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【アメリカで学ぶ①】息子が寝た後、夜な夜な学校に行くことにした

昨日から春学期の授業が始まった。

アメリカでESL(*1)に通い始めて4ヶ月ちょっと。

少し夜眠る時間が遅くなった息子を夫にバトンタッチして、夜6時半から始まる夜間クラスに向かった。

1歳3ヶ月になった息子に「行ってくるね」というと「行ってらっしゃい」と元気に手を振ってくれる。

大きくなったな。

ふとした瞬間、息子の成長を感じて嬉しくなると共に、私も頑張らなきゃと気を引き締めて家を後にした。

<*1. ESL: English as a Second Languageの略で、英語が母国語でない留学生向けの英語クラス>


小さな赤ん坊を抱えて特急列車から降りた

ちょうど1年半前にアメリカに来て、1年前にアメリカで第一子を産んだ。

夫の仕事でついてきたアメリカ。
私が暮らしているのは、毎日何かしらのビッグニュースが飛び交う、世界的なテック企業が集まっているエリア、シリコンバレー。

合計10年弱日本で会社員として働いたキャリアを後に、自分の名前で生きると心に決め、フリーランスとして独立した直後だった。

独立と妊娠と渡米と出産、子育てが重なって、カオスのような一年半だった。

アメリカに来る前に黒く染めたボブの髪が、いつの間にかロングになっていた。

アメリカではまだいいマツエクサロンを見つけられず、鏡の前のどすっぴんな自分の姿が不思議だった。

私が育児に奮闘している間、世界は目が回るほどのスピードで変わり続けていた。

小さな赤ん坊を抱えて特急列車から降りたら、電車はもう見えないほど遠くに行っていた。

私だけ、取り残された気分だった。
全てが追いつけないほど遠く感じた。

息子は成長しているのに、私は?

全く寝なかった息子は夜通し寝るようになり、一人では寝返りも打てなかったおさるさんが、いつの間にか立派な人間になり部屋中をハイハイで回るようになっていた。

0歳児の成長スピードは凄まじく速い。
でも、私は?

時々ベビーシッターを家に呼んではいたものの、基本的には家庭保育をしていたので、日中自分の時間はほとんどなかった。

昼寝の間以外は、常に息子の面倒を見ながら何かをするという感じで、一つのことに集中して取り組むことができない。

育児だけに集中すると腹に決められたなら良かったけど、割り切れなかった。

締切のある原稿作業に加えて、単発で仕事を受けたり、勉強したり。
本当は集中する時間が必要だった。

それができないのは、地味にストレスだった。

私、学校に戻るわ

夫は「週末、一人で出掛けてきていいよ」「一人で泊まりで旅行行ってきたら?」と優しい言葉をかけてくれた。

分かってる。
私は最高の男と結婚してる。

でも、どれもしっくりこなかった。

買い物をすることも、大好きな旅行に行くことも、友達と会ってお喋りをすることも好きなんだけれど。

それより、もっと生産的なことがしたい。

どれも消費的な時間の使い方のように見えた。

モヤモヤとする気持ちをおさめるために、肌身隠さず持ち歩いているノートを取り出した。

3年ほど前から自分の感情や考えていることを記録している。

独立したての自分、アメリカに来て子供が生まれる前の自分、私はどんな未来を描いていたのか。

あの時、何がしたかったか。
今、何がしたいのか。

もし、子供がいなかったらどうしてる?

制約条件を全て取っ払って考えたら、答えが見えてきた。

私、学校に戻るわ。

本当に必要な情報は、必死に探す人にしか見えない

アメリカに来た直後の私は誰よりも学びに貪欲だった。

アメリカは、リスキリングできる最高の環境だと思っていた。

特に、英語。

移民大国のアメリカには、英語が無料で学べる場所がたくさんあった。

こんな機会、滅多にあるものじゃない。

だから、渡米して1ヶ月後、妊娠7ヶ月の体でESLクラスに初めて行った。

10年ぶりに戻った学校は、本当に楽しかった。

世界中から集まった学生と一緒に勉強する環境は刺激的でもあった。

それから1年近く学校に行きたくても行けずにいた。

日中は息子を見ないといけないし、学校にいくためにはデイケア施設やベビーシッターをフルタイムで雇うしかないか…と諦めていた。

周りのママ友に相談しても「子供が小さいうちは難しいよね」とみんな同じ答えが返ってきた。

しかし、それは思い込みだった。
本当に必要な情報は、必死に探す人にしか見えない。

調べてみると、6時半から9時半までの夜間クラスがあった。

そして、生後8ヶ月になった息子は、夜の6時にはベッドに行き、夜泣きもなく夜通し爆睡する子に育っていた。
セルフねんねができるから、寝かしつけにもそんなに時間がかからない。

奇跡的な環境が整っていた。

寝かしつけしてから、行けるんじゃない?

夫は普段自宅で仕事をしてるので、息子が家に一人残されるわけでもない。

一度寝たら起きることもないから、私いなくても大丈夫じゃない?

最初はちょっとクレイジーに思えたことが、次第に現実的に見えてきた。

やってみるか。

夜な夜な勉強する、私の夜間学生生活が始まった。

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