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【Tokyo Saikai Edition 003】 井川雄太さん <後編>

東京西海noteの新連載「Tokyo Saikai Edition」 第三回目のゲストは、株式会社シーアンドサイン・共同代表の井川雄太さん。

<前編>では井川さんと北欧デザインとの出会い、モノ選びについて伺いました。後編では、ジャンルの異なる4店舗を運営する上で、大切にする思いやお店作りについてお聞きします。(取材場所:フリーデザイン/吉祥寺)




——井川さんが共同代表を務める株式会社シーアンドサインについてお聞かせいただけますか?

シーアンドサインは2004年12月にスタートしました。前職の同僚と共同代表という形で運営しています。2008年に法人化し、現在は3つの実店舗(それぞれオンラインストアも併設)と1つのオンラインストアを展開しています。最初に高円寺に「DEALERSHIP」という、1930年から1980年代のアメリカン・ヴィンテージ・グラスウェアを中心とした専門店をオープンしました。幸い軌道に乗り、その1年半後には吉祥寺に「フリーデザイン」をオープンしました。起業当初から、強く興味を持っている分野で、複数の専門ショップをやりたいという気持ちがあったので、それに取り組むことができてありがたく思っています。


——シーアンドサイン(SEA AND SIGN)の由来は?

好きなバンドの名前からです。法人化するタイミングで、会社名をどうしようかと2人でミーティングを重ねていたんですが、その時に、当時よく聴いていたシカゴ音響派のバンド「The Sea and Cake」のレコードをたまたま流していて。英語にした時の字面と、聞いた時の響きを重視していたのですが、これいいんじゃないって。二人でちょっとアレンジして決めました。大海原に旅立つ感じを想像できるところが今も気に入っています。サンプリング文化の影響を大きく受けているので、こんな感じでかっこいい「元ネタ」をひっぱってきて組み合わせて、オーマジュするようなことが好きでしたね。

同様に「フリーデザイン」の店名は、1960〜70年代に活動していたニューヨーク出身のソフトロックバンド「The Free Design」から。これも学生時代から聞いていて、今でも好きなグループ。開店時のフリーデザインは、デザインを重視した輸入雑貨を世界中から集めていくことをコンセプトにしていたので、ぴったりなんじゃないかと思いましたね。音楽の影響は自分にとって大きなもので、現在もスローペースながらバンド活動(Bertoia、2007年結成)を続けています。海外からシューゲイザー系のインディーズバンドが来日すると、声をかけてもらったりして、年に2〜3回はライブをする機会があります。ここ数年は、主に配信サービスで曲を発表していますが、2011年に発表したファーストアルバムが、去年、海外レーベルからイシュー版レコードとして再発されたりもしました。

——そういう経緯だったのですね。会社とバンド、共に長きに渡って続けているのはすごいです。切り口の異なる4つのお店を運営するにあたり、井川さんが心がけていることはありますか?

会社として、「永遠に生きるものと、暮らす」というステートメントを掲げていまして、それに準じて活動を続けていたら、結果的に4つの店舗になりました。それぞれ切り口は違いますが、どの店舗にも「暮らしを楽しむ」ことに貢献してくれるモノがたくさん詰まっています。なので、お客さまには、すべての店舗に立ち寄って楽しんでもらいたいという気持ちから、ポイントカードは全店共通にしています。北欧デザインを入り口に、次はファイヤーキングや日本の工芸品に興味を持ってもらったり。その逆もしかりで。

4店舗すべてをご利用いただいているというお客様もたくさんいらっしゃるようで、嬉しいかぎりですね。いつか機会があれば、4つの店舗のコンテンツが一同に集まったお店をやってみたい気持ちもあります。

Cords:Rim Bowl


——井川さんをはじめとするスタッフの皆さんはモノに詳しい方々で、一般的にはマニアと呼ばれると思います。しかし、店舗にお邪魔したり、ウェブサイトを見る中で、幅広い層に受け入れられる印象があります。

そう言っていただけるのは嬉しいです。僕たちは、商品愛の深さと、敷居の低さの両立をいつも意識しています。どなたにも入りやすく、ゆっくりと商品を選んで楽しんでもらえるように、接客の温度感、POPの内容、店舗の雰囲気に細心の注意を払って運営をしています。もちろん、マニアックなご提案もところどころで出していますけどね(笑)。


——シーアンドサインでは、会社に採用されてから、各店舗に配属されるのでしょうか?

いえ、そうではありません。店舗ごとに個別に募集し、採用しています。その後に教育を行っています。当社では店舗間の移動はほとんどなく。例えば、ファイヤーキングが好きな「ディーラーシップ」のスタッフが、いきなり「フリーデザイン」に異動することはありません。4つのコンテンツの中から強く情熱を持てるジャンル、力を発揮できるジャンルで働いていただいています。

各店長とは定期的にミーティングを設け、感覚や方向性を常に共有しています。シーアンドサインも創業から今年で丸二十年を迎え、スタッフも50名ほどになりました。これからも多くのお客様のお役に立てるように、自分たちができる限りのことをやっていきたいと思います。

——井川さん、本日はありがとうございました。最後に、これからの活動について聞かせいただけますか?

「永遠に生きるものと、暮らす。」というステートメントと、「暮らしを楽しむ文化を広める」というミッションをより深くスタッフと共有して、これからもたくさんのお客様のお役にたてるように精一杯活動を続けていきたいと思います。

井川さんご提供
Cords:Rim Plate 250mm、Rim Bowl 200mm

井川雄太
SEA&SIGN 共同代表
free design(北欧ライフスタイル)、cotogoto(日本の手仕事)、DEALERSHIP(アメリカンヴィンテージ・グラスウェア)、TASTE(世界の道具)とジャンルの異なるインテリア雑貨ショップ4店舗を運営。
https://seaandsign.co.jp


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