H.Tomura

何があるのかわからないから行ってみる、という単純な動機で旅をしています。 作ったやつを…

H.Tomura

何があるのかわからないから行ってみる、という単純な動機で旅をしています。 作ったやつをこそっと外に出したいときだけ出します。気分屋です。

最近の記事

【ちいさな深夜特急①】はじめての東南アジア

初めてのベトナム・野良バス停から300km 5時間ぶりに見えた雲の下の世界は、土が赤い世界だった。 初めての東南アジア、初めての熱帯。 日本よりももっと青々とした木々と、その下の赤い土のコントラストが新鮮だった。 正午過ぎ、ハノイ・ノイバイ空港到着。 飛行機のタラップを降りると、強烈な日差しが襲い掛かる。 4月末とはいえ、ほぼ熱帯の初夏。しかも今年は酷暑。 中部ベトナムでは42度にもなるというから驚きだ。 日本の地方空港ほどのコンパクトなターミナルで、SIM確保と両替を

    • あこがれの『深夜特急』に乗りにいこう

      あこがれの本がある。 ずっと、これをやりたいと思い続けていた本。 主人公のようになりたいと思っていた本。 沢木耕太郎の『深夜特急』。 ユーラシアを路線バスで横断するという、若かりし頃の筆者の挑戦を描いたドキュメンタリー。 1970年代の世界を、井の中の蛙だった筆者の目から描き その世界に対して抱く感情を綴ったバックパッカーのバイブルだ。 ひとり、世界に出て、街から街へと動き続ける。 頼れるのは自分だけ。自分で道を拓いていく、リスキーでスリリングな旅。 でもひとりでないと得

      • 三浦綾子・不条理の中に描く希望

         時間を忘れさせるストーリーと、あまりにも重い読後感。でもその中に希望がしっかりと埋め込まれている。人間の本質を問うとともに、その本質を当然のものとしないための力をくれた。本って、小説って、こんなに意味があったんだ…。  九州旅行の帰り道、北九州・小倉で手に取った一冊のハードカバー。千葉までの6時間は、その本に見事に吸い込まれていった。分量としては文庫本3冊はあろうかという長編だが、その物語の魅力は本をほとんど読まなかった私でも、引き付けられるに余りあるものだった。  そ

        • ゴミゼロスーパーで、「これで十分」を思う

          世の中にはまだまだ見たことがないものがたくさんある。 見知らぬ土地で一人暮らしを始めたのをきっかけに、この魂胆で「とりあえず行ってみる」ようにしている。そんな暮らしも、気づけば1年が経とうとしている。 ひょんなことから、京都市内のスーパーで働いている方とお話しする機会があった。それもただのスーパーではなく、「ゴミが出ないスーパー」らしい。基本的に量り売り、包装資材は新聞紙以外なし…そんなスーパーが世の中にはあるのか。ほぇ~…。 その時はそこまでの話だった。が、時は12月

        【ちいさな深夜特急①】はじめての東南アジア

          知らない国のサッカー場の煙を浴びて -人生初のサッカー観戦inセルビア-

          西欧でも南欧でも東欧でもない気がする、ヨーロッパの奥が深い地域・バルカン半島。その最大の国・セルビアの首都が、ベオグラードだ。 古くはオスマン帝国とオーストリア帝国の攻防の最前線、かつてはセルビアを中心とした社会主義大国・ユーゴスラビア連邦の首都。名実ともに、バルカン最大の都市だ。 その外れ、丘の上にある閑静な別荘街を散歩していた昼下がり。お昼を食べに入った屋台の目の前が、ちょうどサッカースタジアムだった。しかも続々人が入っていく。あ、そういうことか。サッカーの試合ね。

          知らない国のサッカー場の煙を浴びて -人生初のサッカー観戦inセルビア-

          農業を知りたい理由。三里塚

          田舎に関わり始めて、いろいろな熱い仲間に出会った。 彼らを前にふと立ち止まったとき、自分はなぜこういったものに関心があるのか考えることがあった。 理由は絞れている。知りたいという好奇心、クリエイティビティのようなもの、「田舎が廃れているの、何かもったいなくね?」という単純な疑問…。 その中に一つ、すこしだけ大きいものがあった。折角なので形にして整理しておこうと思う。 あの土の下に何があるのか ラップはあまり知らないけれど、この歌が私の考えに一番近いと思う。 知らない人は

          農業を知りたい理由。三里塚

          夜を明かす場所がないまま、知らない国で街に放り出されたあの日

          夜8時。電気のついていない、とても暗くて人気のないアパートの階段。 入れるはずの扉が開かず、ただただ呆然と立ち尽くしている。 俺はどうなっちまうんだろう。 気持ちは軽くないのに空に浮かんだような、とらえどころのない気持ち。 北マケドニア共和国。 と言われても、ピンとこない人がほとんどだろう。 ギリシャとオーストリアの間の、国がたくさんある地域。そのいちばん南側を想像してほしい。あのあたりである。 おそらく日本人の99%が行かないであろうこのヨーロッパの小さな国の首都スコピエ

          夜を明かす場所がないまま、知らない国で街に放り出されたあの日

          学生時代のちいさな冒険の話

          日曜日の朝6時、どこまでも広がる地平線から太陽が昇ってくる。 平原を走る小さくて頼りないバスから伸びる影は、オリーブ畑を黒くそめてゆく。 時刻表というものが国中に2枚しかないこの国で、どこからどう情報が回ったのかわからないが、道端にはぽつぽつバス待ちの人が立っている。 こまめに彼らを拾いながら、バスは平原を進んでいく。 何時に到着するのかもよくわからないまま、荒い運転に身を任せたまま。 バルカン半島の一角に位置する小さな国・アルバニア。 この国に来て1週間、この日は探しもの

          学生時代のちいさな冒険の話