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「百万回生まれたネコ」と「化け猫」[俳句ショートショート]

モチーフにさせていただいた作品

「百万回生きたねこらし はだれ雪」こうちゃん


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登場キャラ「天使センパイ」と「ペイペイ天使」
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天使センパイ「この光景をみて、どう思う?」

ペイペイ天使「場所は郊外、里山の裾のほうかな。中央にネコが二匹いて、少し離れたところに女性が一人。ネコの写真を撮ってますね。白いのがところどころに見えるのは、残雪かな……

天使センパイ「実は、このうちの一匹のネコと女性は前世で仲良しだった。二つの魂は99万9999回もネコとして生まれ変わってたんだ

ペイペイ天使「へぇー、それはそれは長い付き合いだったんですね」

天使センパイ「しかしいよいよ百万回という時に、一つの魂は愛にめぐりあって人間に生まれかわった

ペイペイ天使「それが彼女なんですね」

天使センパイ「だから、離れ離れになってしまった」

ペイペイ天使「でも二つの魂は、こうして再会した! それにしてはあまり感動的じゃないですね

天使センパイ「お邪魔虫がいるからな」

ペイペイ天使「もう一匹のネコか。どっちが百万回のネコなのかわかりませんけど

天使センパイ「今回のキミのミッションは、邪魔なネコを追い払うことだ

ペイペイ天使「どっちなんです。邪魔な野郎というのは?」

天使センパイ「それを調べるのもミッションのうちだ。ヒントをやろう。
邪魔なネコというのは本当は『化け猫』だ。強欲な人間のなれの果てさ。
どうすれば見分けがつくと思う?

ペイペイ天使「人間の欲望と云えばお金ですか…… あ、わかりました!
小判を使えばいいんでしょ? 本物のネコなら見向きもしませんが、強欲者なら涎を垂らすかも~

天使センパイ「正解。よく気が付いたな。『猫に小判』という諺は化け猫を見分ける極意だったんだ」

ペイペイ天使「学校ではよく、眠るな! て怒られてましたけど、要点はちゃんと聴いてたんです~ で、小判はどうしましょう?」

天使センパイ「自分で工夫しなさい」

ペイペイ天使「自腹ですか?」

天使センパイ「当然だ」

ペイペイ天使「ま、いいか。見せるだけですもんね。借りてくればいい話だ。わかりました。ひと仕事、片づけてきやす~」

 そう云うや否や、ペイペイ天使はどこかから小判を手に入れてきて、一匹のネコの前に置きました。茶トラ模様のほうです。
 茶トラはチラっとみただけでプイと横を向いてしまいました。これで化け猫はもう一匹のほうだとわかりました。
 しかし、ペイペイ天使はイタズラしたくなり、もう一匹のネコ、サビ模様のネコに近づき、目の前に小判を置いてみたのです。
 すると、さっきまで居眠りしていたようなサビネコが突然、天使に襲い掛かろうとしたではありませんか!
 ペイペイ天使はあわてて飛びのきましたが、その隙にサビネコは小判を加えて逃げてしまいました。あっという間の出来事……。

 ペイペイ天使は呆気に取られて動くことも出来ません。そこに天使センパイも降りてきてくれました。

天使センパイ「やられたな」

ペイペイ天使「はい。まんまとやられてしまいました。小判を弁償しなくてはなりません。大損害です!」

天使センパイ「しかし化け猫を追い払うミッションは成功した。それに痛い経験が成長の糧になるんだ」

ペイペイ天使「もしかして、こうなることを予想してたんですか?

天使センパイ「まあな」

ペイペイ天使「そりゃあ、ひどい。だまし討ちじゃないですか!」

天使センパイ「自分の不勉強を棚に上げて何を云うか。ネコのことは学校で習っただろ!

ペイペイ天使「ええ、ちゃんと覚えてますよ。えっと『猫に小判』の他には『猫の手も借りたい』『借りてきた猫』『猫舌』というのもあったっけ」

天使センパイ「肝心なことを忘れてる」

「あ、猫ババ!」

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