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B'z Bro.の大学生がB'zのオリジナルアルバムをレビューする[#6 RUN]

お疲れ様です。Tomと申します。

今回はB'zの6枚目のオリジナルアルバム「RUN」を紹介させていただきます!

初回盤はCDケースの成形色が黒色だったらしい(実家のは通常版だった)

・概要

前作「IN THE LIFE」や10thシングル「BLOWIN'」はセールス面で大きな成功を収めた。松本はB'z結成時から「やりたい音楽をやるには売れなければ意味がない」と考えており、「売れる」という目標が達成されたことで、これ以降B'zは彼らのやりたい音楽であるハードロック路線へと舵を切っていく。

1992年10月7日、11thシングル「ZERO」をリリース。ハードロック路線を初めて打ち出した楽曲で、「楽曲だけで勝負する」というこだわりからノンタイアップとなった。B'zとしてもこれは大きな挑戦であり、本楽曲がチャート1位を獲得した際には「今までで一番嬉しかった」と述べたほどだ。「ZERO」の成功以降、B'zは本格的にハードロック路線に移行していく

そして1992年10月28日、B'zのアルバムとして初めてハードロックを打ち出した6thアルバム「RUN」がリリースされた。

本作は初めてハードロックを打ち出しただけでなく、ライブツアーのサポートメンバーとのセッションから制作された初めてのアルバムでもある。この制作方法は後のアルバム「Brotherhood」「THE CIRCLE」などでも採用されることになる。

・第一印象

B'z のハードロックの原点にして頂点。
このあたりから私が聴き馴染んだ楽曲も多くなってくる。
ハードロックをベースに、ブラスロックやワールドミュージック、ファンク、パンクなどの要素が随所に見受けられる。そしてそれらが稲葉の歌唱と松本のヘヴィーなギタートーンによってB'zの音楽として結実している。

・楽曲レビュー

#1THE GAMBLER

増田隆宣のオルガンソロから始まり、松本のギター、ブラスセクション、稲葉の豪放磊落な歌詞と歌唱など、B'z流ハードロックのお手本のような楽曲に仕上がっている。

増田隆宣:長年B'zのサポメンとして活躍したキーボーディスト
【引用元:https://twitter.com/takanobumasuda/status/1697170047511531834】

ハードロックに舵を切った最初のアルバムの1曲目が”THE GAMBLER”であるのも、B'zがこのアルバムのリリースに際してどのような心境だったのかを示唆しているように感じられる。


#2 ZERO

私の推し曲その1
11thシングルにしてB'zの代表曲の1つ。
音源でもライブでも何度も聴いているはずなのにいつまでも新鮮さを失わない名曲。

B'zの歴史を語る上での重要性は前述した通りだが、楽曲の構成においても面白いことをやっている。
この曲は所謂"2番"が存在しない下記のような構成になっている。

Aメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Bメロ→大サビ

この時点でそれまでのポップ路線とは一線を画すアプローチである。
私はこの構成は、洋楽の”ヴァース”+”コーラス”構成と邦楽の「Aメロ→Bメロ→サビ」構成の融合を目指したものだと考えている。A・Bメロを繰り返すことで洋楽のような楽曲全体でのうねりを生み出し、そこからサビに繋げることでJ-POPらしいキャッチーさを担保しているように思う。
この構成は後の楽曲「FIREBALL」「Calling」でも使われていて、松本の作曲における重要な語法になったと言えるだろう。

また、この楽曲は聴きどころが非常に多い。
この時期のB'zらしいブラスセクションだけでなく、ギターソロ後にはラップが取り入れられ、アウトロではドリル奏法を披露している。この楽曲はライブでの演奏回数も非常に多いが、それはこうした聴きどころ(見どころと言い換えてもいい)があることで非常にライブ映えするからではないだろうか。


#3 紅い陽炎

暗い雰囲気のバラード。歌詞も抽象的な表現になっている。
松本はこのアルバム制作時「『ALONE』のようなメジャー系のバラードをやる気がなかった」と語っており、前作「IN THE LIFE」に収録されているバラードとの対比も興味深い。


#4 RUN

アルバム表題曲にして、B'zファンにとっても大切な楽曲。
稲葉は作詞当時、バンドメンバーやスタッフなどチームをテーマにしていると語っているが、今では周年記念ライブツアー"LIVE-GYM Pleasure"の定番曲であり、「Brotherhood」と共にB'zとファンの絆を象徴する楽曲になっている。

