[短編]神の余香[White]
目にも見えず耳にも聞こえない
そんな神が現れても気づきようがないが
一説によると 立ち去った後には
えもいわれぬよい香りがするという
まさか料理のにおいではないだろうから
香水やお香のようなものかと思うが
それらだって たいていは
相手にわかるように使われているので
「余香」とは云い難い
あと思い浮かんだのは森だ
いい香がたちこめている時がある
特定の場所と云うより
季節や湿度との兼ね合だと思うのだが
押しつけがましいところがなく
じつに心地よい
と、柄にもないことを話