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富士フイルム イメージング事業が「ライカ」になる日

こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。

カメラに興味のある方なら、もしかしたら昨今の富士フイルムがライカを目指す的な話題をネットニュースやSNSで目にしたかもしれません。

私は富士フイルムとは接点がないので、この話題はスルーしようと思っていたのですが、何か気になるものがありまして記事にしてみました

もしお時間ありましたら、お付き合いいただけますと嬉しいです。

さて、2024年5月9日の公表された「富士フイルムホールディングス株式会社(以下富士フイルムHD)」の2024年3月期決算説明会の質疑応答がネット界隈で話題になってますので、少し触れてみたいと思います。

ちなみに私の立場は、富士フイルムHDとは一切関係ない部外者です。株主でもユーザーでもなく、ビジネス上の取引などを含めて関わりはありません。数年前に写真をプリントしたくらいでしょうか。

ネットで話題なった、富士フイルムがライカを目指す云々いうのは、決算の質疑応答での社長の回答から出たものです。事の経緯を簡単に説明します。

決算説明会の質疑応答にて
 Q.証券会社のアナリスト「イメージング事業の今の状況を教えて」(要約)

 A.後藤CEO「売上4000億円後半、利益率21%で好調。ポイントはブランド力を作り、それを維持すること。作りすぎること、価格を下げることではないことが今できるようになってきた。GFXシリーズは世界一大きなCMOSを搭載し、絶大なる信頼を得てバックオーダーを待っている人がいる。ブランド力をどう構築するか、購入済のプロパティの価値を下げないことに集中し、イメージング全体を引っ張りたい。
例え話で、ドイツのライカは、古いカメラも現行品もかなり高い価値を維持しているところが目標。いままでの売り方を変えていく。」(要約)

 Q. 同「在庫の状況等は平常な状況という理解で良いか」

 A. 同「はい。」

富士フイルムホールディングス株式会社 2024年3月期決算説明会(要約) 

https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/earnings-presentations/main/01111/teaserItems5/0/linkList/00/link/ff_fy2023q4_ts_001j.pdf

この自信がどこから来ているかというと、富士フイルムのイメージング事業の好調さからです。

売り上げは、全体29,609億円のうちイメージングは4,697億円です。前年度から14.5%の伸びです。

営業利益は、全体2,767億円のうちイメージングは1,019億円です。前年度から39.9%の伸びです。

2025年3月期のイメージングの目標は、売り上げ4,800億円、営業利益1,000億円です。

イメージングの売り上げがグループ全体の15.8%に過ぎないのに営業利益は36.8%にも達します。

数字だけを見れば実績を残しているのですから、さらにこの高みを目指すのは企業としては当たり前のことです。 

在庫がなくて買えない人がたくさんいるにも関わらずです。 

ネットで話題になった話題は大きく2つありまして
 ⑴ 富士フイルムがライカになるって?
 ⑵ 今の在庫がないのが平常運転だって?

の2点です。

まず ⑴富士フイルムがライカになるって?というお話ですが、社長が社内で社員にする例え話から来ているのですが、富士フイルムというブランドとハードウェアとしてのカメラの価値を古くなろうが最新機種であろうが等しく高値で取引されるようにならないといけない例として「ライカ」の名前を出しているわけですね。

車クルマを例に出せば、トヨタが「レクサス」を出したり、マツダが車名変更してまで「MAZDA」ブランドを押し出し ”マツダ地獄“ からの脱却を図ろうとしています。

しかし現状を見れば、まだまだ富裕層エリアの駐車場では、多くのメルセデス・ベンツの「スリーポインテッド・スター」とBMWの「キドニー・グリル」が鎮座しているわけです。

それだけブランド作りというのは、時間とお金が掛かるもので、富士フイルムは在庫を少なめにして価格を下げないやり方で、需要と供給のバランスを見つつブランド価値と商品の価値を上げる作戦のようです。

この答えが出るのは100年後かもしれませんが、古い機種の価値も高いまま維持したいなら、修理受付終了の機種がなくなることを願って止みません。
以下、最近修理受付終了になった主な機種。

X100F 2017年2月発売開始・2024年3月修理終了
X100T 2014年11月発売開始・2022年6月修理終了
X-T1  2014年2月発売開始・2023年2月修理終了
X-T10  2015年6月発売開始・2022年6月修理終了
X-T20  2017年2月発売開始・2024年3月修理終了

修理受付終了製品 https://fujifilm-x.com/ja-jp/support/repair/closed/ より一部抜粋。
発売時期は筆者調べ。

もうひとつ、⑵ 今の在庫がないのが平常運転だって?ということですが、例えば話題のコンデジ「X100VI」ですが、公式サイトはじめ有名カメラ店のページを見ても、在庫がほぼない状況です。

富士フイルムモール FUJIFILM X100VI ブラック のページ (2024年5月16日現在)
価格.com  FUJIFILM X100VI [ブラック] のページ (2024年5月16日現在)

そして、在庫のある(としている)お店の価格は40万円近くの値段が表示されています。

仮に私がX100VIを欲しかったとして、正規の値段で買えるまで待つのか、40万円を出してすぐ手に入れるのかの二択しかありません。

車と違ってカメラは、サブ機だったり予備機として、ビジネスでもう1台購入というのはよくある話ですが、例えばプロの方は撮影損失リスク回避のためにもう1台欲しいだけなのに、富士フイルムのブランド向上のお付き合いをしている暇はないのですよね

ライカのレンズに1年とか待つのとは、明らかに現状では意味が違いますよね。

簡単にまとめると、

ブランド価値の向上について
 富士フイルム → WIN
 既存のユーザー → WIN
 未来のユーザー → WIN?
 部外者 → どうでもいいよ

在庫少なめ・高価取引される現状について
 富士フイルム → WIN
 既存のユーザー → WIN?
 未来のユーザー → WIN??
 部外者 → 他メーカーがいいよ!こっちおいで!

今後ブランドや商品の価値が上がることで予想できることは、富士フイルムユーザーのメリットととして、今持っているカメラやレンズの資産性が上がって、将来の売却に有利に働く一方で、レンズ増やしたくても、すぐ買えないし、買えても高いしでメリットないですよね。

新たに富士フイルムのカメラを購入しようとしている人にとっては、予算にも納得しているので高くてもOKですが、すぐ買えなかったら全く意味ないですよね。欲しい時が買いどきっていうのが、わかっていらっしゃらない笑。

あなたは、今の富士フイルムの状況とこれからの戦略についてどう思いますか?

富士フイルムを持たない私にとって、ブランド価値の向上については興味ありませんが、魅力的なスナップカメラが出て欲しくなったとしても、すぐ買えないんじゃ他へ行くかもと思う今日この頃です。

またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。
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