エッセイ#1「我が家のナイトルーティン」
「やめてくれ」
今夜も夫が私に言い放つ。私だけが楽しんでいる夫婦の日課である。
私の好きな匂いのひとつが夫である。と言っても、テレビCMみたいに、風になびく髪から、ほのかに漂うフローラルなシャンプーの香りがするわけではない。むしろ夫は面倒くさがりで、二日に一回しか頭を洗わないし、隙あらば風呂に入らずベッドにもぐり込もうとする、とんでもない男である。キレイ好きな私にとって、永遠の敵のはずなのに、なぜか夫の匂いが大好きと言っても過言ではないのだ。
夫の匂いを嗅いでみると、な