の性格に合わせて納得いくよう、考えて説明ができるか?家族が幸せに生活できる未来を想像させることが出来るのか?を問われているのではないか

例えば、自閉症は絵カードが有効なんて当たり前の情報、親は何度も療育者から言われていて、きっと「またか・・・」と思っていますよ。

生活を見ている保育・療育者は自分の知っている部分の生活の切り取った一部分だけを見て、答えを出してはいけない。

私たちは、知らないことだらけなのだ。

親の苦しみや苦悩なんて、私たちが理解なんてできない。
理解をしようなんて思わない方が良い。
何故かというと、きっと及ばないからだ。

するべきことは、理解できないから”知ろう”とすることがとても大切だと思う。

その”知ろう”という対応は、保護者との共感を生み、その共感が何かを動かしていると感じる。

全ては、人と人の間で起きているのだ。

この意味が分からないと、本当の親支援はできないと思う。

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