Tom Leeも注目するTruflationとは?
イントロ
みなさん、こんにちは。
日本はゴールデンウィークも終盤に差し掛かっているようですが、こちらは普通の週末を過ごしています。
最近はベイエリアの気候も様子がおかしく、雨の日も多いのですが、慢性的な水不足に悩んでいたCalifornianにとっては喜ぶべき変化かもしれません。
さて、今日はTom LeeとSkyBridge Capitalの共同創始者でもあるAnthony Scaramucciの対談動画から、最近のアメリカのインフレを知る上で役に立つ情報をシェアしたいと思います。
インフレに関するFedの姿勢
今回の対談での主なトピックの一つに、アメリカの現在のインフレ状況に関する見方と、Fedが発表するCPIに関する疑問がありました。
Tom Leeは下に示したYoutube切り抜きの動画の直前に、インフレとは物価が上がり続ける現象であると指摘し、現在はいろいろな商品の価格が上がってはいるものの、高止まりしている、つまりインフレにはなっていないと指摘しています。
さらに、ではなぜCPIなどの主要なインフレ指標との乖離があるのかについて議論が進みます。
和訳(意訳含む)「私も同じ意見です。もし多くの人々が期待しているようにFedがインフレ状況を我々に教えてくれると考えているのなら、こう言わなければなりません。Fedはインフレカーブの後ろ(=後追い)にいるのです。なぜなら、Fedはインフレに関するコメントが債券市場の参加者の90%に受け入れられると考えた場合のみ、そのような発表をするのです。Fedは本質的に、対インフレ戦争が終わったと早期に発表することはできないのです、債券市場が反抗しますから。」
Truflationとは?
では、現在の本当のアメリカのインフレはどうなっているのでしょうか?
ここで、Tom LeeとAnthonyはTruflationに言及しています。
まずはTruflationについて、私もまったく無知でしたので、ちょっと調べてみました。
和訳(意訳含む)「Truflationはリアルタイムで物価のデータを提供する金融サービス会社です。ユニークなのは、非常に独立性を重視しているようで、データの管理などにブロックチェーン技術を用いている点です。さらにCPIよりもより正確で透明性がある指標を提供できるプラットフォームとされています。」
和訳(意訳含む)「Truflationは250万品の消費者向け製品について、その価格を測定します。そしてリアルタイムの測定です。もちろん、Truflationには50年以上といった過去の歴史はありません。しかし、Truflationが提供する物価データはCPIの中央値のとてもよい近似値となります。つまり、320品目の価格を基に算出されるCPI、それもその中央値である1.76%とヘッドラインの値(例えば3.5%)をつなぐような数値と考えられます。
ちなみに1.76%という先月のCPI中央値は、過去のCPIの長期にわたる平均値である2.2%を下回っていることも指摘しておきたいと思います。なぜ公のCPI値が高いのか、それは住宅(CPI全体の40%ウェイト、6%のインフレ)と自動車保険が過大に寄与しているせいです。」
5/5/2024時点のインフレ
ということで、さっそくTruflationの無料サインアップを済ませて、現在のインフレ率を調べてみました。
このようにリアルタイムの物価インフレ率が手軽に見れる、というのは非常にパワフルですよね。ちなみにTruflationのサイト内には、このTruflation Rateと実際のCPIインフレ率の相関係数は0.97(!)という非常に高い数値が掲載されています。97%の相関でリアルタイムのインフレ率、つまり月ごとに発表されるCPIよりも先行して米国のインフレ状況をモニタできるのですから、これは超要チェックなマクロ指標ではないでしょうか?
ちなみに、上のチャートから、Truflation Rateは2月から4月までにかなり急ピッチに上昇しましたが、4月から現在までは目立って下落していることが分かります。
Tom Leeやその他のプロ投資家、アドバイザー、ポートフォリオマネージャーはこのようなツールも当然参考にしながら、今後のインフレ動向や、それに対するFedの金利コントロールを予想しているのでしょう。
最後に
ここで、月ごとに発表される本家のCPIとPCEについて再確認してみました。
時間軸は一応、Truflation Rateと同期間をとっていますが、大まかな傾向は一致しているのではないでしょうか。肝は、Truflation Rateはリアルタイムで更新される点ですから、CPIの発表が前月の統計値であることを考えると、1か月から2か月先行してインフレ傾向を把握することが可能と言えます。ただ、潜在する問題はCPIのヘッドライン値が本当にアメリカ全体のインフレを正しくとらえているのか、でした。そうでないのならば、当然Truflation Rateとの間に乖離が生じる可能性はあります。
それでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?