見出し画像

蕎麦と名刺は「職人」が仕上げると心地良い。

こんにちは。
東杏印刷のオンラインストア「いいすと」です。

最近手打ち蕎麦のお店に行って来ました。
店主自らが蕎麦粉をこねて蕎麦を作るお店で、透明のアクリル板で仕切られたブースで作業をしていました。

底が平らな大きいお椀に蕎麦粉を入れ、水を少々入れてよくこね、やがてひとつにまとまったやわらかな塊を薄く延ばし、やや長い綿棒に巻き付けることでさらに薄く延ばし、

延ばしたものを丁寧に折りたたんで、持ち手の部分まで刃が来ている蕎麦包丁で均等に切っていくのです。

無駄の無い動きと力加減、経験と勘に裏打ちされた蕎麦捌きは、何とも言えない味がありました。
この時は天ぷら蕎麦をいただいたのですが、大変美味しかったです。
※蕎麦打ち職人の写真はイメージです。

さて、このように、素材を切ってやがて商品に仕上げるのは印刷でも同じです。
今回は断裁について述べていこうと思います。


断裁工程を工場見学!

断裁とは紙を切る作業です。
断裁機(だんさいき)を使って、決められた寸法(長さ)を合わせて紙などを切断するのです。
製本の加工工程の一つで多く利用されているほか、合成樹脂や、カーボンシート等の切断加工にも広く利用されています。
ただ、機密保持などのために紙を細断するペーパーシュレッダーとは用途が異なります。

当社では一部で紙の卸業者様から、もともと印刷用に切ってあるものを使用していますが、主に全紙という形で仕入れています。
代表的な例をあげると、
四六全判 1,091×788
B全判  1,085×765
菊全判  939×636
A全判  880×625
※単位:mm
(四六、B、菊、A、と見慣れない単語が出てきましたが、この話は別で展開したいと思います。)
乱暴な例えですが、オフィスのスチールデスクと似たような大きさです。
それらの紙を印刷機毎の給紙サイズに合わせて断裁していきます。
大断ち、と社内では言っていますが、大人用の和服を布地一反分で切る大断ちと同じ表現なんですね。

刃はギロチンのようないでたちです。
足のべダルで紙を押さえ、手前にある2つのボタンを押すと刃が下りて断裁されます。
2つのボタンを両手を使って押さない限り、刃を下すことができないようになっていますが、とても大きな刃を下すので、安全管理には十分注意して作業しなければなりません。
また、家庭で使う包丁と同様、研がないと切れ味が悪くなってくるので、刃は定期的に磨きをかけます。

断裁士は最後の砦

さて、断裁は商品の仕上げの部分でも関わります。
ここでは名刺を例にあげてみようと思います。

名刺のサイズは一般的に55㎜×91㎜です。そのサイズに合わせてトンボと呼ばれる目印を手掛かりに断裁していきます。

トンボには仕上がりトンボとぬりたしトンボがあり、仕上がりトンボを断裁することになります。
まず、2辺を仕上がりで断裁します。
次にサイズが決まっている91㎜+ドブ(塗り足しの部分、一般的には3㎜幅)、
次に55㎜+ドブの部分を断裁し、揃えたら完成です。

仕上げの断裁は間違って切ってしまうと商品として成り立たなくなってしまいます。
すごろくで言うと振り出しに戻ってしまうのです。
ミスが許されない仕事をこなす断裁士は、商品を見本通りに仕上げる最後の砦です。


ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。(飯嶋)


よろしければサポートをお願いします!