歌詞が最高なのは言うまでもなく、個人的にはイントロのアルペジオとアウトロにAメロのギターフレーズを持ってくるところが好き。


#5 Out Of Control

稲葉のボーカルが暴れまわっている楽曲。
歌詞は社会風刺的な内容で、稲葉曰く「長髪のお兄ちゃんのボヤキ」。
サビでのコール&レスポンス、間奏でのギターソロとキーボードソロの応酬など、サウンドの掛け合い・ぶつかり合いがかっこいい。


#6NATIVE DANCE

アイコニックなベースリフから始まる、このアルバムでは珍しい打ち込みを多用したダンスビート。
曲中でネイティブアメリカン風のコーラスが入り、これまでのB'zのダンスビートとは違った趣がある。正に「NATIVE DANCE」。

借りてた恋愛小説 さっぱりわからなかったよ
譲ってくれたビデオいかしてる いつも見てるよ

同曲/B'z

歌詞は「ありのままの自分を見てほしい」と願う内容だが、ありのままを晒す第一歩として上記のような表現ができるのは天才だと思う。


#7MR.ROLLING THUNDER

前曲と同様に民族音楽的な雰囲気がありつつ、こちらはハードロック的なアプローチの楽曲。

僕は真っ赤な大地の 聖なるワレメの中から生まれた きっと

同曲/B'z

これほどセクシーに情景を描写できる人が他にいるだろうか。
稲葉の作詞に脂が乗りきっている。


#8さよならなんかは言わせない

私の推し曲その2
爽やかながらどこか哀愁も感じられるナンバー。
歌詞は稲葉の大学の卒業式がモチーフになっているそう。
個人的に思い入れがある楽曲で、

潮風は強く 僕の頬を撫でている
君を故郷に送る船が もう着くころ

同曲/B'z

私は海沿いに住んでいて高校へ通うのにフェリーを使っていたので、この歌詞は青春時代や一緒に登校した友人たちを思い出させてくれる。

美しいアルペジオやギターソロもまた聴きどころ。
ラストの稲葉のアカペラも素晴らしい。


#9月光

私の推し曲その3
B'z屈指の名バラード。
この曲の最大の魅力は間違いなく松本のギターソロだ。
哀愁漂う泣きのギターソロは松本の真骨頂であり、松本のキャリア全体でも屈指の名演だと思う。
稲葉もこのギターソロからインスピレーションを受けて作詞を進めたとのこと。

余談:2013年のEndress Summerツアーでこの曲が演奏され、映像化されている。この時の演奏がめちゃくちゃかっこいいので機会があればぜひ見てほしい。ギターソロを演奏するTAKのシルエットがかっこよすぎる。


#10 Baby, you're my home

アルバムのラストを飾るアコースティックなナンバー。
曲の雰囲気は前作「IN THE LIFE」収録の「あいかわらずなボクら」に通じるところがあるが、歌詞の情景描写や比喩の巧みさはさすがRUN期の稲葉という感じ。

古いアルバムをめくるように 暮らしていたよね
初めて会った頃から ときどき君はいなくなる
何も言わないで そのたびに二人で途方に暮れていた

同曲/B'z


・まとめ

繰り返しになるが、B'zのハードロックの原点にして頂点といっても差し支えない内容に仕上がっている。
加えて、アルバムの制作方法や曲の構成、作詞の方向性など後のB'zに繋がる要素が多く見られる。
B'zはキャリアが長いのでどの時期のB’zが好きかは人それぞれだろうが、B'zが好きなら一度は聴くべき重要な作品である。

・おまけ

10thシングル「BLOWIN'」はこのアルバムに収録されなかった。
いつもならハブられたシングルをアルバムに組み込んだプレイリストを晒しているが、このアルバムに関しては「BLOWIN'」を入れなくて正解だったと思う。このアルバムに「BLOWIN'」が収録されていたらかなり浮いた印象になっただろう。
「BLOWIN'」にはこれからもベストアルバム”Treasure”シリーズの顔役として頑張ってもらうことにしよう。

・最後に

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。

次回以降は不定期の投稿にはなると思いますがお付き合いいただけると幸いです。

それでは、

せーの、おつかれ!

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